<大項目> バックエンド対策
<中項目> 放射性廃棄物の処理、処分
<小項目> 放射性廃棄物処理、処分の技術開発
<タイトル>
海外委託再処理から返還される放射性廃棄物 (05-01-04-05)

<概要>
 日本の電気事業者は、日本原燃(株)が青森県六ヶ所村に建設を進めている再処理工場が運転を開始するまでの間の経過措置として、フランスのAREVA NC(旧COGEMA)ラ・アーグ再処理施設と英国原子力グループ・セラフィールド(BNGS、旧BNFL)のセラフィールド再処理施設に再処理を委託している。海外再処理により発生する高レベル放射性廃棄物は、1995年4月には第1回目の返還があり、フランスのシェルブール港から青森県むつ小川原港へガラス固化体28本が返還された。これらは日本原燃(株)の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターで管理されている。また、再処理過程で発生した低レベル放射性廃棄物も今後返還される予定である。また、今後、海外再処理に伴う低レベル放射性廃棄物は、フランスおよび英国から順次返還されることになっている。両国から返還廃棄物の仕様の変更が提案されていて、国内に返還される廃棄物量が低減し、それに伴う輸送回数が低減することおよび海外から返還される低レベル放射性廃棄物の最終処分までのわが国における貯蔵管理施設の規模が縮小できるなどの効果が見込まれる。
<更新年月>
2009年02月   

<本文>
1.海外再処理委託契約
 日本国内の電気事業者(9電力会社、日本原子力発電(株))は、日本原燃(株)が青森県六ヶ所村に建設を進めている再処理工場が稼働するまでの間の経過措置として、フランスとイギリスの再処理業者であるAREVA NC(旧COGEMA、フランス核燃料会社)とBNGS(旧BNFL、イギリス原子燃料会社)に委託する契約をそれぞれ1977年9月および1978年5月に締結した。その後の追加契約分等を含めると現在のところ海外再処理委託量は、約5,600トンになる。また、ガス炉から出る使用済燃料については、日本原子力発電(株)がイギリスの旧BNFLと1,500トンの再処理委託契約を結んでいる。再処理の際に分離される放射性廃棄物(核分裂生成物、TRU等、使用済燃料重量の約3%)は、原子燃料として再利用される回収ウランプルトニウム(使用済燃料の97%)とともに電気事業者に返還される。
 フランスからの高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)については、平成7年より返還が行われており、青森県六ケ所村の日本原燃(株)高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターで一時貯蔵されており、引き続き低レベル放射性廃棄物(TRU廃棄物)の返還が行われる。今後、英国からも高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)および低レベル放射性廃棄物(TRU廃棄物)の返還が行われる予定である。再処理過程で発生する全ての放射性廃棄物(高レベルのみならず低・中レベル放射性廃棄物も含む)はその発生箇所に帰属し、処分責任は発生箇所が負うという考え方から、それらの放射性廃棄物は日本へ返還される。
 表1にフランスから返還された高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の受入実績(2007年12月末時点)を示す。
1.1 電力業界の対応
 旧COGEMA(現AREVA NC)ないし旧BNFL(現BNSG)と日本を含む全顧客間で合同委員会が設置され、とくに返還廃棄物に関係する技術的事項はその下部の残滓小委員会で取り扱った。また、国内では1980年から大学、研究機関、その他専門家等で構成する再処理廃棄物対策検討委員会を設置し、返還廃棄物の受入れに際しての技術的事項(返還廃棄物の量・性状、輸送、貯蔵・検査、安全評価手法、等価交換、貯蔵施設の概念的検討等)を中心にした検討、仕様(案)の問題点の摘出、輸送容器および貯蔵施設の概念設計等を行った他、電力会社では、旧日本原子力研究所(現(独)日本原子力研究開発機構)に委託して固化体仕様の評価検討、さらに固化体受入れについて輸送、受入れ、貯蔵等に関する技術開発が進められた。現在、返還されているガラス固化体の性状は図1のとおりである。使用済み燃料の再処理契約・海外再処理に伴う輸送契約に関し、電力10社の窓口として契約交渉・契約履行の補助や調整を行う組織として海外再処理委員会(ORC)が1977年に設立されている。
1.2 国の対応
 わが国としては、返還廃棄物受入れに際し、十分な検討を行う必要があり、国としても評価のための技術基盤を整える必要があることから、文部科学省は、旧日本原子力研究所(現(独)日本原子力研究開発機構)などに対し返還固化体対策(受入れ検査機器の開発、仕様の承認に係わる調査等)に関する研究開発を委託により実施し、すでに完了している。また、返還廃棄物受入れシステムに関し、ハンドリングシステム、有効利用等の開発調査を経済産業省から(財)原子力環境整備促進・資金管理センターへの委託により実施している。一方、原子力安全委員会は、専門部会において海外再処理に伴う返還廃棄物輸送の安全性、固化体と容器の安全性について検討し、1987年に報告書がまとめられている。その後、原子力委員会は、計画の進展や情勢の変化などを踏まえて今後10年程度の期間を一つの目安とした新たな計画を策定するため、2004年6月に新計画策定会議を設置し、海外再処理に伴い発生する放射性廃棄物の返還についても審議を重ね、2005年10月わが国の原子力政策に関する基本方針として原子力政策大綱を委員会決定とした。(注:原子力安全委員会は原子力安全・保安院とともに2012年9月18日に廃止され、原子力安全規制に係る行政を一元的に担う新たな組織として原子力規制委員会が2012年9月19日に発足した。)
2.返還放射性廃棄物の受入れ
2.1 高レベル放射性廃棄物
 ガラス固化体の輸送は、1995年4月にフランスから返還された28本を第1回目として、2007年8月までに12回、合計1,310本を受け入れ、高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターで受け入れ検査を行ったあと一時貯蔵されている。今後、英国から約850本の高レベル放射性廃棄物が返還される予定である。
 高レベル放射性廃棄物であるガラス固化体は青森県六ヶ所村にある(株)日本原燃の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターにおいて、30年〜50年、多段積みで貯蔵するボールト貯蔵方式と二重管方式による空気冷却を採用した貯蔵施設で管理される。高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターは1995年から操業を開始し、返還廃棄物貯蔵容量は現在1,440本で、将来的には2,880本分までの増設を予定している。輸送船(旧BNFLの関連会社であるPNTL社が所有するもので、Pacific Fisher、Pacific Sandpiper、Pacific Teal、Pacific Crane、Pacific Pintail、Pacific Swanがある、図2参照)は青森県の太平洋側に位置したむつ小川原港に接岸し、専用の輸送車両によって高レベル放射性廃棄物貯蔵センターへ陸上輸送される。返還されたガラス固化体は輸送容器から抜出され、表面汚染検査や外観検査をはじめとする7つの検査測定(図3図4参照)を経て、貯蔵ピットに一次貯蔵(図5参照)される。これまでの返還固化体の受入れおよび収納状況を図6(平成20年12月末現在)に示す。
2.2 低レベル放射性廃棄物
 海外再処理に伴う低レベル放射性廃棄物も、今後、フランスおよび英国のそれぞれの再処理事業者から順次返還されることになっている。このうち、フランスからは地層処分が想定される低レベル放射性廃棄物の形態をビチューメン(アスファルト)で固化した廃棄体(約1,100本)からガラスで固化した廃棄体(約28本)に変えることが提案されている。また、英国からは、低レベル放射性廃棄物のうち、地層処分が想定されるセメント固化体(約4,500本)と管理処分が想定される雑固体廃棄物(約6,000本)をそれらと放射線影響が等価な高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体:約150本)に交換して返還することが提案されている。これらの提案には、国内に返還される廃棄物量が低減し、それに伴い輸送回数の低減および海外から返還される低レベル放射性廃棄物の最終処分までのわが国における貯蔵管理施設が縮小できるなどの効果があると考えられる。このため、海外再処理委託を行っている事業者による内容の検討および国によるフランス提案の新固化方式による廃棄体の処理処分に関する技術的妥当性や、英国提案の廃棄体を交換する指標の妥当性などの評価・検討を行っている。
2.3 今後の対応
 海外の再処理業者に使用済核燃料を委託しているが、フランス、英国では、再処理に伴い発生する放射性廃棄物は原則として、委託国に返還する政策をとっているため、発生した廃棄物は電力会社が引き取ることになっている。このうち、TRU廃棄物について英国から提案されているのは、「放射線影響が等価な少量の高レベル放射性廃棄物(海外原子炉由来のもの)に交換すること」となっている。ところが、現在、わが国の最終処分法における「特定放射性廃棄物」は、国内の発電用原子炉由来の高レベル放射性廃棄物に限定されているため、海外原子炉由来のものも対象範囲に加える必要がある。そのため、「特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律」を改正して対応を図ることを検討している。改正後の法律の概要は以下のとおりである。
 ・特定放射性廃棄物として、第一種特定放射性廃棄物(高レベル放射性廃棄物:従来のもの)に加え、第二種特定放射性廃棄物(TRU廃棄物)を加える。
 ・TRU廃棄物を発生させる者(日本原燃(株)および(独)日本原子力研究開発機構)、代替取得する高レベル放射性廃棄物の輸入者(電力会社)に対し、処分費用の拠出を義務づける。
 なお、関連する「再処理等積立金法」などの法律改正も検討している。
(前回更新:2003年9月)
<図/表>
表1 高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)返還・受入実績
図1 返還されるガラス固化体の性状
図2 高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)輸送船
図3 ガラス固化体の検査(1/2)
図4 ガラス固化体の検査(2/2)
図5 高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の貯蔵施設
図6 返還固化体の受入れおよび収納状況

