<大項目> 開発中の原子炉および研究炉等
<中項目> 新型転換炉
<小項目> 新型転換炉の安全性
<タイトル>
新型転換炉の制御特性 (03-02-03-01)

<概要>
 新型転換炉においては、冷却材ボイド反応度係数は零近傍の小さな値となるよう設計されており、燃料温度反応度係数など総合した出力係数も負の値となり、炉心は固有の安全性を有しているので、炉出力の過渡時の変化は容易に制御出来る。通常運転時はポイズン濃度により制御され、出力調整用制御棒は、炉内中性子検出器から求められる出力情報により自動的に駆動され、炉出力の変更、安定化に寄与している。さらに、蒸気ドラム内の水位及び圧力を制御し、それらを一定に保っている。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 新型転換炉は重水減速材を使用する圧力管型原子炉である。沸騰軽水冷却ではあるが、原子炉の運転制御および安全性の観点から好ましい炉心特性(核特性・熱水力特性)を有し、それらに適合した反応度制御系およびプラント制御系が設けられている。

1.炉心特性
 炉心冷却材の沸騰に伴うボイド反応度は炉の運転制御および安全性に関する最も重要な炉物理量である。新型転換炉では中性子減速の大部分が減速材により行われるので、冷却材ボイド反応度係数はほぼ零近傍の小さな値となるよう設計されており、炉心冷却系への外乱によりボイド体積率が変化しても、炉出力の変動は小さく安定である。
 またボイド反応度係数、燃料温度反応度係数などを総合した出力係数は確実に負の値となり、炉は固有の安全性を有しているので、炉出力の過渡時の変化は容易に制御できる。
 新型転換炉では、
  (1) 炉心内の出力分布が比較的平坦化している。
  (2) 炉心最外周と内側チャンネルに分け、それぞれに別種のオリフィスを設け、流量配分を適正化し、熱除去特性を改善している。
  (3) チャンネル内の冷却材ボイド率の変化がチャンネル出力にほとんど影響を及ぼさない。
 などにより、プラントの過渡変化時の燃料体の健全性確保に対する裕度を高めている。

2.反応度制御系
  図1 に炉心配置図を示す。反応度制御には49本の制御棒、減速材中のポイズン(中性子吸収材)濃度および重水ダンプ系の3種が設けられている。通常運転時はポイズン濃度により制御される。燃料の燃焼に伴うゆっくりした反応度低下はポイズン濃度調整により補償され、そのほかの運転に伴う反応度変化および炉停止は制御棒により制御される。
 制御棒は炉心の外周部を除いて燃料体4体に制御棒1本の割合で計49本が配置され、このうち各象限のほぼ中央に位置する4本は領域出力調整用制御棒として使用される。
 制御棒は、重水が満たされているカランドリアタンク内に設けられた制御棒案内管の中を電動機駆動ワイヤドラム方式により上下し、連続的にその位置を調整することができる。
 重水ダンプ系は制御棒スクラムのバックアップとして主として炉心冷却系破断事故時に作動させる。重水ダンプ系の原理は重水を炉心下部周囲に位置するバケット内に急速に排出(ダンプ)させ、炉を未臨界にするものである。

3.プラント制御系
 プラント制御系は炉出力、蒸気ドラム水位および圧力のそれぞれを制御している。 図2 にプラント制御系統図を示す。
 原子炉の出力は制御棒操作により制御される。各制御棒は安全上の観点から同時には1本だけしか操作できないようになっている。プラントの負荷変動に応ずる炉出力の追従に使用される4本の出力調整用制御棒は、炉内中性子検出器から求められる出力情報により自動的に駆動され、炉出力の変更、安定化を図る。
 プラントの出力の変更は原子炉の発生蒸気量(負荷)を変化させて行う。この際、炉出力が変化し、プラントはタービン入口圧力が一定となるよう主蒸気加減弁を制御する。なお急速負荷低減時には、タービンバイパス弁の開度を調整し、圧力上昇を抑制する。
 原子炉の安全および所定の気水分離効率を確保するためには、蒸気ドラム水位を一定に保つ必要があり、2つの蒸気ドラムのそれぞれに蒸気ドラム水位制御装置が設けられている。水位制御は、蒸気流量、給水流量、蒸気ドラム水位の3要素制御により、給水調整弁の開度を調節して行われる。

4.プラントの制御特性
 プラント制御の基本は、その出力が通常考えられる運転操作に対して安定していること、外乱により出力、流量などが変動しても出力は既定の制御値内でよく減衰すること、および発電所の耐用期間中に予期しなければならない過渡変化に対して原子炉の安全性を保証することである。
 発電所では軽水炉の場合と同様、本格的運転に先立ち、プラント制御系の設定点をステップ状に変化させた場合や、プラントの故障またはプラントの外乱がある場合の動特性を確認する各種試験が行われる。それらの試験は、各試験ごとに実測値と予測値を詳細に比較検討し、不一致が認められるときは原因を究明、解決を図りながら逐次進められる。主な試験例を次に示す。
(1) 出力制御特性
  図3 に出力設定点を−10%ステップ状に変化させた場合のプラントの応答特性を示す。発電所出力は目標出力に移行し、一定値を保っている。炉出力の雑音(原子炉ノイズ)はボイド係数が極めて小さいことを反映して少なく、100%出力時でも1%以下である。
(2) 蒸気ドラム水位制御特性
  図4 に100%出力時、水位設定点を50mm上げた場合のプラント応答を示す。蒸気ドラム水位は50mm上昇して落ち着き、発電機出力もほとんど変動していない。
(3) 負荷遮断試験特性
  図5 に100%出力時、負荷遮断した場合のプラント応答を示す。蒸気ドラム圧力は主蒸気加減弁の急閉により上昇するが、バイパス弁を通して蒸気が放出されるため以後低下している。タービン回転数は約5%増加した後、初期値に整定している(30秒でタービントリップとなるので以後低下している)。
<図/表>
図1 「ふげん」炉心配置図
図2 プラント制御系統図
図3 出力設定変更試験結果(出力設定10%下げ、75%出力時)
図4 水位設定点変更試験の応答(100%出力時)
図5 負荷遮断試験結果(100%出力)

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<関連タイトル>
新型転換炉の特徴 (03-02-02-02)
新型転換炉と軽水炉の相違 (03-02-02-03)
新型転換炉の原子炉本体 (03-02-02-05)
新型転換炉の冷却システム (03-02-02-07)
新型転換炉の工学的安全防護システム (03-02-03-02)
新型転換炉想定事故の安全評価 (03-02-03-03)
原型炉「ふげん」 (03-04-02-09)

<参考文献>
(1)原子力工業 1972. 3.
(2)「ふげん」の開発実績と「実証炉」の設計 1979 動力炉・核燃料開発事業団
(3)動燃技報 No.32 1979.
(4)動燃技報 No.65 1988.
(5)動燃技報 No.69 1989.
(6)動力炉・核燃料開発事業団:新型転換炉原型炉「ふげん」技術成果の概要、1991年8月
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