<大項目> 原子力の行政・制度・政策
<中項目> 原子力行政開発政策
<小項目> 研究開発の進め方
<タイトル>
原子力立国計画(2006年8月、総合資源エネルギー調査会原子力部会報告) (10-02-02-15)

<概要>
 原子力政策の基本目標は、「原子力政策大綱」(2005年10月閣議決定)により、(1)2030年以後も、発電電力量の30〜40%程度以上の役割を期待、(2)核燃料サイクルを着実に推進、(3)高速増殖炉の2050年の商業ベース導入を目指すなどとされている。この「原子力政策大綱」の目標を実現するための政策について審議するため、2005年7月以降、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会原子力部会を開催・審議し、パブリックコメントも踏まえ、2006年8月に「原子力立国計画」として実現方策をとりまとめた。
<更新年月>
2006年12月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 「原子力政策大綱」(2005年10月閣議決定)では、(1)2030年以後も、発電電力量の30〜40%程度以上の役割を期待、(2)核燃料サイクルを着実に推進、(3)高速増殖炉の2050年の商業ベース導入を目指すなどとされている。この「原子力政策大綱」の目標を実現するための政策について審議するため、約4年ぶりに総合資源エネルギー調査会原子力部会が開催され、2005年7月以降2つの小委員会(電力自由化と原子力に関する小委員会、放射性廃棄物小委員会)を含めて27回審議し、パブリックコメントも踏まえ、2006年8月に「原子力立国計画」として表1の実現方策がとりまとめられた。以下に報告書の概要を示す。
1.原子力政策立案に当たっての5つの基本方針
 原子力施設の設計・建設・運転・廃止から放射性廃棄物の処分、更には核燃料物質等の輸送にわたり、あらゆる段階における安全の確保を大前提に、国民の理解・協力を得つつ、以下の5つの基本方針に基づき原子力政策を進めることが重要である。
(1)「中長期的にブレない」確固たる国家戦略と政策枠組みを確立する。
(2)個々の施策や具体的時期については、国際情勢や技術の動向等に応じた
「戦略的柔軟さ」を保持する。
(3)国、電気事業者、メーカー間の建設的協力関係を深化させる。
 このため関係者間の真のコミュニケーションを実現し、ビジョンを共有する。先ずは国が大きな方向性を示して最初の第一歩を踏み出す。
(4)国家戦略に沿った「個別地域施策」を重視する。
(5)「開かれた公平な議論」に基づく政策決定による政策の安定性を確保する。

2.原子力を巡る時代環境
 何故原子力が必要なのか、原子力を見直す世界の動きについて、原子力をめぐる時代環境として表2に示す。

3.現状・課題と今後の対応
3.1 現行水準以上の原子力発電比率の中長期的な実現に向けた取組
(1)電力自由化時代の原子力発電の新・増設、既設炉リプレース投資の実現
 電力自由化の進展や需要の伸びの低迷が見られる中で、原子力発電の当面の新・増設や既設炉の本格的な建て替え投資を円滑に実現できるよう、表3に示す投資環境の整備を進めるべきである。全面自由化を行うかどうかの電気事業制度のあり方について、電気事業分科会において2007年を目途に開始される検討の際には、今後の原子力発電投資に及ぼす影響に十分に配慮して慎重な議論が行われることが適切である。
(2)安全確保を大前提とした既設原子力発電所の適切な活用
 原子力推進の大前提は安全を確保し、それに対する国民の信頼を得ることである。既設の原子力発電所を活用するに当たっても、安全を最優先に取り組み、国民のご理解を得ることが何よりも重要であるが、この取組はまだ道半ばである。更なる品質保証の充実・強化、事業者の運転保守高度化も含めた保安活動の高度化を踏まえ、より実効性の高い検査への移行を進めるべきである。
3.2 核燃料サイクルの着実な推進とサイクル関連産業の戦略的強化
 表4に、核燃料サイクルを巡る最近の動きを示す。表5に示すように、核燃料サイクルの着実な推進とサイクル関連産業を戦略的に強化すべきである。
3.3 高速増殖炉サイクルの早期実用化
 表6に示す高速増殖炉サイクルの早期実用化を進めるべきである。

4.技術・産業・人材の厚みの確保・発展
 既設炉の本格的な建て替えが始まるまでの新規建設低迷期の間、原子力発電を支える原子力産業の技術、産業・人材の厚みの維持・強化できるかどうかは深刻な課題であり、表7に示す対策を進めるべきである。

5.わが国原子力産業の国際展開支援
 わが国原子力産業の技術・人材を維持するという観点に加え、世界的なエネルギー需給逼迫の緩和や地球温暖化防止に貢献する観点から、原子力産業の国際展開を積極的に支援する。そのため、(1)政府としての支援意思の明確化(例:経済産業大臣の中国副首相宛の支援意志表明書簡の発出)、(2)人材育成協力(中国、ベトナム向け安全研修制度の拡充)、(3)今後原子力発電を導入しようとする国に対する制度整備のノウハウ支援− 今年度からベトナム・インドネシア向け官民合同支援を開始、(4)公的金融の活用、(5)二国間協力協定等の枠組み作り、(6)原子力のCDM(クリーン開発メカニズム)、JI(共同実施)への組入れを推進すべきである。

6.原子力発電拡大と核不拡散の両立に向けた国際的な枠組み作りへの積極的関与
 核不拡散と原子力平和利用の両立を実現している模範国としてのモデルを世界に示していくこと、GNEP構想など、新たな国際的枠組み作りの動きに対して、単に日本の特殊性を主張するだけでなく、これまでの経験や技術を最大限に活かし積極的に協力・貢献を行うべきである。

7.原子力と国民・地域社会との共生
 表8に示す国と立地地域の信頼関係の強化、きめの細かい広聴・広報の実施を進めるべきである。

8.放射性廃棄物対策の着実な推進
 表9に示す放射性廃棄物対策を着実に推進すべきである。
<図/表>
表1 「原子力政策大綱」の実現方策(「原子力立国計画」2006年8月策定)
表2 原子力をめぐる時代環境
表3 電力自由化時代の原子力発電の新・増設、既設炉リプレース投資環境の整備
表4 核燃料サイクルを巡る最近の動き
表5 核燃料サイクルの着実な推進とサイクル関連産業の戦略的強化
表6 高速増殖炉サイクルの早期実用化
表7 次世代を支える技術・産業・人材の厚みの確保・発展策
表8 国と立地地域の信頼関係の強化、きめの細かい広聴・広報の実施
表9 放射性廃棄物対策の着実な推進

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<関連タイトル>
地球温暖化防止京都会議(1997年のCOP3) (01-08-05-15)
長期エネルギー需給見通し(1998年6月・総合エネルギー調査会需給部会) (01-09-09-05)
長期エネルギー需給見通し(2001年7月・総合資源エネルギー調査会) (01-09-09-06)
長期エネルギー需給見通し(2005年3月・総合資源エネルギー調査会需給部会) (01-09-09-08)
新・国家エネルギー戦略 (01-09-09-09)

<参考文献>
(1)資源エネルギー庁:原子力立国計画、総合資源エネルギー調査会 電気事業分科会原子力部会 報告書骨子(平成18年8月)
(2)資源エネルギー庁ホームページ:総合資源エネルギー調査会 電気事業分科会原子力部会 報告書 −「原子力立国計画」−(平成18年8月)
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