<大項目> 核燃料リサイクル施設
<中項目> 再処理
<小項目> 再処理の工程
<タイトル>
再処理廃棄物の特性 (04-07-02-05)

<概要>
 燃焼度45,000MWD/tUの使用済燃料1トン中にはプルトニウム(Pu)約12kg(他のTRU核種を含む)及び核分裂生成物FP)約46kgが含まれている。再処理工程でPuは約99%回収されるが、未回収の約1%のPuはFPと共に各種廃棄物中に分散する。現行の再処理技術は湿式再処理が主体であるので、未回収のPuとFPの大部分は各種廃液に含まれることになる。Pu、FP等を含む処理廃液は、中間貯蔵、最終処分等を見越して適切な固化体にされる。発生時において固体である廃棄物のうち可燃性廃棄物は焼却処理し、不燃性固体は除染、切断処理等を行いセメント等により固化する方法が採られている。また、気体及び液体の放射性廃棄物は未回収PuとFPを取り除く処理を施した後に環境に放出されている。
<更新年月>
2011年12月   

<本文>
 湿式再処理法であるピューレックス法(PUREX:Plutonium and Uranium Recovery by Extraction)を採用した再処理工場から発生する放射性廃棄物の発生源と、これら廃棄物の標準的な処理の概要を図1に、軽水炉内ウラン燃料の燃焼に伴う転換の概要を図2に示す。PUREX法は、使用済燃料を硝酸により溶解した水溶液について、抽出操作を繰り返すことにより、核物質のウラン(U)及びプルトニウム(Pu)と核分裂生成物を分離する方法である。廃液中には核分裂生成物の大部分と未回収のU及びTRU核種が残存する。以下に再処理工程で発生する放射性廃棄物について述べる。
1.気体廃棄物
 気体廃棄物は、主として剪断・溶解工程において燃料ピンのプレナム部に貯留していたヨウ素(I)、希ガス(クリプトン(Kr)及びキセノン(Xe))等の放射性ガスである。核燃料中に核分裂生成物として生成する気体はモル比で80%以上がXeであるが、半減期が短いため再処理開始までの冷却期間中にほとんど減衰する。気体廃棄物としては85Krが主要な核種となる。131I(半減期:8.02日)などの短半減期放射性ヨウ素は使用済燃料プールでの冷却期間中に殆ど減衰し消滅する。
2.液体廃棄物
 再処理プロセスが溶媒抽出法を主体としたPUREX法を採用しているので廃液の量も多い。また、使用済燃料中の核分裂生成物の大部分が廃液中に含まれることになる。廃液は溶媒抽出廃液が主となるが、廃気の処理で発生する廃液量も多い。これらは一般には、図1のように比放射能の大きさにより高、中(酸性廃液、アルカリ性廃液)、低及び極低レベル放射性廃液に分別され、それぞれの放射能濃度と液組成に応じた処理法が適用される。しかしながら、設計・建設された時期、サイト条件及び法規制の違いにより、各再処理工場の廃液の分別法及び処理法は異なっている。
 高レベル放射性廃液は主として第1サイクルの抽出廃液と酸回収工程の濃縮液からなり、使用済燃料中のほとんどの不揮発性核分裂生成物、アクチノイド、少量のUとPu(使用済燃料中の約1%)、その他の腐食生成物が含まれている。この廃液は蒸発処理により濃縮され、濃縮後の放射能レベルは約107GBq/m3と極めて高く、熱発生(〜数10kW/m3)を伴い、Pu、Np、Tcなどの半減期の長い放射性核種を含んでいる。このため、耐放射線性、耐熱性、化学的安定性及び長期安定性の優れたホウケイ酸ガラス固化体の状態にし、30〜50年間、地上の貯蔵施設内に貯蔵され、その後地層処分することになっている。
 中・低及び極低レベル放射性廃液は、蒸発処理、化学処理及びイオン交換法など、またはこれらの方法を組み合わせて処理される。処理済液は海洋(または河川)に放出される。これら廃液の分別・処理・処分法も立地上及び法制上から再処理施設毎に異なっている。
3.固体廃棄物
 固体廃棄物には、剪断・溶解工程の硝酸に対して不溶性の被覆管(ハル)や燃料集合体部材などのいわゆるTRU廃棄物、施設内で発生した廃部材、廃資材よりなる可燃性、不燃性の低レベルの雑固体廃棄物などがある。
