駆動機関に原子炉を用いた船。原子動力は、少ない燃料で大出力と長い航続距離が得られ、しかも核燃料の燃焼に酸素を必要としないという利点を有する。そのため、現存する原子力船舶の多くが潜水艦である。民生用として、ロシアでは砕氷船「レーニン」号はじめ多くの原子力砕氷船を有する。そのほかアメリカの貨客船「サバンナ」号、原子力ドイツの鉱石運搬船「オットーハーン」号、そして日本の原子力実験船「むつ」が1960年代に相次いで建造されたが(「むつ」が実験航海したのはしたのは1991年であるが)いづれも退役し、輸送船としての経済的なメリットは当面ほとんどなく、現在ではロシアの砕氷船が数隻運航されているだけである。