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2001年度(平成13年度)電力供給計画は、電気事業法第29条に基づき、2001年3月までに一般電気事業者10社および卸電気事業者3社から、経済産業大臣に届け出が行われた。この供給計画は、電力各社が最近の需要動向、省エネルギーの動向、電源立地の動向、各種燃料の需要・価格動向を考慮し、策定したものである。
電力は、言うまでもなく、経済社会活動および国民生活にとって不可欠なエネルギーであり、その安定かつ低廉な供給が求められている。電力各社においては、供給計画に盛り込まれた必要な電源及び送変電等の流通設備の計画的な開発、
電源構成の
ベストミックスの構築、電力供給の効率化や需要側における負荷平準化対策などを着実に推進していくことが必要である。なお、本章は(資源エネルギー庁:平成13年度電力供給計画の概要(参考文献1))の内容を抜粋し、まとめたものである。
1.電力需要想定(一般電気事業用)
(1) 需要電力量
今後の需要電力量については、内需を中心とした安定的な経済成長、経済社会の高度化、アメニティ志向の高まり、高齢化の進展等に加え、電気の持つ利便性・制御性などからの
電力化率の高まりを反映して、省エネルギーの着実な進展による減少要因を踏まえても、安定した増加が予想されており、1999年度(平成11年度)の8,169億kWhから、2005年度(平成17年度)には8,937億kWh、2010年度(平成22年度)には9,644億kWhとなり、1999年度から2010年度の年平均増加率は、1.5%(気温閏補正後1.6%)(*1)となる見込みである(
表1参照)。
(2) 最大需要電力
最大需要電力(夏季におけるピーク電力)は、これまで主に電灯、業務用電力の冷房空調機器の普及拡大による夏季需要の増加により、需要電力量を上回る伸びを示してきている。今後は、
蓄熱システムの普及拡大や需給調整契約拡充等の負荷平準化対策の推進により、
年負荷率(*2)が改善されることから、最大需要電力は、1999年度の1億6,567万kWから、2005年度には1億8,488万kW、2010年度には1億9,897万kWとなり、1999年度から2010度の年平均増加率は1.7%(気温補正後1.6%)となる見込みである(
表1参照)。
(3) 年
負荷率
年負荷率については、負荷平準化対策を講じない場合、負荷率の低い業務用電力需要の割合が増加する一方、負荷率の高い産業用需要の割合が減少する等の需要構造の変化により長期的に低下していくことが予想される。本供給計画においては、負荷平準化対策として、夏季ピーク時における需要を他の時期・時間帯にシフトすること等を目的とする需給調整(業務用電力を中心とする蓄熱調整契約、産業用の計画調整契約、蓄熱式自動販売機等)の拡大や深夜電気温水器、冷暖房兼用エアコン等の普及拡大によるボトムアップ対策等が織り込まれている。
この結果、年負荷率は、2010年度には58.6%となり、1999年度の58.1%(気温閏補正後)から0.5ポイントの改善が見込まれている(
表1参照)。
2.供給力の確保
(1)需給バランス
電力は、需要に応じ安定的に供給する必要があり、かつ、貯蔵することができないという特性を有しているため、常に最大需要電力の増加に対応し得るよう電源設備を計画的に開発していく必要がある。電源設備の開発に当たっては、認可出力から定期検査、
水力発電の出力減少等を控除した上で、異常高気温、景気変動等の予期し得ない事態が発生した場合においても電力を安定的に供給することができるように、想定される最大需要電力に対して一定の予備力を加えた供給力を確保する必要がある。
2001年度は、最大需要電力が10社合計で1億7,311万kWと見込まれるのに対し、供給力としては、新増設電源等の供給力増加対策を着実に推進することなどにより、2000年度実績に比べ89万kW増の1億9,223万kWの確保となっている。その結果、供給予備率は10社計で11.0%となっている(
表2参照)。
(2)長期電力需給バランス
長期的にも、今後10年間の電源の開発および供給力の適切な調達により、2005年度には2億285万kW、2010年度には2億1,902万kWの供給力を確保する計画となっている。その結果、最大需要電力に対して、2005年度で9.7%、2010年度で10.1%の予備率を有し、安定供給が確保できる計画となっている(
表3参照)。
(3)入札による電源調達
2000年度(平成12年度)においては、入札による電源の募集は行われなかった。
(4)電源構成の多様化
電源構成については、非化石エネルギーの中核として原子力の開発を推進するとともに、電源の多様化の観点から、原子力に加え、石炭火力、LNG(Liquefied Natural Gas:
液化天然ガス)火力、水力等についてバランスのとれた開発をすることとなっている。また、石炭火力、
LNG火力については、地球環境問題への対応及び省エネルギーの推進の観点から、高効率発電方式を採用して発電効率の向上に努めることとしている。さらに、国産エネルギーである一般水力及び地熱発電についても、着実な開発を進めることとしている。本供給計画が実現した場合の2010年度(平成22年度)末までの発電設備構成の推移を
表4に、発電電力量構成の推移を
表5に、また、同じく発電設備構成の推移を
図1に、発電電力量構成の推移を
図2に示す。
原子力については、
表6に示す様な開発計画となっている。今後10年間で13基1,693.7万kWが運転開始し、2010年度末において6,185.4万kWになると計画されている。また、2001年度には6基858.2万kWの
電源開発基本計画への組み入れが希望されている。
脚注(*1):気温補正とは実績値の気象状態を計画値の気象状態に置き換え、電力の補正を行うこと。また気温閏補正とは上記の補正に加え、閏年の増加した1日分の補正を行うこと。なお、最大需要電力はある1時点における電力量なので、閏補正は必要ない。
脚注(*2):年負荷率とは、最大需要電力に対する年平均需要電力の比率をいい、夏季ピーク需要が大きくなるに伴い、年負荷率は小さい値となる。
<図/表>
<関連タイトル>
平成8年度電力供給計画(「電源開発の概要」から) (01-09-05-01)
平成8年度電力供給計画(資源エネルギー庁発表) (01-09-05-04)
平成10年度電力供給計画 (01-09-05-14)
平成11年度電力供給計画 (01-09-05-15)
平成12年度電力供給計画 (01-09-05-16)
<参考文献>
(1)資源エネルギー庁(編):平成13年度電力供給計画の概要(2001年3月)
(2)舟木 隆:平成13年度電力供給計画−安定供給、環境保全、効率化の要請に対応−、エネルギーフォーラム・2001年6月号、(株)エネルギーフォーラム、p.50-56(2001年6月1日)
(3)日本原子力産業会議:平成13年度電力供給計画の概要、原産マンスリー、第63号、p.93-133(2001年4月)
(4)(株)日工フォーラム社:電力10社の平成13年度供給計画、エネルギー、34(6),p.117-137(2001年6月)
(5)資源エネルギー庁ホームページ:原子力のページ(2001年8月6日)
(6)(社)日本電機工業会ホームページ:大橋良輝「平成13年度電力供給計画の概要」(2001年8月6日)