<大項目> 開発中の原子炉および研究炉等
<中項目> 新型転換炉
<小項目> 新型転換炉の構造と特徴
<タイトル>
新型転換炉と軽水炉の相違 (03-02-02-03)

<概要>
 新型転換炉(ATR)も軽水炉(LWR)も冷却材に水を使用する点では共通であることからどちらも水炉と言われている。しかし、新型転換炉は、(1) 減速材重水を使用する(軽水炉では軽水)、(2) 原子炉容器構造が圧力管型である(軽水炉は原子炉圧力容器を用いる)、(3) 燃料集合体の構造が異なり、断面は円形である(軽水炉は四角形)、(4) 重水冷却系、重水浄化系、ヘリウム循環系等の系統・設備を有する等の点で軽水炉と異なり、新型転換炉特有の構造、系統システムを有している。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.プラント概要
 新型転換炉(ATR)では減速材に重水を使用する点で軽水炉と異なる。そのため燃料集合体、炉心特性のほか、原子炉本体、一次冷却系、燃料交換システム、その他のシステムが軽水炉と異なる。しかし、冷却材に軽水を使用し、発生した蒸気でタービンを回転させ発電する原理は軽水炉と同様である。軽水炉の発電原理を 図1 に、新型転換炉の発電原理を 図2 に示した。
 原子炉容器を出た蒸気がタービンを回転させて発電機で電気を起こし、復水器の海水で冷やされた後、給水ポンプで原子炉容器に戻される原理については、軽水炉と同様な設備で大きな差はない。
2.炉心特性
 熱中性子炉には、燃料物質の核分裂で放出された高速中性子を減速させて熱中性子にする役目を持つ減速材が必要である。軽水は減速能が最も大きいが、中性子吸収断面積が比較的大きいため中性子利用率が低くなる。重水は中性子を吸収する割合が極めて小さく、天然ウラン及び微濃縮ウラン燃料を使用利用できる利点がある。
 以上のことから、新型転換炉と軽水炉とは燃料の組成がことなる。また、新型転換炉は燃えない(核分裂しない)ウラン238を燃える(核分裂する)プルトニウムに転換する割合(転換比)が比較的高い。 表1 に高速増殖炉(FBR)を含めて原子炉の特性の比較を示した。
3.燃料集合体
  図3 に軽水炉燃料集合体の構造図と 図4 に新型転換炉燃料集合体の構造を示した。新型転換炉の燃料集合体は圧力管に1体ずつ入れるため断面が円形であり、一方軽水炉の燃料集合体は、断面が四角形である。
 いずれ燃料体も、ジルコニウム合金製の燃料被覆管に酸化物燃料を焼き固めてセラミックにした燃料ペレットを封入し、束ねて燃料集合体としている。
 新型転換炉原型炉「ふげん」の燃料集合体には、28本の燃料棒を3層同心円状に束ねた、天然ウランまたは回収ウランに核分裂性プルトニウムを富化したMOX燃料と、同一構造で微濃縮ウランの燃料棒を用いた微濃縮ウラン燃料とがある。
4.原子炉本体( 図5 参照)
 新型転換炉の原子炉本体は、重水を充したカランドリアタンクの中に各1体ずつの燃料集合体を収容した多数の圧力管(「ふげん」では224本)を貫通させた構造となっている。圧力管の下方から入った軽水の冷却水は各燃料集合体で加熱され、各圧力管集合体上部から蒸気ドラムに送られて、ここで気水分離器により加熱水と乾燥蒸気とに分けられた後、乾燥蒸気はタービンに送られる。従って、軽水炉の原子炉圧力容器に相当するのが新型転換炉では圧力管になる。圧力管の材料には、中性子吸収が少なく、強度に優れ、耐蝕性の良いジルコニウム−2.5WT% ニオブ合金の熱処理材を用い、又カランドリア管にも中性子吸収が少なく、強度と耐蝕性に優れたジルコニウム合金のジルカロイ−2を用いている。
5.原子炉補助系( 図6 参照)
新型転換炉では、重水を減速材として使用し、重水のカバーガスとしてヘリウムを使用することから、重水冷却系、重水浄化系、ポイズン供給系、ヘリウム循環系、ヘリウム浄化系、炭酸ガス系統があり、これらの設備を原子炉補助系統設備と言い、軽水炉にはない。
圧力管とカランドリア管の間の隙間に炭酸ガスを微速で流し、カランドリアタンク内の減速材である重水と、圧力管の中を流れる冷却材である軽水との間を熱的に絶縁すると共に、カランドリア管側の重水および圧力管側の軽水の運転中の漏洩検出の役割も果たす、炭酸ガス系統設備を持っている(図5参照)。
6.反応度制御系
 新型転換炉の制御棒は、カランドリアタンクに設けられたジルコニウム合金のジルカロイ−4製の制御棒案内管中の重水中に挿入される。制御棒は炭化ボロン粉末をステンレス鋼管に充填したポイズン棒を円環状に並べたもので、ポイズン棒自体の構造は沸騰水型軽水炉に使用されているものと同様である。冷却用重水は、制御棒案内管を通って上から下に流れ、制御棒案内管の小穴から炉心タンク内へ流出する。
制御棒駆動装置は炉心上方に設置され、電動機を駆動源として電磁クラッチにより動力の伝達、切離しを行う。
<図/表>
表1 原子炉の特性比較
図1 軽水炉の発電原理
図2 新型転換炉「ふげん」の発電原理
図3 軽水炉燃料集合体の構造図
図4 新型転換炉「ふげん」燃料集合体の構造図
図5 「ふげん」の原子炉本体構造
図6 「ふげん」の主要系統図

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<関連タイトル>
新型転換炉の特徴 (03-02-02-02)
新型転換炉のプラント構成 (03-02-02-04)
新型転換炉の原子炉本体 (03-02-02-05)
新型転換炉の冷却システム (03-02-02-07)
新型転換炉の燃料集合体 (03-02-02-08)
新型転換炉の燃料交換システム (03-02-02-09)
新型転換炉開発の経緯 (03-02-06-01)

<参考文献>
(1) 動力炉・核燃料開発事業団:「原子炉のしくみ」(パンフレット)
(2) 動力炉・核燃料開発事業団:「新型転換炉原型炉 ふげん」(パンフレット)1989.8
(3) 動力炉:核燃料開発事業団:「ふげん」の開発実績と「実証炉」の設計,1979.11
(4) 火力原子力発電技術協会(編):やさしい原子力発電、火力原子力発電技術協会(平成2年)
(5) 動力炉・核燃料開発事業団:核燃料サイクルと動燃、平成年12月(改)
(6) 動力炉・核燃料開発事業団:新型転換炉の開発(パンフレット)
(7) 動力炉・核燃料開発事業団:新型転換炉原型炉「ふげん」技術成果の概要、1991年8月
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