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<概要>
 総合エネルギー調査会(現総合資源エネルギー調査会)は、3年ぶりの見直しを行い、6月に2010年度を展望した長期エネルギー需給見通しを発表した。原子炉再循環ポンプの故障で長い期間停止していた東京電力の福島第二・3号機が12月、約2年ぶりに営業運転に復帰した。柏崎刈羽5号、同2号が相次いで営業運転に入った。六ヶ所村の原子燃料サイクル施設に関しては、そのトップランナーとして建設が進んでいるウラン濃縮工場は、9月に第1期運転の遠心分離機の搬入を終え、二番目の低レベル放射性廃棄物埋設施設は、11月に事業許可を取得した。再処理工場については、10月に安全審査の補正申請を行い、地質構造に関する追加調査の結果を申請書に反映させた。同工場建設の大前提となる日仏原子力協力協定が7月に発効した。米原子力産業界は、1990年代半ばに新規発電所を受注し、2000年までに運転開始させる明確な目標を定め、その実現に向けて総力をあげて取組むための戦略計画を策定した。
<更新年月>
1998年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.内外の原子力関係の出来事
月日 国内 国外
1990年
(平成2年)
1/11 六ヶ所村議会、原子燃料サイクル施設促進の請願を採択  
1/26   米世論調査で8割が原発を重要視
2/21 科技庁(現文科省)、低レベル放射性廃棄物埋設施設の安全審査終了し、原子力委と安全委にダブルチェック諮問  
2/23 科技庁、東大病院にRI管理問題で調査報告  
3/1   米原子力規制委、全米の原発運動のシンボルとされてきたシーブルック原発に全出力運転認可。5/29営業運転開始
3/12 原子力委、初のアジア地域協力国際会議を開催(〜13日〉  
3/14 三菱重工とMAPI、燃料サイクル開発の新会社「ニュークリア・デペロップメント」発足を発表  
3/20 仙台高裁、東京電力福島第二1号機の設置許可は適法と判決 米国TMI−2号機の炉心サンプル採取を終了
3/22 原研(現日本原子力研究開発機構)国産研究炉JRR‐3、改造を完了し臨界達成  
3/26 原産が世界の原子力動向を発表、原発426基(1990年末現在)  
3/29 原子力船「むつ」、出力上昇試験を開始。7/10洋上試験に出航  
3/31 動燃(現日本原子力研究開発機構)、ウラン濃縮パイロットプラント(50トンSWU/年)運転終了。濃縮技術の確立に多大の貢献  
4/2   米DOE、エネルギー戦略中間報告を公表
4/10 東京電力柏崎刈羽5号機、営業運転。原発38基目、3000万kW台に  
4/17 東京電力、福島第二3号機の事故について再発防止策を発表 スウェーデン、原発早期廃止は実行困難と結論
4/23   英原子力施設検査局、2原発の寿命延長決める
4/26 原子力安全委、低レベル放射性廃棄物埋設施設の公開ヒアリング開催  
5/2   米FDA、サルモネラ菌対策として鶏肉への放射線照射許可
5/7   IAEAチェルノブイリ事故の放射線影響調査計画を公表
5/9 原研、JPDRの原子炉圧力容器解体開始 OECD/NEA、LOFT(冷却材喪失事故実験)計画の最終結果を公表
5/14 レーザー濃縮技術組合、実験装置完成  
5/18   IAEAとOECD/NEA、国際原子力事故尺度(INES)の試験的運用を開始
5/25 日韓原子力協力取決め締結。原子力安全分野を中心に  
5/30   米アルゴンヌ研、大型放射光施設建
6/5 総合エネルギー調査会(現総合資源エネルギー調査会)、新長期エネルギー需給見通しをまとめる。原子力発電は2010年に7250万kWへ下方修正、原子力立地の重要性クローズアップ  
6/8 原研研究炉JRR‐2、20年ぶりに医療照射  
6/10 東京電力、反原発市民団体と福島第二3号機で公開討論会  
6/13 電気事業審議会(現総合資源エネルギー調査会電気事業分科会)、長期電力需給見通し発表、原子力が電力供給の主力に  
6/28 通産省(現経産省)、従事者の被曝状況まとめる。1989年度1人あたり平均1.7ミリシーベルト  
7/5 通産省、東京電力福島第二3号機について「運転再開に問題なし」と評価結果を公表  
7/10 ヒューストン・サミットの経済宣言、原子力発電が温室効果ガスの放出を減少する上で重要な役割を果たすことを明記  
原子力船「むつ」、洋上試験のため16年ぶりに外洋に出港  
7/17   米原子力規制委、原発の寿命延長規則を公表
7/19 日仏原子力協力協定発効  
7/25 北海道電力泊2号機、営業運転  
8/9 原子力安全委放射性物質安全輸送専門部会、IAEA輸送規則の国内採用について報告  
8/20 NPT核不拡散条約)再検討会議開催(ジュネーブ)  
8/22   米商務省、従来禁止の高性能コンピュータの対ソ連輸出を承認
8/23 東京電力など3電力、猛暑で最大電力需要記録を更新  
9/6   英エネルギー相、ヒンクレーポイントC原発の計画を認可
9/13 日本原燃産業ウラン濃縮施設、遠心分離機第一期分(150トンSWU/年)の搬入終了  
9/14   米厚生省、原子力施設周辺のガン発生状況調査結果から放射線リスクはないと見解発表
9/23   スイス国民投票、原発の早期廃止を否決、新規建設10年間凍結を支持
9/25 原子力船「むつ」、高出力試験のため第二次航海に出港。10/5原子炉出力100%達成  
9/28 東京電力柏崎刈羽2号機、営業運転  
10/4 原子力安全委、東京電力福島第二・3号機の運転再開を承認  
10/15   英労働党、原発の新規建設中止を打ち出す
10/18 日本原燃サービス、再処理工場で補正申請。1991年12月着工、1998年12月完成予定  
10/23 政府、地球温暖化防止行動計画を決定  
10/26 原子力委、1990年度原子力白書を公表。原子燃料サイクルに力点  
11/7   カリフォルニア州民投票、原発閉鎖提案を否決
11/14 動燃、分子レーザー法ウラン濃縮実験装置を完成、工学実証試験の段階へ 米産業界団体、原子力発電所の建設実現に向けての戦略計画を策定
11/15 政府、日本原燃産業低レベル放射性廃棄物埋設施設に事業許可。12/6着工  
11/22 政府、原研高温工学試験研究炉に設置許可。1991年3月着工  
12/3 (財)環境科学技術研究所設立  
12/12 通産省、電力業界と原子力立地推進で懇談会、長期開発目標達成を確認  
12/13   米原子力規制委、放射線防護基準を改定
12/20   米ショーラム原発の解体計画を公表
12/28   韓国電力、AECLとCANDU 炉購入を契約


