<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> エネルギー政策
<小項目> 電力政策
<タイトル>
平成8年度電力供給計画(資源エネルギー庁発表) (01-09-05-04)

<概要>
 電気事業法第29条に基づき、平成8年3月に一般電気事業者10杜及び卸電気事業者2社(電源開発(株)、日本原子力発電(株))から、通商産業大臣に「平成8年度電力供給計画」の届出が行われた。本供給計画は、平成7年12月に施行された改正電気事業法に基づき、従来の短期の需給バランスを対象とした「供給計画」と長期の電源開発計画を対象とした「施設計画」を統合した初めての計画であり、内容的にも電気事業者の発電設備に加え入札電源が織り込まれたこと等の特色がある。
 電力需要想定、供給力の確保、送変電設備の増強、広域運営の推進の4点について、実績とこれからの見通しが述べられている。
<更新年月>
1997年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 平成8年度電力供給計画は、電気事業法第29条に基づき、平成8年3月に一般電気事業者10社及び卸電気事業者2社(電源開発(株)、日本原子力発電(株))から、通商産業大臣に届出が行われた。これは、各事業者から届け出られた電力供給計画をとりまとめたものである。
 本供給計画は、平成8年12月に施行された改正電気事業法に基づき、従来の短期の需給バランスを対象とした「供給計画」と長期の電源開発計画を対象とした「施設計画」を統合した初めての計画であり、内容的にも電気事業者の発電設備に加え入札電源が織り込まれたこと等の特色がある。
1.電力需要想定
 今回の供給計画の前提となった、平成17年度までの需要電力量、最大需要電力及び年負荷率の見通しは次のとおりである(表1-1表1-2)。
(1)需要電力量
a.平成7年度需要実績及び平成8・9年度一般電気事業用需要電力量
 7年度の一般電気事業用需要電力量は、6年度の猛暑の反動及び下期以降の景気の足踏み状況等から、7,517億kWhと見込まれる。これは猛暑もあり電力需要が急増した6年度に比べれば1.6%増と低めの伸びになっている。
 用途別には、電灯は、夏季の気温が総じて前年を下回ったため、冷房需要の伸び率の低下がみられたが、口数の安定した伸び、家電製品の出荷の回復傾向等を反映した原単位の増加により堅調な伸びがみられた。また、業務用電力は、気温影響による冷房需要の伸び悩みに加え、ビル着工の低迷による需要数の伸びの鈍化及び残業時間の減少などによる原単位の伸び悩みなどから低めの伸びとなった。産業用需要は、春先からの急激な円高などによる企業の業況感の悪化及び生産活動の停滞等、景気回復の足踏み状況を反映し、販売電力量では鉄鋼など素材型産業が前年割れ、加工組立型産業も輸送用機械の低迷などから低い伸びが見込まれ、大口電力全体では前年度をわずかに上回る水準にとどまる見込みである。
 8年度一般電気事業用需要電力量は、7,619億kWh、対前年伸び率1.4%0(気温うるう補正後2.5%)となる見込みである。用途別には、電灯需要は、住宅着工戸数の低水準、2年続きの猛暑の反動による冷房需要の減少などから需要量は低めの伸びとなる見込みであり、業務用電力は、電灯同様のマイナス要因はあるものの、景気の緩やかな回復に伴い電力量は堅調な伸びとなる見込みである。また、産業用需要は、機械産業を中心に堅調に推移することから、前年水準を上回る見込みである。
 9年度一般電気事業用需要電力量については、経済の安定成長を反映し、民生用・産業用需要ともに堅調に推移するものと見込まれ、7,781億kWh、対前年伸び率2.1%となる見込みである。
b.長期の一般電気事業用需要電力量
 今後の需要電力量については、内需を中心とした安定的な経済成長、経済社会の高度化、国民生活の高度化等を反映して、既存の省エネルギー対策の着実な進展による減少要因を踏まえても、中長期的には着実に増加していくものと予想されている。
(2)最大需要電力
 最大需要電力(一般電気事業用夏季ピーク電力)は、これまで主として民生用需要における冷房機器の普及拡大による夏季需要の増加により、需要電力量を上回る伸びを示してきている。平成7年度の最大需要電力は、1億6,529万kWであり、平成8年度の最大需要電力は、16,353万kWを見込んでいる。
 今後については、需要電力量が着実に増大する中で、年負荷率も全体としては現状維持程度となることから、一般電気事業用最大需要電力は、12年度には1億7,788万kW、17年度には1億9,731万kWとなり、6年度からの年平均伸び率は1.8%、猛暑等を考慮した気温補正後で2.3%となる。
(3)年負荷率
 年負荷率は、負荷率が相対的に悪い業務用電力の増加等を背景に、経年的に緩やかな低下傾向にある。年負荷率の低下は、最大需要電力の増加、それに対応した電源設備の開発が必要になるとともに、電源設備の利用効率の低下をもたらし、ひいては供給コストの上昇につながるため、負荷平準化対策を従来にも増して積極的に推進していく必要がある。
 今後の年負荷率の見通しとしては、用途構成において、負荷率のよい大口電力需要の割合が減少し、負荷率の悪い業務用電力の割合が増加するなどの負荷率低下要因が見込まれる。
2.供給力の確保
(1)需給バランス