 可燃性、不燃性の低レベル雑固体廃棄物は、それぞれに適した減容処理及び焼却処理などを行った後、アスファルト固化やコンクリート固化される。また、廃気や廃液の処理に伴い発生する二次廃棄物(濃縮液、スラッジ等)も固化される。
 TRU廃棄物は未溶解燃料や核分裂性生成物で汚染されているだけでなく、放射化生成物となっている。これらは減容処理のための研究開発がなされているが、現在はほとんどが未処理の状態で保管されている。
4.再処理廃棄物の例
 再処理廃棄物の例として東海再処理工場において発生する放射性廃棄物を取り上げ、平成10年2月に取り纏めた気体廃棄物、液体廃棄物、固体廃棄物の主なものの発生量と放射能濃度の実績を表1に示す。発生量は使用済燃料トン当たりで示されており、処理される燃料の仕様や処理工程が著しく異ならない限り規模等の異なる他の再処理工場に対しても参考になるものと考えられる。
4.1 気体廃棄物
・クリプトン(85Kr)の発生量
 85Krは原子炉中で燃料の燃焼に伴い生成され燃焼度、冷却期間等により生成量が定まる。使用済燃料中に含まれる85Krは、燃料集合体のせん断、溶解工程でほぼ全量が放出される。平成9年度の実績データによると85Krの発生量は、約2.0×105GBq/MTUであった。85Krの半減期は約10年であり、不活性ガスであるので環境影響評価上は排気筒からの拡散放出で問題はない。現在、ガスを捕集して貯蔵減衰させる技術開発が進められている。
4.2 液体廃棄物
・高レベル濃縮廃液の発生量と放射能濃度
 抽出工程等から発生する高レベルの廃液は、蒸発缶で濃縮処理後高レベル廃液貯槽に保管されており、その一部はガラス固化技術開発施設にて固化処理される。高レベル廃液貯槽は常時換気されており、保管中に蒸発により少しずつ濃縮される。表1に示した発生量は、平成8年度末時点の高レベル濃縮廃液の保管量にガラス固化技術開発施設への累積払出量を加え、使用済燃料の累積処理量で除して求めたものであり、高レベル濃縮廃液の発生量は約0.6m3/MTUであった。
 高レベル濃縮廃液の放射能濃度は、再処理した使用済燃料の燃焼度、冷却期間等により変動する。表1のデータは、平成8年度末時点で保管されている高レベル濃縮廃液の平均的放射能濃度であり、その値は約1.0×107βGBq/m3(ガンマ放射能量の測定結果を、ベータ放射能量に換算した値を示す、以下同じ)である。
・低レベル濃縮廃液の発生量と放射能濃度
 溶媒洗浄廃液やオフガス洗浄廃液などの低レベル廃液は、蒸発缶で濃縮処理して低放射性濃縮廃液貯槽に保管し、その後、アスファルト固化処理される。この種の低レベル廃液は、再処理工場停止中においても発生することから、その発生量は、使用済燃料の処理量に直接的に比例するものではない。表1に示したデータは、平成8年度末までの低レベル濃縮廃液の累積発生量を使用済燃料の累積処理量で除して求めたものであり、その発生量は約4m3/MTUであった。
 低レベル濃縮廃液の放射能濃度は、再処理工場の運転状態、使用済燃料の燃焼度、冷却期間等により変動するものである。表1のデータは、平成8年度末時点で保管している低レベル濃縮廃液の平均的放射能濃度を示したものであり、その値は約1.0×103βGBq/m3である。
・極低レベル濃縮廃液の発生量と放射能濃度
 各建屋から発生する床ドレンや酸回収凝縮液などの極低レベル廃液は、蒸発缶で濃縮し濃縮液貯槽に保管し、その後、アスファルト固化処理される。この種の極低レベル廃液は、再処理工場停止中においても発生することから、その発生量は使用済燃料の処理量に直接比例するものではない。表1に示したデータは、平成8年度末までの極低レベル濃縮廃液の累積発生量を使用済燃料の累積処理量で除して求めたものであり、その発生量は、約4m3/MTUであった。
