<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> エネルギー政策
<小項目> 電力政策
<タイトル>
電気事業審議会および電気事業分科会の役割 (01-09-05-10)

<概要>
 電気事業審議会は、電気事業法によって設置され、通商産業大臣(現経済産業大臣)の諮問に応じて電気事業に関する重要事項を調査審議し、また、電気事業に関する重要事項について通商産業大臣に建議することを主たる役割としていた。その後、中央省庁再編に伴う電気事業法の改正によって電気事業審議会は廃止され、これに代わって、2001年(平成13年)1月に総合資源エネルギー調査会の下に電気事業分科会が設置され、電気事業審議会の役割を継承することとなった。電気事業分科会の下には基本問題小委員会、コスト等検討小委員会、制度・措置検討小委員会、市場監視小委員会、制度改革評価小委員会等が置かれ、さらに2005年(平成17年)には原子力部会が総合資源エネルギー調査会から移動する形で設置された。電気事業分科会は今後の電気事業制度のあり方を中心に審議を行い、基本方針および具体的施策の提言を行ってきた。
<更新年月>
2009年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 電気事業審議会は、電気事業法(1964年7月11日公布)によって設置され、1)通商産業大臣(現経済産業大臣)の諮問に応じ、電気事業に関する重要事項を調査審議すること、および、2)電気事業に関する重要事項について、通商産業大臣に建議することを主たる役割としていた。その後、中央省庁再編に伴う電気事業法の改正によって電気事業審議会は廃止され、これに代わって、経済産業省設置法第18条、総合資源エネルギー調査会令第6条に基づき、2001年1月に総合資源エネルギー調査会の下に電気事業分科会が設置され、電気事業審議会の役割を継承することとなった。以下に、電気事業審議会、および電気事業分科会の役割と審議経過をまとめる。
1.電気事業審議会の役割と審議経過
 電気事業審議会は、電気事業に関する重要事項について調査審議して通商産業大臣に建議することができ、通商産業大臣はこの建議を尊重しなければならないことが旧電気事業法で定められていた。これは電気事業が地域独占的な、高度の公益性をもつ重要産業であることから、電気の使用者の利益保護と電気事業の健全な発達を図るため、広く各界の意見を求めて、これを電力行政に反映させ適切な行政を行う目的からである。
 電気事業審議会は電気事業制度の個別分野に関して詳細な審議を行うための部会を設置することができ、1973年(昭和48年)11月に料金制度部会と需給部会を設置し、1997年(平成9年)7月には基本政策部会を設置した。
 需給部会では、主として長期電力需給見通しなどが審議された。1994年3月から総合エネルギー調査会需給部会の長期エネルギー需給見通しの検証作業に合わせて、長期電力需給見通しの検証作業を行うこととした。このため、需給部会の下に、事業運営の効率性(需要面を含む)を確保するための基本的な問題について総合的な検討を行うための「電力基本問題検討小委員会」およびこの一環として自家用発電施設を含めた電気工作物の保安の在り方を専門に取り扱う「電力保安問題検討小委員会」を設置した。電力基本問題検討小委員会では、卸供給に係る入札制度の活用を円滑化する観点から、制度運用上の改善点として入札に係る情報の公開、入札の実施方法、廃棄物発電の取扱いおよび入札枠の設定について検討し、1997年(平成9年)2月に中間報告にとりまとめた。
 長期電力需給見通しについては、1994年(平成6年)6月に策定した見通しを4年ぶりに改定し、1998年(平成10年)6月に中間報告としてとりまとめた。1998年の改定は、電力需要の着実な増加と原子力発電所立地を取り巻く環境が極めて厳しくなってきたことなどの供給面での環境変化、1997年(平成9年)12月の地球温暖化防止京都会議での合意を踏まえた地球温暖化問題への対応の必要性、エネルギー・セキュリティの確保、電力供給の効率化の課題に対処するためである。
