<大項目> バックエンド対策
<中項目> 原子力施設の廃止措置
<小項目> 発電炉の廃止措置
<タイトル>
米国における発電炉廃炉計画 (05-02-03-06)

<概要>
 米国では、2013年10月時点で、100基の原子力発電所が平均稼働率約90%で稼働している。米国の原子力法では、原子力発電所の運転認可期間は40年とされていたが、1995年の原子力法の改正により運転認可期間を60年に延長することが可能となり、多くのプラントで運転期間を延長した。それでも10年後、15基の商業炉が運転期間50年を超える状況になり、これから本格的な廃止措置時代の到来が想定されている。このため新たな建設計画8基が申請済みであり、そのうち2基の建設を、34年ぶりに2013年3月に着手している。
 一方、運転停止した発電用原子炉は、2013年10月までに、パイロットプラントを含め33基であり、そのうち13基の解体が完了している。
 1990年代に8基(コネチカットヤンキー、トロージャン、ヤンキーロー、メインヤンキー、サンオノフレ1号機、ビックロックポイント、ザイオン1号機及び2号機)が永久停止を決定したが、このうち6基については即時解体を選択して既に施設解体を終了し、サンオノフレ1号機を除き規制解除後にサイト解放を行い、跡地の緑地化が図られている。また、安全貯蔵を選択したザイオン1号機及び2号機は、2010年に早期解体に変更し、2020年までにサイト解放を完了させる計画である。このように米国では「廃炉計画の策定は早いほどよい」、「次世代にできるだけ課題を先送りしない」、「プラント経験者の活用が有効」などの考え方から早期解体撤去の傾向にある。
<更新年月>
2014年02月   

<本文>
1.概況
 米国の原子力法では、これまで原子力発電所の運転認可期間が40年とされていたが、1995年の原子力法の改正により運転認可期間を60年に延長することが可能となり、2013年10月時点で、100基が稼働している。このため多くの優良プラントでは、出力増強や運転認可更新の計画が進められている。また1985年以来建設を中断していたWatts Bar 2が、2007年10月から建設を再開している。さらに、新たに8基の建設計画が申請、契約、発注済みであり、2013年3月にそのうち2基の建設に着手した。発電炉の建設着手は34年ぶりである。さらに、同年10月に2基の建設が開始された。
 一方、米国で運転を停止した発電炉は、2013年10月までに33基である。この中には、シェールオイルの開発等により経済性を理由に最近閉鎖した2基が含まれている。33基のうち、14基が解体を完了し、5基が解体中、7基が安全貯蔵中又は安全貯蔵準備中、3基が遮蔽隔離、残る4基は措置が未定である。
 1990年代に停止した8基は、蒸気発生器などの大型機器の補修または交換などが必要となり、結果として自由経済市場での競争力がなくなったため、閉鎖された。このうちの6基は、即時解体を選択し、解体撤去を完了している。この即時解体方式では、除染効果に優れた酸化還元法であるCORD法、DFD法などと呼ばれる系統除染により冷却系の線量レベルを下げて配管機器の撤去を容易にし、また原子炉一括撤去・処分方法の採用により工期短縮、コスト低減など図っている。
 表1に閉鎖した原子力発電所と廃止措置の状況を示す。
2.米国の廃止措置規制
 米国における原子炉の廃止措置(Decommissioning)は、連邦規則(10CFR20 1003)によると、施設又はサイトを安全に使用状態から解放し、(1)無制限利用への財産の解放と認可の終了、(2)制限条件を課した状態での財産の解放と認可の終了を許すことができるレベルまで残留放射能を下げることを意味する。原子炉の廃止措置は認可を取得した事業者により、米国原子力規制委員会(NRC)の規制の下で行われる。廃止措置の方法は即時解体(DECON)、安全貯蔵(SAFSTOR)、遮蔽隔離(ENTOMB)の3つの方式の中から選択することになっている。図1に原子炉施設の廃止措置手続きのフローを、表2に原子炉施設の規制概要を示す。なお、原子炉の運転停止後、60年以内に廃止措置の完了が義務付けられている。
3.代表的な原子力発電所の廃止措置
 米国の代表的な原子力発電所の廃止措置について以下に述べる(表3参照)。
