1.内外の原子力関係の出来事(1926年〜1939年)(昭和元年〜昭和14年)
年 |
月日 |
国内 |
国外 |
1926年 (昭和元年) |
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量子力学(波動力学)の構築 シュレーディンガー(独) |
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フェルミ統計の構築 フェルミ(伊) |
1927年 (昭和2年) |
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不確定性原理を提唱 ハイゼンベルク(独) |
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X線による遺伝子の人為的突然変異創出の実験 マラー(米) |
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電子線の回折 デヴィソン(米)ら |
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水素共有結合の量子論 ハイトラー(独)、ロンドン(米) |
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相補性原理 ボーア(デンマーク) |
1928年 (昭和3年) |
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α崩壊の量子力学的理論(トンネル効果)を発表 ガモフ(ソ連) |
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コンプトン散乱に関するクライン−仁科の式を提出 クライン(独)、仁科(日) |
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GeigerMueller計数管を考案 ガイガー、ミュラー(独) |
1929年 (昭和4年) |
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相対論的場の量子論を提唱 ハイゼンベルク(独)、パウリ(オーストリア) |
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統一場の理論を発表 アインシュタイン(独) |
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粒子加速器を発明 コッククロフト、ウォルトン(英) |
1930年 (昭和5年) |
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サイクロトロンを発明 ローレンス、リビングストン(米) |
1931年 (昭和6年) |
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静電高圧発生装置の発明 ヴァン・デ・グラーフ(米) |
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重水素のスペクトル線を発見(32年にテーラーらが分離に成功) ユーリー、マーフィ、ブリックウェッド(米) |
1932年 (昭和7年) |
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宇宙線中に陽電子発見 アンダーソン(米) |
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高電圧加速装置でLi原子核の人工的変換に成功 コッククロフト、ウォルトン(英) |
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中性子の発見 チャドウィック(英) この直後、原子核は陽子と中性子から構成されると指摘 ハイゼンベルグ |
1933年 (昭和8年) |
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ベータ崩壊の理論発表 フェルミ(伊) |
1934年 (昭和9年) |
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人工放射能の発見 ジョリオ・キュリー夫妻(仏) |
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サイクロトロンにより人工放射性核種を作る ローレンス(米) |
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ウランの熱中性子照射による超ウラン元素の生成を試みる フェルミら(伊)
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三重水素(トリチウム)発見 ロジャース(米)ら |
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チェレンコフ効果の発見 チェレンコフ(ソ連) |
1935年 (昭和10年) |
2/2 |
中間子論を発表 湯川秀樹 |
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理研でコッククロフト・ウォルトン型加速器完成 |
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初めて放射性核種をトレーサーに応用(P-32、物質代謝の研究) ヘベシー(ハンガリー) |
1936年 (昭和11年) |
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米で、サイクロトロンを用いた中性子による治療の研究はじまる |
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中性子の回折現象実証 ミッチェル、バワーズ(米) |
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米X線ラジウム防護諮問委員会、全身許容線量率を1日当り0.1レントゲンにすることを勧告 |
1937年 (昭和12年) |
3/30 |
大阪帝大でサイクロトロン完成(重陽子、4.5 MeV) |
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宇宙線に中間子発見 アンダーソン・ネッダマイヤー(米) |
4月 |
理研でサイクロトロン完成(重陽子、3MeV) |
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4/15 |
N.ボーア(デ)来日 |
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1938年 (昭和13年) |
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『原子核及び元素の人工変換』(上巻) 菊池正士著 |
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12/22 |
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ウランの核分裂現象発見 ハーン、シュトラスマン(独) |
1939年 (昭和14年) |
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理研、高速中性子によるウラン、トリウムの核分裂現象追試 |
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世界各大学および研究機関でウランに関する研究が盛況 |
