蓄熱システムとは一般に、空気中の熱エネルギーや電気エネルギーを工学的方法で蓄熱し、空調による冷暖房、給湯、床暖房、冷蔵機器などに利用するシステムである。電力の有効利用の分野での蓄熱システムは、夜間(22:00〜8:00)の割安な電力を利用して、冷房時期は冷水や氷、暖房時期は温水を蓄熱槽に蓄え、この蓄えた熱エネルギーを昼間(8:00〜18:00又は22:00)の空調に利用する、経済的で環境にも優しいシステムである。冷水や氷の省エネ効果として、電気式ヒートポンプの採用により、投入したエネルギー量の3倍以上のエネルギーが得られる。蓄熱システムの採用で夜間に熱エネルギーを蓄えるため設備容量が小さくでき(設備コスト削減効果)、また、1日の使用電力負荷の平準化(原子力発電比率の高い夜間電力の使用)で地球温暖化に影響するCO2排出量の削減に貢献できるため、オゾン層の破壊防止という課題をクリアする、地球に優しい空調システムとして普及が期待されている。