<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 日本の新エネルギー
<小項目> 新エネルギー技術開発
<タイトル>
新エネルギー技術開発プログラム (01-05-02-24)

<概要>
 わが国の新エネルギーに係る技術開発は、石油ショックを契機としてサンシャイン計画、次いでエネルギーと環境問題の解決を目指したニューサンシャイン計画において進められ、中央省庁再編以後は新エネルギー技術開発プログラムとして実施され、現在に至っている。
 新エネルギー技術開発プログラムでは、太陽光発電、風力発電、クリーンエネルギー自動車、バイオマスエネルギー、燃料電池/水素利用技術、コジェネレーションなどについて、高コスト、出力の不安定性などの課題の克服に向けた技術開発を進めている。
<更新年月>
2007年12月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.新エネルギーに関する技術開発の経緯(文献1、2、3、ATOMICA構成番号<01-05-02-01>参照)
 1970年代初頭に発生した第一次石油ショックを契機として、1974年、通商産業省工業技術院(現在の独立行政法人産業技術総合研究所)において、「サンシャイン計画」の名の下に新エネルギーに関する技術開発の国家プロジェクトが開始された。サンシャイン計画では、石油代替エネルギーとして将来的にエネルギー需要の相当部分をまかなうことのできるクリーンエネルギーの供給を目標に、太陽、地熱、石炭、水素エネルギーの4つの技術について重点的に研究開発が進められた。
 1993年に至り、サンシャイン計画は、省エネルギーに関する技術開発プログラムとして進められてきた「ムーンライト計画」および環境負荷の低減を目指して進められた「地球環境技術研究開発」と統合され、「ニューサンシャイン計画」が新たに開始された。ニューサンシャイン計画では、エネルギー問題と環境問題の同時解決を目指して、新エネルギー、省エネルギーおよび地球環境技術の各分野における技術開発が一体的に進められた。具体的には、太陽、地熱、風力等の再生可能エネルギーの利用技術開発、石炭ガス化、燃料電池(溶融炭酸塩型、固体電解質型、固体高分子型)、コジェネレーション向けセラミックガスタービン等の化石燃料高度利用技術開発、超伝導電力応用技術、分散型電池電力貯蔵技術等のエネルギー輸送・貯蔵技術開発、環境対策技術開発、システム化技術開発などである。
 その後、2001年の中央省庁再編に伴い、「ニューサンシャイン計画」の研究開発テーマは、調査研究と研究開発プロジェクトが並行して進められる「研究開発プログラム方式」によって実施されることとなり、現在に至っている。なお、ここでプログラムとは、政策目的の下、類似の研究開発の整理、複数の研究開発や他の施策との連携等を含め統合した施策パッケージを意味する。
2.新エネルギー技術開発プログラムの目的(文献1、2、4、5参照)
 平成19年(2007年)3月に閣議決定されたエネルギー基本計画において、次のような認識が示されている。新エネルギーは、エネルギーの自給率の向上や地球温暖化政策に資するほか、分散型エネルギーシステムとしてのメリットも期待できる貴重なエネルギーである。また、燃料電池を始めとして、大きな技術的ポテンシャルを有する分野であり、その積極的な技術開発を進めることは経済活性化にも資する。さらに、風力発電や太陽光発電等は、国民一人一人がエネルギー供給に参加する機会を与えるものであり、非営利組織の活動等を通じて、地域の創意工夫を生かすことができるものでもある。これまでわが国は、例えば太陽光発電の導入量が世界最高水準になるなど、一定の実績をあげてきた。他方、現時点では、エネルギー変換効率や設備利用率も上がらないなど競合するエネルギーと比較してコストが高く、出力の不安定性や電力品質の確保など事業性確保に向けて未だ多くの課題を抱えていることも事実であり、一次エネルギー供給の2%程度を占めるに止まっている。これらの課題の克服には、更なる技術開発等の進展が必要とされる。こうした認識の下に「当面は補完的なエネルギーと位置付けつつも、安全の確保に留意しつつ、コスト低減や系統安定化、性能向上等に取り組むことにより、長期的にはエネルギー源の一翼を担うことを目指し、施策を推進する」とされている。
