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<概要>
 1992年を「原燃サイクル元年」と言うほど六ヶ所村三施設の開発は進展した。第一に3月、初の商用ウラン濃縮工場が操業開始、第二に5月、返還高レベル廃棄物管理施設の第1期建設に着手、第三に12月、全国の原発から出る低レベル放射性廃棄物を埋設するための貯蔵センターが操業開始した。さらに、商用再処理施設に事業許可がおりた。原子力委員会は、原子力開発利用長期計画の見直しを決め、長期計画専門部会を設置した。長期開発計画の中で、高速増殖炉の開発と並んで、もう一つの大きな課題となっている高レベル放射性廃棄物の処分について、7月に原子力委の放射性廃棄物対策専門部会が取りまとめ、発表した。処分場の操業開始は2030年代から40年半ばを目途とし、研究開発の進め方と処分地選定との関連を区分することなどを骨子としている。ミュンヘン・サミットでは、旧ソ連・東欧諸国の原子力発電所の安全確保支援を盛り込んだ経済宣言が発表された。
<更新年月>
1998年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.内外の原子力関係の出来事
月日 国内 国外
1992年
(平成4年)
1/1   仏、放射性廃棄物法発効
1/16   ロシア、旧ソ連のIAEA加盟を継承
1/20 原研(現日本原子力研究開発機構)、「むつ」の解役計画を発表  
1/27 原燃サービス、返還廃棄物施設の着工を4月に変更申請  
1/30 日本原燃産業、ウラン濃縮施設の第2期増設で申請 北朝鮮、IAEAとの間で保障措置協定調印
2/3 東京電力柏崎刈羽7号機着工  
2/14   IAEA、旧ソ連型加圧水型炉(VVER−440)の安全調査を終了
2/19   米国上院、エネルギー安全保障法案を可決
2/20 解体核物質の利用貢献策で関係5省庁が初協議  
2/21 原研高崎研、イオン照射研究施設完成  
2/25   シリア、保障措置協定調印
2/29 動燃(現日本原子力研究開発機構)、「もんじゅ臨界を1993年3月に延期。燃料製造のトラブルによる  
3/1   ロシア原子力相、新原発の設計に着手と発表
3/9 原子力安全委、美浜2号機事故に関する最終報告書発表 中国、核不拡散条約NPT)に加盟
3/17   イタリア首相、原発計画再開を表明
3/23 三菱重工、米WH社と原子力など含め対等技術契約  
3/24   ロシア・レニングラード原発でレベル2の事故発生
  台湾行政院(内閣)、原発建設計画を承認
3/26 原子力安全委、返還高レベル廃棄物施設に安全答申  
3/27 日本原燃産業、ウラン濃縮工場(最初の運転単位150トン SWU/年)操業開始  
4/1 原子力工学試験センター、「原子力発電技術機構」に改称。より幅広い活動展開  
4/3 政府、返還高レベル廃棄物施設に事業許可  
4/7   中国、「国際原子力事象評価尺度」採用を表明
4/15 地球環境賢入会議が開幕(東京、〜17日)  
4/17 科技庁(現文科省)、核燃料輸送の情報非公開を関係自治体に要請  
4/20 低レベル廃棄物輸送船「青栄丸」、むつ小川原港に初入港  
5/6 日本原燃サービス、返還高レベル廃棄物施設の第一期工事(1440本ガラス固化体貯蔵)着工  
5/14 通産まとめ、1991年度電力需要の伸びは3%  
5/19   仏FBR実証炉スーパーフェニックスの運転再開で公聴会
5/25 動燃、ガラス固化施設が完成  
6/1 青森県知事、東通原発で補償額斡旋、補償額180億円  
6/3 国連環境会議がリオで開幕(〜14日) 台湾立法院(国会)、第4原発建設で予算凍結を解除
  仏科学アカデミー、スーパーフェニックス運転継続を支持
6/9 原子力委、核融合の第三段階研究基本計画を決定  
6/11   NRC、ショーラム原発解体を承認
6/12 科技庁、PA講師派遣500回を記録  
6/13 関西電力大飯4号機が初併入  
6/17   米国下院、超大型加速器予算案を否決。8/3上院、計画続行を支持
6/22 通産省(現経産省)まとめ、1991年度の被曝状況、1人あたり年間1ミリシーベルトと最低に  
6/26   韓国原子力委、原子力技術の自立化、高度化を目標に研究開発中長期計画を策定
6/29   仏首相、スーパーフェニックスの運転再開見送ると発表
7/1 日本原燃サービス及び日本原燃産業が合併し、「日本原燃」が設立  
7/6   ミュンヘン・サミット開催、NPT強化を政治宣言に、旧ソ連・東欧諸国の原発の安全確保支援を経済宣言に盛り込む
7/7 動燃、「もんじゅ」に初装荷燃料を初搬入  
7/21 ITERの工学設計活動に関する協定本調印  
7/28 原子力委、長期計画専門部会(部会長小林関電会長)設置  
8/1 通産省・科技庁・運輸省(現国土交通省)、原発及び関連施設や輸送に通省)、原発及び関連施設や輸送に「国際原子力事象評価尺度(INES)」を採用  
8/3   仏、核不拡散条約(NPT)に加盟
8/11 原子力委ウラン濃縮懇談会が報告書公表。さらに新素材高性能遠心機の高度化開発を促す  
8/21 東通2漁協、東北電力及び東京電力と漁業補償協定締結  
8/25 科技庁、原研など、「むつ」の後利用を海洋研究船と決定  
8/28 原子力委放射性廃棄物対策部会、高レベル処分計画の具体的方策を明示 米GE社、単純化BWRの型式認定を申請
8/31   米国、ロシアの核兵器解体高濃縮ウラン購入に合意
9/1   チェコ原子力委員長、旧ソ連炉の1995年閉鎖を言明
9/10 原研JT−60、プラズマ温度で世界最高の4.4億度を達成  
9/13 核物質輸送国際会議(PATRAM1992)開催(横浜、〜18日)  
9/18   韓国、加原子力公社からCANDU2基購入で契約
9/21 日本原燃、低レベル廃棄物埋設施設で地元と安全協定締結 米農務省、鶏肉の放射線照射を許可
9/22 最高裁、「もんじゅ」訴訟で原告適格認め、福井地裁に審理差戻し  
10/21 原研、那珂研にITER那珂センター開所 英NIREX社、地下実験所開設を表明
10/23 原子力委、原子力白書を発表  
10/24   米国、包括エネルギー政策法成立
  中国広東第二原発、陽江市に建設決まる
10/29 最高裁、伊方1号機と福島第二1号機の設置取消請求を却下  
通産省、東京電力福島第一2号機事故で再発防止策を指示。ECCS 作動の有無を第一報にするよう  
11/3   フィンランド議会、新原発の建設を否決
11/7 プルトニウム輸送船「あかつき丸」仏シェルプール港出港。回収Pu約1.5トン  
11/12 島根県鹿島町商工会、島根原発の増設推進を決議  
11/13   中国秦山原発2期工事が国家審査に合格
11/19   英政府、欧州高速炉(EFR)プロジェクトからの撤退を表明
11/20 北陸電力志賀1号機臨界  
11/27 原子力安全委、原子力安全白書発表  
動燃、「もんじゅ」の臨界を1993年10月に延期  
12/7   米NRC、デコミ等の放射線防護規則制定へ
12/8 日本原燃低レベル放射性廃棄物貯蔵センター、操業開始  
12/10 原子力安全委、六ヶ所再処理施設に安全答申。12/15原子力委が安全答申。12/24事業許可  
12/15   第2回ITER理事会開催、技術目標や作業分担を決定(モスクワ、〜16)


