<大項目> バックエンド対策
<中項目> 放射性廃棄物の処理、処分
<小項目> 放射性廃棄物総論
<タイトル>
高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の輸送時の安全性 (05-01-01-07)

<概要>
 高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の輸送容器、輸送船、輸送体制などは全て使用済燃料の場合とほとんど同じである。いずれも国際的な基準があり、わが国の基準もその基準と整合がとられている。
 放射線被ばくの防止は主に輸送容器に依存しているので、高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の輸送と使用済燃料の輸送で被ばく線量の評価結果に違いが生じないが、空気汚染源の存在状態から考えて、万一の事故で一般公衆が放射線被ばくするリスクは高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の輸送の場合の方が低いといえる。また、核燃料物質防護の観点からの問題は高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の輸送にはない。
<更新年月>
1996年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 高レベル放射性ガラス固化体(以下「ガラス固化体」という)の輸送の例として、フランスCOGEMA社(現AREVA NC社)での再処理により生じた高レベル放射性廃棄物ガラスの輸送について述べる。
 ガラス固化体輸送容器は、使用済燃料の輸送に使用される輸送容器と構造・機能ともほとんど同じであり、ガラス固化体28本(TN28VT型の場合)が収納でき、総重量約112 トンである。炭素鋼製のガンマ線遮へいおよび樹脂製の中性子遮へいが施してある。胴体はステンレス鋼製の蓋および二重のガスケットで密封されている。さらに落下等による衝撃を緩和するため、衝撃吸収体がつけられている( 図1 参照)。
 ガラス固化体の輸送容器は、使用済燃料の輸送容器と同様、通常の運搬時の取扱いミスおよび事故時を想定して設計されており、熱、密封および遮へい性能等の輸送容器の健全性について国により審査した結果、法令で定められている技術基準(試験条件については 図2 参照)に適合していることが確認されている。
 海上輸送に際しては、使用済燃料の海上輸送と同等の安全措置がとられている。この専用運搬船( 図3 参照)は、1993年に国際海事機関(IMO)および国際原子力機関(IAEA)において合意され、国際的に採択された「船積み輸送容器による照射済燃料、プルトニウムおよび高レベル放射性廃棄物の安全輸送規則(INF コード)」を取り入れたわが国の基準に合致するものであり、万一の衝突・座礁等の事故に対しても二重船殻構造および耐衝突構造により復原性を有する沈み難い構造を有している。また、設備については、万一の火災事故に対しても十分な消火設備に加え、非常時に各貨物倉に水をはることができる設備が備えつけられている。専用埠頭に陸あげされた廃棄物は、専用車両( 図4 )参照)で専用輸送道路を経由して日本原燃(株)のガラス固化体貯蔵施設(青森県六か所村)に輸送される。
 以上述べたように、高レベル放射性廃棄物と使用済燃料とは主な放射性核種も放射能量も良く似ていることから、輸送システムはほとんど変わらない。輸送の安全性は原則的には輸送容器で確保されるので内容物の違いは、放射線被ばく評価の結果にほとんど影響しないが、空気汚染源となる放射性核種および核燃料物質の存在状態からみて、高レベル廃棄物の輸送の方が潜在的危険性が低いと考えられる。
 ガラス固化体には放射性ヨウ素、希ガス等のように気体として拡散し空気汚染の原因となりやすい放射性核種が含まれていない。また、セシウム137 などの放射性核種はガラスと一体化していて、使用済燃料での存在状態のように、酸化ウランの結晶粒界やペレットと容器の間の空隙に存在するのではない。そのため、万一容器の密封が破れた場合でも、瞬間的な放射性核種の漏出は起きない。
 核燃料物質であるウランおよびプルトニウムは含有量が低く、単離し難い状態で存在し、核兵器への転用の可能性がない。そのため、IAEA INFCIRC/225を参考に核物質防護措置の対象から外されている。
<図/表>
図1 ガラス固化体輸送容器(TN28VT)の全体図(例)
図2 輸送容器の試験条件
図3 使用済燃料輸送船
図4 荷役・陸上輸送

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<関連タイトル>
再処理廃棄物の特性 (04-07-02-05)
高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の貯蔵時の安全性 (05-01-01-08)
高レベル廃液ガラス固化処理の研究開発 (05-01-02-04)

<参考文献>
(1) 科学技術庁(パンフレット):高レベル放射性廃棄物−原子力利用の必要性と地層処分の見通し−1994年
(2) 電気事業連合会、日本原燃(株)、原燃輸送(株)(プレス発表説明資料):海外から返還されるガラス固化体の受入れ概要 平成7年2月
(3) 原子力委員会決定:ガラス固化体の核物質防護措置について 平成6年3月11日
(4) 日本原子力産業会議(編):放射性廃棄物管理ハンドブック1994年版、1994年7月
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