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<概要>
 原子力発電所をはじめとする原子力関連施設や大学の研究機関、放射性医薬品を利用する病院などからは、紙、布、ゴム手袋、雑固体、洗浄廃液などさまざまな低レベル放射性廃棄物が発生する。これらの低レベル放射性廃棄物は焼却、圧縮、固化等の処理を行った後、ドラム缶等に収納し、各々の施設の敷地内貯蔵庫に安全に保管されている。これらの廃棄物のうち、原子力発電所で発生した低レベル廃棄物は青森県六ヶ所村にある日本原燃(株)の低レベル放射性廃棄物埋設センターに搬入され埋設処分(浅地中処分)が行われている。また、RI・研究所等廃棄物は、施設解体物分を含め多くが浅地中処分の対象物であり、日本原子力研究開発機構が、処分施設の開設目標を平成30年として検討を進めている。
 一方、旧核燃料サイクル開発機構(現日本原子力研究開発機構)東海再処理施設で発生する高レベル放射性廃棄物の廃液は、ガラス固化体に処理され同施設内に保管されている。また、海外委託再処理に伴い発生した高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)は、逐次、変換され、日本原燃(株)の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターにおいて貯蔵管理されている。
<更新年月>
2009年02月   

<本文>
1.放射性廃棄物の発生量と保管量
 一般に放射性廃棄物といっても、その形状、発生場所および放射能濃度の違いにより、その種類は多種多様であり(図1)、その発生形態には固体、液体および気体のものがあり、更に固体でも可燃物、不燃物等に分類される。
 放射性廃棄物の発生源は次のようになる(ATOMICA 05−01−01−04参照)。
(1)再処理施設(分離工程廃液)
(2)原子力発電所等の運転および解体
(3)再処理施設およびMOX燃料加工施設
(4)ウランの転換・濃縮・燃料加工等の施設
(5)試験研究炉を設置または核燃料物質等を使用している研究所等、医療、研究のための放射性同位元素(Radioisotope:以下「RI」という。)の使用施設等
 わが国(日本)では、再処理工程の第1抽出サイクルから発生する放射能濃度の高いもの(分離工程廃液)を高レベル放射性廃棄物、その他の施設から発生する放射能濃度が相対的に低いものを低レベル放射性廃棄物と呼んで区別している。具体的には上記の(1)およびそのガラス固化体を高レベル放射性廃棄物、(2)〜(5)を低レベル放射性廃棄物としている。
 わが国の原子力施設において発生する放射性廃棄物の施設別発生量と保管量(平成19年度)を表1−1に、また区分別保管量を表1−2に示す。さらに主な原子力施設における放射性廃棄物の保管量の推移を表2に示す。
2.高レベル放射性廃棄物の発生量と貯蔵管理
 再処理施設から発生する高レベル放射性廃棄物は、発生量は少ないが、半減期が長く、かつ放射性物質の濃度が高いため、人間の生活圏から隔離することが必要であるとの考え方の下に、安定な形態にガラス固化し、冷却のため30年〜50年間程度貯蔵管理した後、地下数百メートルの深い地層中に安全に処分(地層処分)を行うことを基本方針としている。
 わが国では、これまで原子力発電所の使用済燃料の再処理をイギリスおよびフランスに委託してきた。両国から返還されたガラス固化体は、平成19年度末現在、合計1,310本で、青森県六ヶ所村にある日本原燃(株)高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターに貯蔵管理されている(表3)。高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターでは、受け入れた高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)を厚い鉄筋コンクリート造りの建物の中に設けた二重の鋼製収納管(貯蔵ピット)に収納し、自然の通風で冷却しながら30年から50年間貯蔵管理される。
 六ヶ所村に建設中の日本原燃(株)再処理工場で使用済燃料の再処理を本格的に開始(年間800トン・ウラン再処理)されると、高レベル放射性廃棄物の発生量は、ガラス固化体に換算して年間約1,000本程度の発生が見込まれている。
 また、旧核燃料サイクル開発機構(現日本原子力研究開発機構)の東海再処理施設において発生した高レベル放射性廃液は、専用の貯槽に貯蔵されているが、その一部を用いて東海事業所のガラス固化技術開発施設(TVF)においてガラス固化の技術開発が行われている。TVFにおいてこれまでに製作されたガラス固化体は、平成19年度末で247本であり、施設内部において安全に保管管理されている。
3.低レベル放射性廃棄物埋設センターの処分実績と埋設能力について
 原子力発電所の運転等に伴い発生する低レベル放射性廃棄物は、六ヶ所村にある日本原燃(株)低レベル放射性廃棄物埋設センターにおいて浅地中処分が行われている(ATOMICA 05−01−03−04および05−01−03−21参照)。平成19年度までの処分実績は、均質固化体を対象にした1号埋設で廃棄体約139,000本、雑固化体を対象にした2号埋設で廃棄体:約62,000本、合計201,000本である。1号埋設および2号埋設の処分容量は、それぞれ約4万立方メートルで20万本(200リットルドラム缶換算)であるが、最終的な埋設能力は約60万立方メートルで約300万本(200リットルドラム缶換算)となる計画である。
 また、放射能レベルの比較的高いものは、余裕深度処分の対象となり、このための次期埋設計画の本格調査が六ヶ所村おいて行われている。
4.商業用原子力発電施設の解体に伴い発生する放射性廃棄物(ATOMICA 05−01−01−04参照)
 商業用原子力発電施設である日本原子力発電(株)東海発電所1号炉は、1998年3月末をもって運転を終了、2001年3月に使用済燃料の取り出しを完了して2001年12月より廃止措置に着手した。これに伴い発生する放射性廃棄物は合計で約62,000トンと見積もられ、そのうちのクリアランス対象物は約37,000トンである。
 また、将来、大型軽水炉(110万kWe級)の廃止措置に伴い発生する放射性廃棄物はBWR型で約37,000トン(うちクリアランス対象物は約28,000トン)、PWR型で約17,000トン(うちクリアランス対象物は約12,000トン)と見積もられている(ATOMICA 05−01−01−4参照)。
5.RI・研究所等廃棄物
 RIは原子力分野のみならず多くの分野で利用されており、事業所数は5,000(加速器の利用を含む)を超えている。これらの事業所からRIで汚染した廃棄物等(「RI廃棄物」)を発生している。また、日本原子力研究開発機構等の研究機関、大学、民間企業等の約180事業所では、原子力の利用に関する研究開発やその他の事業の目的のために、試験研究炉や核燃料使用施設等が設置されており、これらの事業所から各種の放射性廃棄物(「研究所等廃棄物」)が発生している。
 平成18年度末におけるRI・研究所等廃棄物(研究施設等廃棄物とも呼ばれる)の累積保管体数量は、合計約29万本(200Lドラム缶換算)である。この廃棄物の多くは、浅地中処分相当の対象物であり、研究開発施設の廃止措置の解体物を含め、平成60年度末までに廃棄体の発生見込み数量は200Lドラム缶換算で約59万本(うち、コンクリートピット処分対象は約22万本、トレンチ処分対象は約37万本)になると試算されている。RI・研究所等廃棄物を対象とした浅地中処分計画について、日本原子力研究開発機構が、処分施設の開設目標を平成30年として検討を進めている。
(前回更新:2004年6月)
<図/表>
表1−1 わが国の原子力施設において発生する放射性廃棄物の施設別発生量と保管量
表1−1  わが国の原子力施設において発生する放射性廃棄物の施設別発生量と保管量
表1−2 わが国において発生する放射性廃棄物の区分別保管量
表1−2  わが国において発生する放射性廃棄物の区分別保管量
表2 主な原子力施設における放射性廃棄物の保管量の推移
表2  主な原子力施設における放射性廃棄物の保管量の推移
表3 高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)返還・受入実績
表3  高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)返還・受入実績
図1 放射性廃棄物の全体概要
図1  放射性廃棄物の全体概要