 極低レベル濃縮廃液の放射能濃度は、再処理工場の運転状態、使用済燃料の燃焼度、冷却期間等により変動するものである。表1は、平成8年度末時点で保管されている極低レベル濃縮廃液の平均的放射能濃度を示したものであり、その値は、約0.1GβBq/m3である。
・廃溶媒・廃希釈剤の発生量と放射能濃度
 溶媒抽出工程の運転に伴い、廃溶媒や廃希釈剤が発生する。これらの廃溶媒及び廃希釈剤は、一時貯蔵後、ドデカンとTBPに分離され、TBPについてはプラスチック固化処理されてきた。廃溶媒及び廃希釈剤の発生量は抽出工程の運転日数、キャンペーン終了時に廃棄する溶媒の量により変動するものである。表1に示したデータは、昭和63年から平成8年までの間に発生した量を当該期間の使用済燃料の処理量で除して求めたものであり、その発生量は約0.5m3/MTUであった。
 廃溶媒及び廃希釈剤中の放射能濃度は、再処理工場の運転状態や、使用済燃料の燃焼度、冷却期間及び溶媒の劣化の程度により変動する。表1に示したデータは、昭和63年から平成8年までに発生した廃溶媒及び廃希釈剤の平均的放射能濃度を示したものであり、その値は約100βGBq/ m3である。
4.3 固体廃棄物
・エンドピース・ハル等の発生量
 機械処理工程で発生するエンドピースや溶解工程で発生するハル及び機械処理工程セル内で発生する機器部品等の廃棄物は、容量350リットルのハル缶に収納し貯蔵されている。表1に示したデータは昭和52年から平成9年末までに発生したハル缶の本数から発生量を算出し、それを使用済燃料の累積処理量で除して求めたものであり、その発生量は約0.6m3/MTUであった。
・雑固体(可燃、難燃、不燃)廃棄物の発生量
 この種の雑固体廃棄物は、再処理工場停止中においても保守・補修作業に基づき発生することから、その発生量は使用済燃料の処理量に直接比例するものではない。表1に示したデータは、昭和52年から平成8年度末までに再処理施設から発生した雑固体(可燃、難燃及び不燃)廃棄物の発生量を使用済燃料の累積処理量で除して求めたものであり、その値は約10m3/MTUである。
5.その他
 再処理廃棄物に関しては、原子力百科事典ATOMICAの<05-01-02-03>「再処理施設からの放射性廃棄物処理」等を参照されたい。
(前回更新:2000年3月)
<図/表>
表1 東海再処理工場から発生する放射性廃棄物の種類と量(実績)
図1 再処理施設の放射性廃棄物発生系統と処理概要
図2 軽水炉内でのウラン燃料の転換

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
再処理の概要 (04-07-01-01)
世界の再処理工場 (04-07-01-07)
気体廃棄物の処理 (04-07-02-06)
高レベル廃液の処理 (04-07-02-07)
中・低レベル廃液の処理 (04-07-02-08)
固体廃棄物の処理 (04-07-02-09)
使用済(廃)溶媒の処理 (04-07-02-10)
東海再処理工場 (04-07-03-06)
再処理施設からの放射性廃棄物の処理 (05-01-02-03)
再処理プロセスにおける放射性廃棄物の発生源 (11-02-04-02)

<参考文献>
(1)動力炉・核燃料開発事業団:動燃技報 No.55−再処理特集(1985)
(2)日本原子力産業会議:放射性廃棄物管理ガイドブック(1988年版)
(3)日本原子力産業会議:放射性廃棄物管理ガイドブック(1994年版)
(4)火力原子力発電技術協会(編):やさしい原子力発電、火力原子力発電技術協会(1990年6月)
(5)火力原子力発電技術協会(編):原子燃料サイクルと廃棄物処理、火力原子力発電技術協会(1986)
(6)日本原子力産業会議(編):放射性廃棄物管理−日本の技術開発と計画,(1997年7月)
(7)長崎晋也、中山真一(共編):放射性廃棄物の工学、オーム社(2011)
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