 新エネルギーの概念については、1997年に施行された「新エネルギーの利用等の促進に関する特別措置法」(新エネ法)において、「新エネルギー利用等」として規定されており、経済性の面での制約から普及が十分でないもので、石油代替エネルギーの導入を図るために特に必要なものと定義され、具体的には、太陽光発電、風力発電、太陽熱利用、温度差エネルギー、廃棄物発電、廃棄物熱利用、廃棄物燃料製造、クリーンエネルギー自動車、天然ガスコージェネレーション、燃料電池、バイオマス発電、バイオマス熱利用、バイオマス燃料製造、雪氷熱利用があげられている(バイオマスおよび雪氷熱は平成14年の政令改正で追加)。なお、2005年度7月から2006年度10月にかけて開催された総合資源エネルギー調査会新エネルギー部会において新エネルギーの概念の範囲の見直しが行われ、再生可能エネルギーのうち、その普及のために支援を必要とするものを「新エネルギー」と位置づけ、再生可能エネルギーの普及やエネルギー効率の飛躍的な向上、エネルギー源の多様化に資するものについては、新たに「革新的なエネルギー高度利用技術」として整理された(図1参照)。
3.新エネルギー技術開発プログラムにおける主な取組(文献2参照)
 「エネルギー白書2007」には、平成18年度における新エネルギーに関する技術開発・実証段階における主な取組として、以下のような項目が紹介されている。
〔1〕太陽光発電の技術開発・実証段階の取組
 早期の市場自立化を図るための低コスト化等を目指した技術開発、本格普及時に不可欠な評価技術やリサイクル・リユース技術等の共通基盤技術研究、太陽光発電システムの産業用等への普及促進並びに新技術等による有効性実証および設置範囲拡大のためのフィールドテスト、系統電力品質に与える悪影響対策として蓄電池併設太陽光発電システムを電力系統に大規模集中連系する等の実証研究、電力系統に連系した場合に課題となる系統安定化対策やピーク対策のための技術等の開発、など。
〔2〕風力発電の技術開発・実証段階の取組
 周波数変動等の系統問題対策に必要な大規模風力発電所の出力安定化等の技術開発、高所の風力エネルギー等の各種データを収集・解析・公開することにより風力発電導入の素地形成等を目指したフィールドテスト事業、日本特有の厳しい自然環境による稼働率低下対策として日本の環境にあった風車の導入ガイドライン策定に係る事業、など。
〔3〕クリーンエネルギー自動車の技術開発
 大気環境・地球温暖化・エネルギー問題の同時解決に向けた革新的次世代低公害車総合技術開発、特に、「都市間トラック・バス」を中心とした分野における要素技術開発。
〔4〕バイオマスエネルギーの利用
 ○バイオマス資源から液体・気体燃料といった利用しやすい形態で高効率にエネルギーを回収するため、現在の実用化技術に比べて、より高効率かつ経済的にエネルギー転換が可能となる技術の研究開発。
 ○一定レベルまで確立されたバイオマス熱利用技術の信頼性向上を目的としたフィールドテスト。
 ○バイオマス由来燃料であるETBE(エチル・ターシャリー・ブチル・エーテル)の化学物質としてのリスク評価や毒性影響等についての調査研究。
〔5〕燃料電池/水素エネルギー利用技術開発・実証試験等
 ○燃料電池先端科学研究(燃料電池の基本的メカニズムについての根本的な理解を深めるために、高度な科学的知見を要する現象解析およびそのための研究体制整備を行い、技術開発の壁を打破するための知見を蓄積)。
 ○高性能、低コストの高温作動次世代高分子形燃料電池の実用化・普及に向けた革新的材料の開発。
 ○自動車用、家庭・業務用等の固体高分子形燃料電池(PEFC)の実用化・普及に向けた要素技術、システム化技術および次世代技術等の開発並びに共通課題解決に向けた研究開発体制構築。
 ○家庭用燃料電池システムに適した家庭用LPガス供給システムから高純度の水素を供給するための高耐久性水素透過メンブレン(膜)およびこれを用いた高効率LPガス改質装置の開発研究。
 ○小型可搬電源となり得る小出力燃料電池等の安全性確保等を目的とする基準・標準化研究開発および用途開拓のための技術開発。
 ○一定条件以上の定置用燃料電池コージェネレーションシステムの実用化開発支援のため、量産技術の確立と実用段階に必要なデータ収集を行う大規模実証。
 ○燃料電池自動車の実証試験や多角的な燃料供給システムの検証による水素利用の課題等の抽出および燃料電池・水素に対する国民的理解の醸成を目指した燃料電池システム等実証研究。