(1)ヤンキーロー(Yankee Rowe:PWR、出力18.5万kWe、運転期間1961-1992年)
 1993年に解体を開始し、炉内構造物、4基の蒸気発生器が撤去された。原子炉圧力容器は、1996年11月に切断しない方法で撤去され、輸送兼処分キャスクに入れ、その内部にコンクリートを詰め、そのまま1997年5月にバーンウェル低レベル廃棄物処分場に輸送・処分された。プールに保管されていた533体の使用済燃料は、サイト内の独立使用済燃料貯蔵施設(ISFSI)への移動を2003年6月に完了し、DOEに引き渡すまで長期保管されている。認可終了計画を2003年11月にNRCに提出し、最後の残存作業として、建屋の解体、最終サーベイ活動、サイト修復が2005年半ばまでに完了、2007年にサイトを解放した。なお、全廃止措置費用は解体撤去費、人件費、廃棄物処分費、使用済燃料長期保管費を含め1995年ドル換算で306百万ドルと評価されている。
(2)コネチカット・ヤンキー(Connecticut Yankee:PWR、出力60万kWe、運転期間1968-1996年)
 廃止措置方式として即時解体が選択され、1997年に開始。1998年には一次系の系統除染をCORD法(過マンガン酸、還元剤にシュウ酸を用いる酸化還元除染法の一つ)で行った。4基の蒸気発生器は、2000年に一括撤去され、炉内構造物をウォータジェット工法で切断撤去した。原子炉容器(800トン)は、一括撤去・輸送し、2004年1月に処分した。最終サーベイ後、2007年夏にサイトが解放された。
(3)メインヤンキー(Maine Yankee:PWR、出力90万kWe、運転期間1972-1997年)
 廃止措置方式として即時解体が選択され、1997年に開始。1999年には一次系の系統除染をDFD法(過マンガン酸カリウムとシュウ酸溶液を交互に使う酸化還元除染法にフッ化ホウ素酸を添加して、固着性酸化物を除去すると共に母材自体を溶出させる方法)で行った。3基の蒸気発生器は、2000年に一括撤去された。また、原子炉圧力容器は、一括撤去後、処分容器にパッケージ化(1175トン)して輸送し、2003年7月に処分した。原子炉格納容器建屋等は、2004年9月までに解体された(図2参照)。2005年廃止措置完了、更地化されている。解体コストを廃棄物処理・処分費も含め約4億ドル(約400億円)で達成した。
(4)ビッグロックポイント(Big Rock Point:BWR、出力7.5万kWe、運転期間1963-1997年)
 ビッグロックは、1996年にヤンキーロー発電所が樹立した米国における最長運転記録を更新し、1998年8月に35年間の営業運転実績を残して永久停止された発電所である。廃止措置には即時解体方式が選択され、1997年に開始。1998年には一次系の系統除染がDFD法で行われた。炉内構造物及び冷却系の撤去は2002年までに行われ、原子炉圧力容器は一括撤去後、バーンウェル処分場へ輸送された。約90トンの蒸気ドラムは、2003年11月にユタ州のエンバイロケア処分場に運ばれた。廃止措置は2006年末に終了し、サイトが解放された。廃止措置コストは、使用済燃料貯蔵を含め、1997年に350.7百万ドルと評価している。
(5)サンオノフレ1号機(San Onofre-1:PWR、出力45.6万kWe、運転期間1968-1992年)
 南カリフォルニア・エジソン(SCE)社は、サンオノフレ発電所1号機について、当初、2013年まで安全貯蔵する予定であった。この方針は、運転中の2号機及び3号機のデコミッショニング時期と合わせることで規模を大きくして、経済性が向上することを重視していた。しかし、解体に必要な知識と従業員を確保するため、解体を早めることが決定された。原子炉施設の解体は、2008年までに完了した。廃止措置総費用は、460百万ドルと評価されている。解体廃棄物は、処分費用を1998年の160万ドルから200百万ドルに増加して、約20年間サイト内に保管される。
(6)サンオノフレ2号機及び3号機(PWR、出力117.7万kWe/基)
 SCE社は、今後、約30年間運転する予定で蒸気発生器を取り替えて運転を開始したが、蒸気発生器の伝熱管に損傷が見つかり、2013年6月、補修等方策を検討したが、安全審査に時間がかかり採算が合わない可能性があること、地元住民の同意が得られないことなどの理由により廃炉にすることを決定した。