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
フランスの再処理施設 (04-07-03-08)
イギリスの再処理施設 (04-07-03-09)
日本における放射性廃棄物の発生の現状と将来の見通し (05-01-01-05)
高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の輸送時の安全性 (05-01-01-07)
原子力発電所からの放射性廃棄物の処理 (05-01-02-02)
使用済燃料の輸送 (11-02-06-04)
核燃料物質の車両運搬 (11-02-06-13)

<参考文献>
(1)日本原子力産業会議:原子力年鑑 昭和61年版(1987)、p.166
(2)原子力安全委員会月報 通巻 第109号(1988)
(3)原子力産業会議:放射性廃棄物管理ハンドブック 1988年版 (1988)
(4)電中研レビュー No.20,p.29(1989)
(5)日本原子力産業会議(編):原子力年鑑 1994年版、平成6年11月
(6)日本原燃株式会社ホームページ:http://www.jnfl.co.jp/
(7)原燃輸送株式会社ホームペー:http://www.nft.co.jp/aboutus/index.html
(8)電気事業連合会ホームページ:http://www.fepc.or.jp/
(9)原子力委員会:放射性廃棄物処理処分について、新計画策定会議(第18回)資料第5号、平成17年2月10日
(10)資源エネルギー庁、放射性廃棄物等対策室:特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律の改正について、平成19年3月
(11)経済産業省:総合資源エネルギー調査会、核燃料サイクル技術検討小委員会(第3回)資料 日本原燃(株)核燃料サイクル事業の現状について、平成20年9月16日
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