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理研でサイクロトロン製Na‐24を動物実験に使用 |
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核分裂によるエネルギーの解放実証される フリッシュ(英) |
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京大で核分裂中性子数の追試 |
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2/2 |
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ウラン研究の成果を非公開にする動き出る シラード(米) 独側の利用を防ぐため仏の研究者に要請 |
2月 |
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核分裂中性子発見(米およびポーランドで) |
2月 |
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遅発中性子発見(核分裂の制御可能に) ロバート(米)ら |
2月 |
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ウランの天然同位体のうちU‐235のみが核分裂性であると発表 N.ボーア(デ) |
2~4月 |
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ウランの核分裂中性子が複数個であることを確認(核分裂連鎖反応の可能性確立) ジョリオ(仏)ら |
3/16 |
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米海軍に核分裂の軍事利用を急ぐよう要請 フェルミ |
4/24 |
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独、ハルテヒ書簡により原爆に関心を示す |
4/25 |
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米物理学会で核分裂の理論発表 ボーア(デ)、ウイラ−(米) |
5/1 |
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原子炉に関する世界最初の特許発効(スイス特許233011号) ジョリオ(仏)ら出願 |
5/13 |
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仏、ベルギーのユニオン・ミニエール社とウラン50トンの購入契約結ぶ(第二次世界大戦ぼっ発のため、 仏入手できず) |
8/3 |
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ルーズベルト米大統領宛書簡で「原爆製造の早期着手」を勧告 アインシュタイン |
8月 |
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減速材中での中性子増殖実験を行う ジョリオ(仏)ら |
9/26 |
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独、ウラン委員会発足 |
10/21 |
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米、ウラン問題大統領諮問委発足 |
11/1 |
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米ウラン諮問委報告書を提出(原爆と原子力の工業利用の可能性を強調。黒鉛の断面積測定に黒鉛4トンと酸化ウラン50トンの入手を勧告) |
2.社会一般の出来事(1926年〜1939年)(昭和元年〜昭和14年)
年 |
月日 |
国内 |
国外 |
1927年 |
12/30 |
上野−浅草間2.2kmに日本初の地下鉄開業 |
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1928年 |
3/10 |
世界で初めてブラウン管を用いたテレビ実験に成功 高柳健次郎 |
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1929年 |
10/24 |
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ニューヨークウォール街の証券取引所で株価大暴落。世界恐慌の発端となる |
1931年 |
9/1 |
上越線清水トンネルが開通。全長9,702m |
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9/18 |
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満州事変勃発 |
1933年 |
1/30 |
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ナチス政権成立 |
2/24 |
日本、国際連盟を脱退 |
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1934年 |
9/21 |
室戸台風が関西に記録的な被害もたらす |
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12/29 |
日本、ワシントン海軍軍縮条約を破棄 |
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1936年 |
12/5 |
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スターリンの独裁的地位が確立 |
1937年 |
7/7 |
日中戦争はじまる |
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1938年 |
4/1 |
国家総動員法公布。政府は勅令によって無制限に人的、物的資源を統制、運用することが可能になる |
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1939年 |
3月 |
東洋レーヨン、ナイロン66の合成に成功 |
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9/3 |
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英仏、独に対して宣戦。第2次世界大戦起こる |
<関連タイトル>
トリウムの放射能分析から放射能壊変の法則を導いたラザフォードとソデイの実験 (16-03-03-01)
ユーレイによる重水素の発見 (16-03-03-05)
原子核の発見となったラザフォード、ガイガー、マースデンのアルファ線散乱実験と解析 (16-03-03-06)
人工放射性核種を初めて生成したジョリオ・キュリー夫妻のアルファ線衝撃実験 (16-03-03-08)
チャドウィックによる中性子の発見 (16-03-03-09)
ハーン、シュトラスマン、マイトナー、フリッシュによる核分裂現象の発見 (16-03-03-11)
<参考文献>
(1) 日本原子力産業会議(編):原子力年表(1934-1985)、日本原子力産業会議(1986年11月)
(2) 伊東俊太郎ほか(編):科学史技術史事典、弘文堂(1983年3月)
(3) 国立天文台(編):理科年表 2001、丸善(2000年11月)、p.630-631,p.1031
(4) 樺山紘一ほか(編):クロニック 世界全史、講談社(1994年11月)
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