 電力は、需要に応じ安定的に供給する必要があり、かつ、貯蔵することができないという特性を有しているため、常に最大需要電力の増加に対応し得るよう、電源設備を計画的に開発していく必要がある。電源設備の開発に当たっては、認可出力から定期検査、水力発電の水力減少等を控除した上で、異常高気温、景気変動等の予期し得ない事態が発生した場合においても電力を安定的に供給することができるように、想定されうる最大需要電力に対して一定の予備力を加えた供給力を確保する必要がある。
a.平成7年度需給実績及び平成8年度需給バランス
 7年度は、6年度に引き続き猛暑となり、電力9社合計の1日最大電力(H1。発電端)は、8月25日に1億6,992万kWとこれまでの記録である1億6,615万kW(6年8月4日)よりも377万kW増大した。これに対し、供給力については、梅雨末期に水力の一部に発電支障があったものの、各社とも安定運転と広域的な電力融通により、必要な供給力として1億7,612万kWを確保し、供給予備率は10社計で6.6%であった。
 8年度は、最大需要電力が10社合計で1億6,353万kWと見込まれるのに対し、供給力としては、新増設電源等の供給力増加対策を着実に推進するとともに、広域的な電力融通により平成7年度実績に比べ396万kW増の1億8,008万kWを確保している。その結果、供給予備率は10社計で10.1%を確保しており、また、各社別にみても9.5%以上の予備率を確保している(表2-1表2-2)。
b.長期電力需給バランス
 長期的にも、今後10年間の電源の開発及び電力の適切な調達により、12年度には1億9,521万kW、17年度には2億1,664万kWの供給力を確保する計画となっている。その結果、最大需要電力に対しても、12年度で9.7%、17年度で9.8%の予備率を有しており、安定供給が確保できる計画となっている。今後とも、将来の電力の安定供給確保の観点から、9年度以降上程が予定されている電源等も含め、電源開発を計画的に遂行する必要がある(表3)。
c.卸供給事業者からの電源調達
 平成7年12月に施行された改正電気事業法により、一般電気事業者及び卸電気事業者に加え、事業許可を不要とする卸供給事業者が定義された。電気事業者は、広域的運営による電気事業の総合的かつ合理的な発達に資するように、卸供給事業者の能力を適切に活用しつつ、相互に協調するよう求められている。本供給計画においては、今後の需給バランス等によって今後見直しが行われることを前提に、公営水力からの調達分として15万kW、入札による調達規模としては、平成8年度以降入札により募集される281万kW(平成8年度電力供給計画届出べ一ス)を含め296万kWが計上されている。
(2)電源構成の多様化
 本供給計画が実施された場合の発電設備及び発電電力の構成は 図1に示すとおりである。電源構成は、非化石エネルギーの中核として原子力の開発を推進するとともに、電源の多様化の観点から、原子力に加え石炭火力、LNG火力、水力(一般及び揚水)等についてバランスのとれた開発をすることとなっている。また、石炭火力、LNG火力については、地球環境問題への対応及び省エネルギーの推進の観点から、高効率発電方式を採用し、発電効率の向上に努めることとしている。原子力については、今後10年間で12基1,460万kWが運転開始し5,579万kWになると計画されており、平成7年度電力施設計画の16年度末5,005万kWに比べ、574万kWの増大となっている。
3.送変電設備の増強
 今後見込まれている電力需要の増加に対応するとともに、供給信頼度の確保を図るため、広域運営の進展にも鑑み、社会環境との調和に配慮しつつ送変電設備についても基幹系統の一層の強化、拡充が図られる計画となっている。
4.広域運営の推進
 電力需給の地域間アンバランスの増大という状況を踏まえ、従来の突発的需給変動リスクへの対応及び経済性確保の観点だけではなく、電気事業者全体による長期的供給力の確保という観点から広域電源開発、広域融通等の広域運営を一層強力に推進することが必要である。このため、既に記述した電源開発計画及び送変電設備の増強の中でこれらが盛り込まれているところであり、広域電源については、今後10年間に合計で764万kWを開発する計画となっている(表4)。
<図/表>
表1-1 電力需要見通し(一般電気事業用)
表1-2 用途別電力需要見通し(一般電気事業用)
表2-1 平成8年度需給バランス
表2-2 新増設発電設備(自社・他社受電)
表3 今後の電源開発量と需給バランス
表4 本計画に盛り込まれている主要な広域開発電源
図1 年度末発電設備及び発電電力量の構成

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<関連タイトル>
電力需要の変遷と需要構造 (01-09-05-03)
電力広域運営の目的と実際 (01-09-05-06)
電力需要の平準化対策 (01-09-05-08)

<参考文献>
(1) 平成8年4月2日付け 通産省・資源エネルギー庁発表資料、日本原子力産業会議、原産マンスリーVol.5(平成8年5月24日)
(2) 通商産業省資源エネルギー庁公益事業部(編):電源開発の概要 −その計画と基礎資料 − 平成8年度、奥村印刷株式会社出版部(平成8年10月31日)
(3) 日本電気協会(編集発行)、電気協会雑誌、1996年6月号(第872号)
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