 ○水素輸送・貯蔵材料に関する水素脆化等の基本原理の解明および対策の検討を中心とした先端的研究。
 ○燃料電池等の水素利用技術の導入・普及に資することを目的とした水素の製造・貯蔵・輸送等に係る関連機器の信頼性・耐久性向上、小型化、低コスト化のための研究開発。
 ○製油所における副生水素を活用し、燃料電池システムに水素を供給する技術や灯油から効率的に水素を製造し定置型燃料電池システムに供給する技術の開発。
 ○石炭ガス化燃料電池複合発電システム(IGFC)の実現を目指した次世代型大型燃料電池で使用される燃料ガスを高度精製する技術の研究開発。
 ○水素の高効率製造技術と水素を燃料とする高効率燃料電池システム技術の早期確立・実用化で重要なメタン等の燃料改質反応と水素分離を高効率かつ同時に行うことを可能とする高効率高温水素分離膜および膜モジュール化技術の開発。
 ○燃料電池を中心とした次世代型分散エネルギーシステムの構築を目指した基盤技術開発。
 ○固体酸化物形燃料電池(SOFC)の実用化を目指したコージェネレーションシステムおよびコンバインドサイクルシステムの技術開発、性能評価技術、次世代要素技術開発等。
 ○電気化学的に物質やエネルギーを高効率で変換する次世代型セラミックリアクターの実現に向けた、低温作動を可能とする材料の開発とミクロセルの集積構造化技術等の開発。
 ○固体高分子形燃料電池システム等の普及・促進に資する基盤整備に向けた製品性能の試験・評価手法および国内外の基準・標準の確立。
 ○水素パイプラインを用いた水素供給システムにおける安全確保を図るための技術基準等に資する調査。
 ○燃料電池自動車等の電気系自動車における効率等の更なる向上および蓄電技術の用途拡大を促進するための、高出力・長寿命のリチウム電池の開発。
〔6〕コージェネレーションに関する技術開発等
 ○分散エネルギーシステムを構築し、民生部門の省エネルギーに有効な都市部でも電気・熱の面的融通を促進するため、世界最高レベルの発電効率となる天然ガスエンジンの技術開発を行い、さらに排熱利用効率を高めるため、本ガスエンジンに最適な高出力コンバインドシステムの技術開発を行う。
 ○天然ガスの導入拡大に向け、パイプライン等インフラの効率的な整備、パイプラインの稼働率向上および緊急時の供給確保を図るため、天然ガス地下貯蔵技術の開発を行う。
<図/表>
図1 新エネルギーの概念範囲の見直し

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<関連タイトル>
太陽光発電システム (01-05-01-01)
風力発電 (01-05-01-05)
バイオマスエネルギー (01-05-01-06)
新エネルギーの導入と動向 (01-05-01-09)
サンシャイン/ニューサンシャイン計画 (01-05-02-01)
燃料電池発電技術の研究開発 (01-05-02-09)
エネルギー基本計画 (01-09-01-07)
新エネルギーと省エネルギーの技術開発 (01-09-07-02)

<参考文献>
(1)資源エネルギー庁:平成18年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2007)、第1部 エネルギーを巡る課題と対応、第1章 原油高に対するわが国の耐性強化とエネルギー政策、55/63-57/63
(2)資源エネルギー庁:平成18年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2007)、第3部 平成18年度においてエネルギーの需給に関して講じた施策の概況、第3章 多様なエネルギー開発・導入及び利用、21/35-31/35
(3)経済産業省産業技術環境局研究開発課:研究開発施策の現状、産業構造審議会産業技術分科会研究開発小委員会(第8回)配布資料4-1、http://www.meti.go.jp/committee/materials/downloadfiles/g51008a41j.pdf、9/14-11/14
(4)資源エネルギー庁:最新エネルギー基本計画、経済産業調査会(2007)、p.56-64
(5)資源エネルギー庁:新エネルギー政策について、2.新エネルギーの定義
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