 基本政策部会では、1997年7月に通商産業大臣から「2001年(平成13年)までに国際的に遜色のないコスト水準を目指し、わが国の電力コストを中長期的に低減する基盤の確立を図るため、今後の電気事業はいかにあるべきか」の諮問が付託され、1999年(平成11年)1月に、電力小売の部分自由化を柱とする基本答申をとりまとめた。その後に設置された基本政策部会と料金制度部会の合同小委員会(電気事業審議会合同小委員会)において、託送、料金、適正取引に関する3つのワーキング・グループを設置して、さらに検討を深め、1999年12月に「基本政策部会報告・料金制度部会中間報告」(制度答申)としてとりまとめた。
2.電気事業分科会の役割と審議経過
 電気事業分科会の所掌事務は、電気事業に関する重要事項を調査審議することと定められているが、基本的に電気事業審議会の役割を継承して審議を行い、経済産業大臣に建議を行っている。電気事業分科会の下には基本問題小委員会、コスト等検討小委員会、制度・措置検討小委員会、市場監視小委員会、制度改革評価小委員会、適正取引ワーキンググループ、制度改革ワーキンググループが置かれ、さらに2005年(平成17年)には原子力部会が総合資源エネルギー調査会から移動する形で設置された(図1)。
 電気事業分科会の会合では、基本問題小委員会、制度・措置検討小委員会、制度改革評価小委員会等からの報告を受けて今後の電気事業制度の適切なあり方に関する審議を進め、2004年(平成16年)5月に報告書「今後の望ましい電気事業制度の詳細設計について」をとりまとめ、中立機関ルールに関する考え、卸電力取引市場に係る検討、電源線に関する系統利用料金上の取扱いについての見直し、振替供給料金の廃止に伴い必要な代替措置、託送制度等の見直し、会計分離(送配電部門の会計整理)等に関して提言を行った。
 また、2008年(平成20年)3月に報告書「今後の望ましい電気事業制度の在り方について」(「基本答申」)をとりまとめ、小売自由化範囲、発電・卸電力市場の競争環境整備、同時同量・インバランス制度、託送供給料金制度等に関して提言するとともに、「基本答申確定後、速やかに制度改革ワーキンググループにおいて詳細制度設計を行い、可能なものから早期に実施することが重要」であるとした。これを受けて、制度改革ワーキンググループで基本答申に基づく詳細制度設計についての具体的検討が行われ、同年7月に今後の電気事業制度の具体的在り方を示すものとして「今後の望ましい電気事業制度の詳細設計について」が報告されている。
 電気事業分科会の下に設置された各小委員会、ワーキンググループの活動状況、報告書は随時電気事業分科会に報告され、分科会の報告書に反映されているが、これまでの小委員会による主要な報告書を以下に紹介する。
 コスト等検討小委員会では今後の使用済燃料再処理、廃棄物処理等の燃料サイクル・バックエンド事業に係るコストの試算を行い、2004年(平成16年)1月に「バックエンド事業全般にわたるコスト構造、原子力発電全体の収益性等の分析・評価−コスト等検討小委員会から電気事業分科会への報告—」をとりまとめた。
 制度改革評価小委員会では、1995年度(平成7年度)からの3次にわたる電気事業制度改革の影響を評価し、それを踏まえた上で、2007年(平成19年度)から検討が開始される小売全面自由化についての準備として、今後の制度改革のあり方に関する検討を行い、2006年(平成18年)5月に「制度改革評価小委員会報告書」をとりまとめた。
 また、2008年(平成20年)10月に「昨今の燃料価格の大幅かつ急激な変動および地球温暖化問題への対応の必要性の高まり等の電気事業を取り巻く状況変化を踏まえ、今後の電気料金制度はいかにあるべきか」との経済産業大臣の諮問を受けて、料金制度小委員会が設置され、まずは、燃料費調整制度のあり方について集中審議を実施し、2009年(平成21年)1月に「総合資源エネルギー調査会電気事業分科会第1次報告〜燃料費調整制度の見直しについて〜」をとりまとめ、燃料価格実績の料金反映方式などに関する提言を行った。今後、電気料金に関する今後の行政関与の在り方、地球温暖化問題への対応の必要性の高まり等を踏まえた料金制度の在り方などに関して審議し、第2次報告をとりまとめることとなっている。
 これらの小委員会に加えて、上記のとおり、2005年(平成17年)に電気事業分科会の下に原子力部会が設置された。原子力政策のあり方に関する審議は、中央省庁再編前には総合エネルギー調査会原子力部会で行われていたが、2001年の総合資源エネルギー調査会発足後は引き続きその中に原子力部会が設置され、今後の原子力政策のあり方に加えて、核燃料サイクルの確立に向けた技術のあり方、特定放射性廃棄物の最終処分事業の進め方に関する提言を行うよう付託を受け、後2件の付託に対してはそれぞれ核燃料サイクル技術検討小委員会、高レベル放射性廃棄物処分専門委員会を設置して審議が行われた。