<関連タイトル>
放射性廃棄物 (05-01-01-01)
わが国の放射性廃棄物の種類と区分 (05-01-01-04)
わが国における放射性廃棄物処理処分の規制と責任 (05-01-01-06)
六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターの概要 (05-01-03-04)
六ヶ所低レベル放射性廃棄物埋設センターの現状 (05-01-03-21)
解体廃棄物の放射能レベル区分 (05-02-01-04)
放射性廃棄物 (09-01-02-01)

<参考文献>
(1)(社)日本電気協会新聞部:原子力ポケットブック 2008年版(2008年7月)、p.255
(2)電気事業連合会(編):「原子力・エネルギー」図面集 2008年版(2008年4月)、p.188
(3)(財)原子力環境整備促進・資金管理センター、放射性廃棄物の処分について、htt://www.rwmc.or.jp/disposal/radioactive−waste/
(4)日本原燃(株)ホームページ、http://www.jnfl.co.jp/
(5)日本原子力発電(株)ホームページ、http://www.japc.co.jp/
(6)文部科学省 報道発表:「埋設処分業務の実施に関する基本方針」について(平成20年12月25日)
(7)原子力安全委員会、原子力安全総合専門部会:「放射性同位元素使用施設等から発生する放射性固体廃棄物の浅地中処分の安全規制に関する基本的考え方について」(平成16年1月)
(8)原子力安全委員会:研究所等から発生する放射性固体廃棄物の浅地中処分の安全規制に関する基本的考え方」(平成18年4月20日)
(9)文部科学省 研究開発局 原子力計画課 放射性廃棄物企画室:RI・研究所等廃棄物(浅地中処分相当)処分の実現に向けた取り組みについて 概要(平成18年10月3日)、http://www.aec.go.jp/jicst/NC/iinkai/teirei/siryo2006/siryo40/siryo31.pdf
(10)経済産業省 原子力安全・保安院:平成19年度 原子力施設における放射性廃棄物の管理状況及び放射線業務従事者の線量管理状況について(平成20年6月)
(11)文部科学省 放射線審議会事務局 :日本における放射性廃棄物の埋設処分の概要について(平成21年1月13日)
(12)原子力委員会:平成19年版 原子力白書 2−3放射性廃棄物の処理・処分(平成20年3月)、http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/hakusho/hakusho2007/2.pdf
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