(7)ザイオン1号機及び2号機(PWR、出力108.5万kWe、運転期間:1号機 1973.12-1998年、2号機 1974.09-1998年)
 ザイオン発電所の1号機及び2号機は、蒸気発生器の故障から取り替えるかどうか検討した結果、経済性の観点から1998年に廃炉とすることが決定された。当初、安全貯蔵を選択したが、2010年に早期の解体撤去に変更して、現在、解体中であり、2020年までに施設の解体撤去と環境修復を終える計画である。炉内構造物の解体には、ミーリング、ドリル及びソーなどを用いる機械的な切断工法を採用した。また、原子炉圧力容器の解体には、ドイツのスターデの経験に基づき熱的切断方法を採用する計画である。2基の廃止措置コストは、2010年9月評価で900百万ドルである。
(前回更新:2008年12月)
<図/表>
表1 米国における閉鎖した原子力発電所の概要
表2 米国の原子炉施設廃止措置関連法規
表3 米国の代表的な原子炉廃止実績
図1 米国の原子炉施設廃止措置手続きのフロー
図2 メインヤンキー炉の原子炉格納容器建屋の解体

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
廃止方法 (05-02-01-03)
解体関連除染技術 (05-02-02-04)
海外主要国における発電炉の廃止措置の実績 (05-02-03-01)
エルクリバー(米国)の解体撤去 (05-02-03-07)
シッピングポート(米国)の解体撤去 (05-02-03-08)
トロージャン原子炉の廃止措置 (05-02-03-16)
米国EBWRの解体 (05-02-04-06)
原子力発電所の寿命延長(NRCの運転認可更新規則) (14-04-01-17)

<参考文献>
(1)通商産業省資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課編、電力新報社発行:原子力発電便覧’99年版、1999年10月、p.778-779
(2)(社)日本原子力学会:日本原子力学会誌、Vol.46、No.11、9-10(2004)
(3)経済産業省:海外の廃止措置規制制度について
(4)原子力安全規制委員会(NRC):http://www.nrc.gov/info-finder/decommissioning/
(5)(一社)日本電気協会新聞部:原子力ポケットブック2013年版、2013年10月、p.287-291
(6)Eric Howes, Safe at Last, Radwaste Solution(Sep./Oct.2003),p.38-40
(7)Maine Yankee, Decommissioning Project Nears Completion:http://www.maineyankee.com/public/
(8)ANS NEWSLETTER,Decontamination Decommissioning and Reutilization Division,Oct.2000,May/Oct.2001,May/Oct.2002,May/Oct.2003,May/Oct.2004,May2005:http://ddrd.ans.org
(9)(社)日本原子力学会:日本原子力学会誌、Vol.46、No.11、9−10(2004)
(10)Tim Petrosky:The Big Rock Vessel Goes to Barnwell,Radwaste Solutions,(Jan./Feb. 2004),p.15-19
(11)U.S. NRC ‘Status of the Decommissioning Program 2012 Annual Report’.
(12)日本原子力産業協会:世界の原子力発電開発の動向 2013年版(2013年5月発行)
(13)Holger Spann “Reactor Vessel and Reactor Vessel Internals Segmentation at Zion Nuclear Power Station” KONTEC 2013.
JAEA JAEAトップページへ ATOMICA ATOMICAトップページへ