2.社会一般の出来事
月日 国内 国外
1990年
(平成2年)
2/7   ソ連、1党独裁を放棄。3/15ゴルバチョフを大統領に選出
2/11   南ア、27年間獄中にあった黒人開放運動の指導者マンデラ氏を釈放
4/1 大阪花の万博開催  
5/31   米ソ首脳会談、戦略兵器削減条約(START)に基本合意、年内の調印には漕ぎ着けなかった
6/21   イラン大地震、死者少なくとも4万人
8/2   イラクがクウェートに侵攻.国連安保理の対イラク経済封鎖決議。日本政府は多国籍軍への協力として計40億ドル支出。「湾岸危機
8/7 1990年度経済白書を閣議了承.景気は「いざなぎ景気」(4年9か月)に匹敵する長期拡大になる可能性があると分析  
10/3   東西ドイツが統一(東の西への編入という形で統一)
10/15   ゴルバチョフ・ソ連大統領、ノーベル平和賞授与
11/8 国連平和協力法案、臨時国会で廃案.国際貢献策として国連の平和活動(PKO)に協力する組織を作ることで合意  
11/12 天皇陛下、即位の礼。内外の代表2223人(158か国)が参列  
11/22   サッチャー英首相辞任。英憲政史上最長の11年半にわたる政権の幕を下ろした
12/2 TBSの秋山豊寛、ソ連宇宙船で日本人初の宇宙飛行  

<関連タイトル>
日本の発電電力量と2010年度までの電力供給目標(1994年6月) (01-04-01-01)
温室効果ガス (01-08-05-02)
福島第二原子力発電所3号炉の原子炉再循環ポンプ損傷事象の健全性評価結果 (02-07-02-05)
福島第二原子力発電所3号炉の原子炉再循環ポンプ損傷事象の原因に関する調査結果 (02-07-02-06)
福島第二3号炉の原子炉再循環ポンプ損傷事象に対する原子力安全委員会等の対応 (02-07-02-07)
福島第二原子力発電所3号炉の原子炉再循環ポンプ損傷事象について (02-07-02-08)
日仏原子力協定 (13-04-02-03)

<参考文献>
1.(社)日本原子力産業会議(編集発行):原子力年鑑 平成3年版(平成3年11月1日)
2.原子力委員会編:原子力白書 平成2年版、大蔵省印刷局(平成2年12月15日)
3.原子力委員会編:原子力白書 平成3年版、大蔵省印刷局(平成3年12月16日)
4. 科学技術庁原子力局(監修):原子力ポケットブック・1996年版、日本原子力産業会議(1996年4月26日)
5.読売新聞社(編集発行):読売年鑑 1991年版(1991年3月1日)
6.(財)科学技術広報財団(編集発行):科学技術ジャーナル 平成8年3月号(通巻48号)(平成8年3月1日)
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