<大項目> 放射線影響と放射線防護
<中項目> 原子力施設に係わる放射線防護
<小項目> 放射線防護用の測定
<タイトル>
空気汚染モニタ (09-04-03-09)

<概要>
 原子炉施設などの放射線取扱い施設では、施設の作業環境および周辺環境並びにその排気系において、空気中の放射性ダスト、ガスの放射能濃度を連続的に測定、監視、記録するために空気汚染モニタが設置されている。空気汚染モニタはダストモニタおよびガスモニタの2つに大別される。ダストモニタは、施設内外の空気や排気ダクトから放出される空気を連続的にサンプリングし放射性物質をフィルタ上に捕集して、その濃度を測定するためのもので、検出器やフィルタを交換することにより放射性ヨウ素の測定もできる。また、ガスモニタは、サンプリングした放射性ガスを直接検出器内に取り込んで電離箱でβ線を検出する方式のものと、通気式のガスタンクにガスを流して NaI(Tl)検出器でγ線を測定する方式のものが一般に使用されている。
<更新年月>
2003年01月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 原子炉施設などの放射線取扱い施設では、作業者が常時立ち入る場所における空気中の放射性ダスト・ガスの検出および濃度の測定を行い、作業状態の確認と被曝評価ならびに作業者の内部被曝の防護を行う必要がある。区域内における空気中の放射性同位元素の濃度限度は、『放射線を放出する同位元素の数量等を定める件』(平成12年10月23日科学技術庁告示第5号)別表第1および別表第2に定められている。この空気中濃度限度の確認は、原則として測定により実施する必要があり、このレベルの放射線測定が十分可能な、性能の高い空気汚染モニタが必要である。
 日本工業規格では、施設の作業環境および周辺環境並びにその排気系などにおいて、空気中に浮遊する放射性粒子状物質を採取し、α、β、γ線いずれかを検出する放射性ダストモニタや放射性希ガスモニタなどについて規定している。ダストモニタ、ガスモニタに関連するJISには以下のものがある。
  JIS Z4316-1995 放射性ダストモニタ
  JIS Z4317-1993 放射性希ガスモニタ
  JIS Z4336-1995 放射性よう素サンプラ
  JIS Z4512-1995 空気中浮遊粒子状物質の放射能濃度測定法
  JIS Z4601-1997 放射性ダストサンプラ

 空気汚染モニタには、空気中に浮遊した放射性塵埃による放射能濃度を連続的に測定するための『ダストモニタ』および空気中に拡散した放射性ガス等による放射能濃度を連続して測定する『ガスモニタ』がある。また『ダストサンプラ』によって放射性塵埃を捕集し、別途放射能測定を行う場合もある。
 ダストモニタおよびガスモニタの種類、性能の概要について 表1 に、又、サンプリング用の濾紙の種類を 表2 に示す。モニタリングの目的や対象に応じてモニタ装置および濾紙を選択して使用する。
(1)ダストモニタ
 ダストモニタは、塵埃を捕集するためのダストサンプラおよび濾紙に捕集された放射性物質の放射能を測定する検出器、並びに測定部より構成される。測定部では、レートメータにより濃度表示をすると共に、その出力をレコーダに連続記録し、必要に応じてデータ処理装置においてデータの解析、保存を行う。レートメータやデータ処理装置には、警報設定機能があり、放射能濃度が異常に上昇し、この設定値を超えた場合は警報を発生し、作業者や関係者に遅滞なくその状況を知らせることができる。
 ダストモニタは、放射線の測定対象線種に応じてβ線ダストモニタ、α線ダストモニタ、プルトニウムダストモニタおよびヨウ素モニタ等に分類される。放射能検出器としてはβ線ダストモニタには、GM計数管又はプラスチックシンチレーション検出器が、α線ダストモニタには ZnS(Ag)シンチレーション検出器が一般に使用されている。捕集用濾紙や捕集材を固定する濾紙ホルダーには、円形の濾紙(通常直径60mmφ、集塵有効径50mmφ)を装着し捕集を行う。 図1 に移動型ダストモニタの一例を示す。粒子状の放射性物質に対してはセルロース・ガラス繊維系濾紙のHE-40Tを、また揮発性の放射性物質に対してはセルロース・アスベストにヤシガラ炭を付加した活性炭濾紙を用い、高い濃度が予想される場合は、活性炭カートリッジを併用する。有機ヨウ素に対しては、添着炭濾紙やカートリッジを使用する。
 通常のダストモニタリングよりさらに精密なデータが必要なときは、ダストモニタリングを行った後、濾紙は天然に存在するラドンおよびトロン核種が減衰して無視できる3日後にカウンタで測定する。このため、検出対象核種の半減期が長ければ、3.7E−5〜3.7E−7Bq/cm3の高感度の放射能測定が可能である。サンプリング中にモニタの指示値に異常があった場合は、ラドンおよびトロンの減衰を待たずに濾紙の放射能をカウンタで測定すると共に、γ線波高分析装置等によって核種分析を行う。
(2)ガスモニタ
 ガスモニタは、放射性ガスによって汚染した空気を吸引装置により連続的に検出器内に取り込み測定を行う通気型電離箱式、および汚染空気を通気型ガスタンクに流し、このタンクの中心に NaI(Tl)シンチレーション検出器やGM計数管、プラスチックシンチレーション検出器を挿入する構造の通気型ガスモニタに分類される。 図2 に通気型卓上ガスモニタの一例を示す。
 通気型電離箱式ガスモニタの検出感度は、一般に3H、14C、41Ar、85Kr、133Xeに対して3.7E−1〜3.7E−3Bq/cm3である。NaI(Tl)シンチレーション検出器を使用するガスモニタは、γ線エネルギー情報を得ることができるので、核種を判別して測定することができる。
<図/表>
表1 ダストモニタ及びガスモニタの概要
表2 サンプリング濾紙の一覧表
図1 移動型ダストモニタの一例
図2 通気型卓上ガスモニタの一例

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<関連タイトル>
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<参考文献>
(1) 日本原子力産業会議(編):詳解放射線取扱技術、日本原子力産業会議(1997.4)
(2) 日本規格協会:JISハンドブック、放射線(能)(2003.1)
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