 総合資源エネルギー調査の原子力部会は2005年(平成17年)に廃止され、同年7月7日に電気事業分科会の下に新たに原子力部会が設置され、引き続き上記事項の再付託を受けて、委員会(高レベル放射性廃棄物処分専門委員会は放射性廃棄物小委員会と改組)の審議を行うとともに、電気事業を取り巻く各種情勢の変化等を踏まえた今後の原子力政策のあり方を検討することとなった。そして、2006年(平成18年)8月には、「総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会報告書〜原子力立国計画〜」をとりまとめた。この報告書は、2005年(平成17年)10月に閣議決定された「原子力政策大綱」の基本目標、1)2030年以後も発電電力量の30〜40%程度以上の役割を期待、2)核燃料サイクルを着実に推進、3)高速増殖炉の2050年の商業ベース導入、を実現するための具体的施策と各主体の役割等について提言を行ったものである。
 原子力部会の下に設置された小委員会の動きとして、放射性廃棄物小委員会では、(1)高レベル放射性廃棄物処分関連(計画、費用、最終処分地確保のあり方等)、(2)返還廃棄物関連事項、(3)TRU廃棄物処分関連(処分方法と実施主体)、(4)その他放射性廃棄物対策に係る事項、の審議を進め、2007年(平成19年)11月に中間とりまとめ「最終処分事業を推進するための取組の強化策について」を作成し、翌年2月の第16回原子力部会に報告した。
 核燃料サイクル技術検討小委員会では、核燃料サイクル事業の推進全般に関して審議を行うとともに、特に、旧原子力部会以来継続しているウラン濃縮技術評価ワーキンググループでの新型遠心機の技術開発と導入計画の検討についての審議を行い、2005年(平成17年)8月には同ワーキンググループによる中間報告書の提出を受けて「遠心法ウラン濃縮事業推進費補助金プロジェクト」の評価を行った。
 この他、2005年(平成17年)11月の第5回原子力部会の議論を受けて、電力自由化と原子力に関する小委員会が設置され、2006年(平成18年)の1月から5月にかけて集中的な審議を行い、原子力政策大綱の目標を実現する上での課題と対応策をとりまとめ、2006年(平成18年)5月の第11回原子力部会に報告した。
 さらに、世界的な原子力発電の拡大に伴い、燃料需給バランスの変化や産業再編の進展など、わが国の電気事業者やメーカー等の事業環境・競争条件は大きく変化していくと見込まれるなかで、こうした変化に柔軟かつ戦略的に対応し、原子力立国計画で確立した方針の戦略的推進を図ることを目的に、2008年(平成20年)10月に原子力部会の下に国際戦略検討小委員会が設置された。新規導入国・開発途上国への協力、先進国間の協力、核燃料の安定供給確保と核燃料サイクルの推進等について審議し、2009年(平成21年)5月頃に中間報告骨子(案)をまとめる予定としている。
(前回更新:2000年3月)
<図/表>
図1 電気事業分科会の審議体制

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<関連タイトル>
日本の発電電力量と2010年度までの電力供給目標(1994年6月) (01-04-01-01)
電源別耐用年発電原価試算(1992年度運転開始ベースでの通商産業省の試算) (01-04-01-03)
バックエンドコストと原子力発電の経済性評価 (01-04-01-18)
原子力立国計画(2006年8月、総合資源エネルギー調査会原子力部会報告) (10-02-02-15)
経済産業省と原子力行政 (10-04-06-01)
総合資源エネルギー調査会 (10-04-06-02)

<参考文献>
(1)経済産業省ホームページ:電気事業審議会
(2)経済産業省ホームページ:電気事業審議会基本政策部会報告・料金制度部会中間報告(「制度答申」)
(3)経済産業省ホームページ:総合資源エネルギー調査会電気事業分科会
(4)経済産業省ホームページ:総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会
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