減速能

減速能 げんそくのう

 減速材が中性子を減速させる能力を示す尺度であり、減速材の原子核との1回の衝突によって中性子のエネルギーが減少する割合の対数平均値(エネルギー対数減衰率)と当該減速材の巨視的散乱断面積の積で表される。核分裂で発生する中性子は高エネルギー(高速)であるが、他方、235 Uや239Pu等の核分裂性物質は中性子のエネルギーが低いほど核分裂を起こしやすい。そこで、核分裂性物質の濃度の低い燃料を用いる通常の原子炉(熱中性子炉)では、減速材を用いて周囲と熱的平衡状態のエネルギーの中性子(熱中性子)になるまで大幅に減速する。減速材としては、減速能の大きな軽水(H2O)や重水(D2O)がよく用いられる。なかでも重水は中性子の吸収が少ないために、天然ウランをそのまま燃料に用いることができる利点がある。ただし、重水は天然水にはごく微量にしか含まれていないため、高コストの同位体分離プロセスで濃縮し、製造する必要がある。また、黒鉛(炭素)は軽水に比べて減速能は小さいが中性子の吸収が少ないため、重水と同様に天然ウラン原子炉の減速材として用いることができる。黒鉛を用いる場合には、減速能が小さいために、同じ出力の原子炉でも体積が大きくなるという特徴がある。


<登録年月>
2010年06月




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