2.社会一般の出来事
月日 国内 国外
1992年
(平成4年)
1/7   ブッシュ大統領来日
3/16 株急落、2万円割る.5年1か月ぶり  
3/26 公示地価17年ぶり下落。1991年1年間に住宅地5.6%、商業地4.0%下落し地価鎮静化を示す  
5/7 日本新党が発足。細川護熙・前熊本県知事が新政党結成の会見を開く  
6/3   地球サミット(国連環境開発会議)がブラジルで開催。地球環境を守る憲法と実行計画などを採択
6/15 国連平和維持活動(PKO)協力法が衆院で可決.自衛隊の海外派遣が可能に  
7/25   スペイン・バルセロナで夏季オリンピックを開催
9/9   エリツィン・ロシア大統領の訪日延期
9/12 毛利衛・米スペースシャトル飛行士が「エンデバー」で宇宙へ  
10/20 厚生省(現厚生労働省)、エイズ患者、感染者の急増でエイズ・ストップ作戦本部を設置。検査体制の強化や予防PRなどを展開  
10/23 天皇、皇后両陛下、中国を初のご訪問。日中国交正常化20周年の記念でもあり  
11/3   民主党のクリントン候補が米大統領選挙で当選
12/29   米ロ両国外相会談で、第2次戦略兵器削減条約(START 2)文書に最終合意

<関連タイトル>
平成4年度原子力開発利用基本計画 (10-02-01-02)
六ヶ所ウラン濃縮工場 (04-05-02-03)
六ヶ所再処理工場 (04-07-03-07)

<参考文献>
1.(社)日本原子力産業会議(編集発行):原子力年鑑 平成5年版(平成5年12月10日)
2.原子力委員会編:原子力白書 平成4年版、大蔵省印刷局(平成4年12月7日)
3.原子力委員会編:原子力白書 平成5年版、大蔵省印刷局(平成5年12月27日)
4.科学技術庁原子力局(監修):原子力ポケットブック・1996年版、日本原子力産業会議(1996年4月26日)
5.読売新聞社(編集発行):読売年鑑 1993年版(1993年3月1日)
6.(財)科学技術広報財団(編集発行):科学技術ジャーナル 平成8年3月号(通巻48号)(平成8年3月1日)
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