<解説記事ダウンロード>PDFダウンロード

<概要>
 モニタリングとは、放射線または放射能の測定及びその結果の解釈を含めたものの総称である。モニタリング計画には、結果の解釈や記録に関する指針を示す必要がある。モニタリングには、その対象によって、環境モニタリング個人モニタリング、また目的によって、日常モニタリング、作業モニタリング、特殊モニタリング、等々に分類されるので、多くの種類がある。
<更新年月>
2004年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1)モニタリングという用語は、放射線モニタリングの簡略表現で、放射線及び放射性物質を対象とした管理に関連する測定および被ばくの評価を一般的に表現したものである。
2)モニタリングは、放射性物質を取り扱う施設内の作業環境と施設周辺の環境について行われる。前者は施設内の管理区域において放射線作業従事者を対象として行われ、後者は施設周辺の一般環境に於て公衆を対象として行われる。
3)測定はいかなる放射線防護計画においても主要な役割を果たすが、モニタリングは、単に測定することだけでなく、放射線防護の立場からの解釈も含んだものである。モニタリングにおける測定は、その目的や対象に応じて、適切な測定器を用いて行われる。
4)モニタリング計画の目的は明確に定義して記録しておく必要がある。計画には、モニタリング結果に関する根拠と、それが計画の目的とどのような関係にあるかを含める必要があり、その根拠も記録しておく。また、必要な記録について、指針と関連する記録の保存及び破棄方法について示しておく。この計画は、数年毎にまたは施設運転上に大きな変更があった場合には再検討することが重要である。
5)測定結果の解釈は、測定される量と推定される量との関係を定量的に記述する一つのモデルに基づいて行われる。これらの測定結果を基本限度によって解釈することは難しいので、実際には、実用的な誘導限度や補助限度、さらに、測定方法との関係からその基準を守っていれば基本限度を確実に遵守していることになるような種々の管理基準を設定して行われる。
6)モニタリングは、モニタリング対象をもとに分類すると、環境モニタリングと個人モニタリングに大別される。環境モニタリングは、さらに、作業者を対象とした作業環境モニタリングと一般公衆を対象とした一般環境モニタリングとに分類される。これらは、さらに細かく分類される(表1参照)。
 環境モニタリングを機能的に分類すると、線量(率)のモニタリング、空気モニタリング、飲料水のモニタリング、農畜水産物のモニタリング及び土壌のモニタリングに分けられる。
7)モニタリングの目的から見ると、モニタリングは日常モニタリング、作業モニタリングおよび特殊モニタリングに分けられる。また、見方を変えて、平常時モニタリングと緊急時モニタリング、操業前モニタリングと操業時モニタリング、定期モニタリングと連続モニタリング、等にも分けられる(表2参照)。平常時モニタリングには、施設周辺に設置したモニタリングポストがあり、緊急時には、可搬型臨時モニタリングポストが設置される。
8)個々の対象及び目的から分類されたそれぞれの名称は、場合によって、少し異なって使われることがある。例えば、一般環境モニタリングは施設周辺環境モニタリングによって、線量(当量)率モニタリングは放射線量率モニタリングまたは空間線量率モニタリングによって、また、緊急時モニタリングは事故時モニタリングあるいは異常時モニタリング等の用語で表現されることがある。
<図/表>
表1 対象による放射線モニタリングの分類
表1  対象による放射線モニタリングの分類
表2 方式による放射線モニタリングの分類
表2  方式による放射線モニタリングの分類

<関連タイトル>
作業環境モニタリング (09-04-06-01)
空気汚染モニタリング (09-04-06-03)
表面汚染モニタリング (09-04-06-04)
放射性排出物の放出前モニタリング (09-04-06-05)
個人モニタリング (09-04-07-01)
環境放射線モニタリング (09-04-08-02)
緊急時環境放射線モニタリング (09-04-08-04)
緊急時環境線量情報予測システム(SPEEDI) (09-03-03-01)

<参考文献>
(1)「作業者の放射線防護のためのモニタリングの一般原則」ICRP Publ.35 (1982年発表)、訳本:日本アイソトープ協会(1984年)
(2)「公衆の放射線防護のためのモニタリングの原則」ICRP Publ.43 (1985年発表)、訳本:日本アイソトープ協会(1986年)
(3)「作業環境の放射線モニタリング/計画立案から評価まで」日本アイソトープ協会編(1978年)、丸善
(4)「放射線防護の基礎」第3版 辻本 忠、草間 朋子 著、日刊工業新聞社(2001)
(5)「ラジオアイソトープ講義と実習」日本アイソトープ協会編、丸善(改訂3版1980年)
JAEA JAEAトップページへ ATOMICA ATOMICAトップページへ