地球の放射平衡が崩れることにより地球の表面気温が上昇する現象をいう。この現象は自然要因でも起こるが、現在は人為的要因で温暖化が進みつつあると推定されている。地球の表面気温は、太陽からの入射エネルギーと地表から宇宙への放射エネルギーのバランスで決まる。地球の平均入射エネルギーは反射分を除くと960W/m2であり、もし、大気中に温室効果ガスがなければ、地表から約240W/m2の放熱を行うことで放射平衡が維持され、このときの理論的な気温は255Kとなる。しかし、大気中の水蒸気や二酸化炭素などの温室効果ガスが地球から宇宙空間へ放出する赤外線を吸収し、その一部(約150W/m2)を地球に戻すために、実際の地表からの赤外放射は約390/m2に増加し、表面気温は288K(15℃)に維持されている。この放射平衡は地質年代的な時間スケールではかなり大きく変動し、地球は温暖期と寒冷期を繰り返してきたが、最後の氷河期以降、産業革命前までは概ね放射平衡が一定に維持されてきたと考えられている。しかし、産業革命以降、特に20世紀の半ば以降、北半球高緯度地域を中心に地球の表面気温の上昇が観測されており、その原因が二酸化炭素等の温室効果ガスの人為的な排出による可能性がきわめて高いと推定されている。