<大項目> 開発中の原子炉および研究炉等
<中項目> 新型転換炉
<小項目> 新型転換炉の構造と特徴
<タイトル>
新型転換炉の特徴 (03-02-02-02)

<概要>
 1950年代には、世界中で濃縮ウランを使用しないで発電できる新型発電用原子炉や、経済性の良い発電用原子炉の研究開発が盛んに行われ、1950年代後半から60年代にかけてそれらの原型炉等の建設が行われた。我が国では、1966年に、天然ウランでも稼働出来原子燃料の有効利用の出来る重水減速沸騰軽水冷却圧力管型原子炉を自主開発することに決定した。この炉型は新型転換炉(Advanced Thermal Reacter:ATR)と名付けられ、この炉の原型炉「ふげん」は1970年に着工され1978年より本格運転され、現在良好に稼働中である。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 商用原子力発電としては、世界で最初に英国が天然ウランで稼働出来る黒鉛減速ガス冷却型炉( コールダホール型、電気出力60MWe)を実用化した。天然ウランを使用できる熱中性子炉の減速材としては、重水、黒鉛および有機物がある。冷却材としては、重水・軽水・ガス・ナトリウム等ある。また加圧水型や沸騰水型や、冷却材ガスの種類、その組み合わせ等が色々考えられ、それらの実験炉や原型炉等の開発が、米国、英国、旧西独、旧ソ連、カナダ、フランス、スウェーデン、チェコスロバキア等の諸国で行われてきた。これらの世界の初期の発電用原子炉の一覧を 表1 に示した。
 わが国では、商用原子力発電用として先ず英国よりコルダーホール型炉(166MWe)を輸入した。次に米国より沸騰型軽水炉(BWR)と加圧水型軽水炉(PWR)を輸入した。以来わが国の原子力発電は軽水炉を主流に進められてきたが、必要な濃縮ウランを米国に依存しなければならなかったので、わが国の核エネルギー源を安定確保する方策を具体化するため、1964年に「動力炉開発懇談会」を原子力委員会に設置し、審議の結果1966年に新型転換炉(ATR)と高速増殖炉(FBR)を自主開発することに決定した。
 新型転換炉(ATR)は、天然ウランでも稼働出来、運転中燃料交換(On Power Refueling)も出来るように設計・製作されて来た。一方、微濃縮ウラン燃料やプルトニウム富化燃料を使用する方が多くのメリットがあり経済性も良いことなどが判ってきたため、現在ATR燃料を使い長期間運転し、運転中の燃料交換はしないことで稼働中である。
1.新型転換炉(ATR)開発の意義
(1) プルトニウムの有効利用
 高速増殖炉が本格的に実用化されるまでの間、蓄積されるプルトニウムをATRで利用し、ウラン資源を節約できる。
(2) 国産技術によるATRの開発は、わが国の原子力技術を一層向上させることとなる。また、ATRの燃料であるMOX燃料を製造することにより、プルトニウム取扱技術の向上を図ることが出来る。
(3) わが国の原子力政策の国際的理解の増進
 国際的な核不拡散の要請の中で、わが国がプルトニウムを燃やすための原子炉としてATRを自主技術によって開発することは、プルトニウムを平和的に利用していくというわが国の原子力政策についての基本的立場を理解させることが出来る。
2.ATRの特徴
 ATRは重水減速沸騰軽水冷却縦型圧力管原子炉である。 図1 に新型転換炉「ふげん」のプラント概念図を、 図2 にATR原型炉「ふげん」の原子炉本体構造図を、 表2 に「ふげん」の設計主要目値を示した。図に示すように、縦型カランドリアタンクに中性子吸収の少ない重水を満たしており、原子炉圧力容器に相当する圧力管は、カランドリア管により分離されて縦にカランドリアタンクを貫通している。圧力管およびカランドリア管材料には中性子吸収が少なく、強度の高いジルコニウム合金が用いられている。
 軽水の冷却水は、2ループに分けた入口管を経て圧力管下部より流入し、燃料集合体により加熱され沸騰して圧力管上部より上昇管を経て2つの蒸気ドラムに至り、ここで蒸気と水に分離されてこの蒸気により発電される。
 制御棒は原子炉上部より制御棒駆動装置(CRD)によりカランドリアタンク内の重水中に縦に挿入される。燃料集合体は原子炉下方に設置された燃料交換機により下から圧力管内に出し入れされる。
 また、ATRはプルトニウムを利用するうえで、
(1) プルトニウム239とプルトニウム241をウラン235 に近い核特性で利用できる
(2) プルトニウムによる共鳴吸収を比較的受けにくい
(3) 燃料および制御棒の設計と配置を変更せずに利用できる
等の特徴があり、核燃料サイクル上の特徴として次のように評価された( 図3 参照)。
2.1 プルトニウム利用特性
(1) プルトニウム消費炉としての特徴
 ATRはプルトニウムを有効かつ容易に全炉心に装荷して利用でき、大量にプルトニウムを消費することで、プルトニウム蓄積量の低減が図れる。
(2) 高次プルトニウム利用特性に優れた特徴
 ATRは高次化したプルトニウムの利用に伴う核的特性の影響が小さいため、比較的容易に高次プルトニウムを利用することが出来る。
2.2 燃料の多様化
 ATRはウラン・プルトニウム混合酸化物燃料(MOX燃料)でもウラン燃料でもほぼ同様に利用できるため、プルトニウム蓄積量、回収ウラン、天然ウラン等の核燃料供給の環境変化に柔軟に対応できる。
<図/表>
表1 世界各国の初期の発電用原子炉
表2 「ふげん」の設計主要目値
図1 「ふげん」のプラント概念図
図2 「ふげん」の原子炉本体構造図
図3 新型転換炉を用いた核燃料サイクル

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<関連タイトル>
新型転換炉と軽水炉の相違 (03-02-02-03)
新型転換炉のプラント構成 (03-02-02-04)
新型転換炉の原子炉本体 (03-02-02-05)
新型転換炉開発の経緯 (03-02-06-01)
原型炉「ふげん」 (03-04-02-09)
海外の重水減速沸騰軽水冷却圧力管型原子炉 (03-02-05-01)
カナダ型重水炉(CANDU炉) (02-01-01-05)
重水冷却圧力容器型炉 (03-02-05-02)

<参考文献>
(1)動燃十年史    昭和53年12月25日  動力炉・核燃料開発事業団
(2)動燃二十年史    1988年12月 2日  動力炉・核燃料開発事業団
(3)動力炉・核燃料開発事業団:新型転換炉の開発(パンフレット)
(4)動力炉・核燃料開発事業団:「ふげん」特集、動燃技報、No.69(1989.3)
(5)動力炉・核燃料開発事業団:平成3年度新型転換炉技術成果報告会予稿集、平成3年12月18日
(6)動力炉・核燃料開発事業団:新型転換炉原型炉「ふげん」技術成果の概要、1991年8月
(7)日本原子力産業会議(編):世界の原子力発電の動向−1994年次中間報告、平成6年9月
(8)動力炉・核燃料開発事業団:平成3年度新型転換炉技術成果報告会予稿集、平成3年12月18日
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