<大項目> バックエンド対策
<中項目> 放射性廃棄物の処理、処分
<小項目> 放射性廃棄物総論
<タイトル>
高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の貯蔵時の安全性 (05-01-01-08)

<概要>
 青森県六ヶ所村にある日本原燃(株)の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターのガラス固化体貯蔵施設では、固化体収納管の外側に同心円状に通風管が設けてあり、冷却空気はこの間隙を通して固化体を自然対流で冷却する。固化体は間接的に冷却されるので、冷却空気が汚染される確率は極めて低い。また、ガラス固化体貯蔵施設は航空機の衝突に対しても防護できる設計がなされている。収納するガラス固化体は受入れ時に仕様通りであることを固化処理時の記録から確認するとともに、発熱量や閉じ込め性などの重要な項目についてはそのつど測定して確認している。また、安全性に関連して、ガラス固化体に起因する潜在的空気汚染の原因物質の性質やコンクリートの耐放射線性について基礎的な試験研究が行われている。
 ガラス固化体は法令上の防護対象となる特定の核燃料物質には該当せず、炉規法にもとづく核物質防護措置は要求されていないが、施設の入り口における出入管理、境界における定期的な巡視など、「慣行による慎重な管理」に従って防護が実施されている。
<更新年月>
2009年01月   

<本文>
 高レベル放射性廃棄物ガラス固化体(以下「ガラス固化体」という)からは、含有する放射性核種崩壊熱が発生している(例:COGEMA返還廃棄物約2kW/本)ので、冷却のため30年間から50年間程度貯蔵し、その後最終処分される。図1に青森県六ヶ所村にある日本原燃(株)の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターのガラス固化体貯蔵施設(鉄筋コンクリート造、地上2階、地下2階、建築面積約2,000m2)の概要を示す。床面走行クレーンおよび収納管80本で構成される貯蔵ピット2基があり、総数1,440本の貯蔵の能力がある。収納管の外側に同心円状に設置された通風管と収納管の間隙に冷却空気を流すことにより、ガラス固化体は収納管の外側から冷却する構造となっている。冷却空気はガラス固化体の発熱による熱対流で自然換気され、排気モニタリング設備で放射能濃度が監視され、排気口から放出される。
 ガラス固化体からの中性子線によりわずかに放射化される冷却空気中の放射性物質等の敷地境界外の空気中濃度は、評価結果が厳しくなるように気象条件を設定して評価されている。この結果、最も高い場合でも法令に定める濃度限度の500,000分の1以下である。また、直接線およびスカイシャイン線による敷地境界の線量当量は、計算の結果、年間約0.007ミリシーベルトであり、一般公衆の被ばく線量は法令で定められている線量当量限度年間1ミリシーベルトを超えない十分低い値である。
 ガラス固化体貯蔵施設は航空機の衝突に対する防護設計がなされており、航空機の部品のうち比較的硬い部品であるエンジンの衝突を想定して、コンクリートの圧縮破壊および鉄筋または鋼材が破断しない設計になっている。また、ガラス固化体を取り扱う機器・設備が破損するような落下事故が生じないよう設計されている。
 ガラス固化体が貯蔵施設に受け入れられる際にはガラス固化体が仕様通り製造されることを品質管理の記録等で確認するとともに、発熱量、閉じ込め性等重要な特性については受入れ時点で測定による確認検査が行われている(図2参照)。
 汚染の原因になる物質については、多くの基礎的な試験研究が行われている。例えば、セシウム137による空気汚染源について、ガラス固化体の温度とキャニスタ内部の空気の汚染との関係(図3参照)を調べられており、500℃以下ではセシウムの昇華蒸気圧と関係なく浮遊粒子による汚染であると推定されている。また、キャニスタに万一穴があいた場合を想定して、模擬キャニスタに人工的にあけた穴から漏洩する放射性物質の量を測定する試験が行われ、放射性物質の漏洩が認められないことが確認されている。
 衝突エネルギー密度10J/cm3でのガラスブロックの標準落下試験では、飛散しやすい粒径である10μm以下のガラス粒子の生成は約0.15%であり、粒子の大きさの分布は対数正規分布で近似できるとの報告がある。コンクリートの耐熱・耐放射線性については160℃までの加温状態および総照射線量約2.0 E10 Rまでの種々の組み合わせでのγ線照射試験が行われ、加温による物性変化は認められたが放射線照射の影響は認められていない。
 ガラス固化体貯蔵時の核物質防護の実施について、現在国内では日本原燃(株)の高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターと日本原子力研究開発機構のガラス固化体技術開発施設において貯蔵されており、出入許可を受けた者や車両のみしか施設に接近することが出来ない。ガラス固化体は法令上の防護対象となる特定の核燃料物質には該当せず、炉規法にもとづく核物質防護措置は要求されていないが、施設の入り口における出入管理、境界における定期的な巡視など、「慣行による慎重な管理」に従って防護が実施されている。
(前回更新:1996年3月)
<図/表>
図1 ガラス固化体貯蔵施設
図2 廃棄物管理施設工程概要図
図3 キャニスタ中に浮遊する134Cs濃度と温度との関係

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の輸送時の安全性 (05-01-01-07)
高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の貯蔵時の安全性 (05-01-01-08)
再処理施設からの放射性廃棄物の処理 (05-01-02-03)
高レベル廃液ガラス固化処理の研究開発 (05-01-02-04)

<参考文献>
(1)科学技術庁(パンフレット):高レベル放射性廃棄物−原子力利用の必要性と地層処分の見通し−(1994年)
(2)電気事業連合会、日本原燃(株)、原燃輸送(株):海外から返還されるガラス固化体の受入れ概要(プレス発表説明資料)(平成7年2月)
(3)H.Kamizono,et.al.:“Volatilization of Cesium from nuclear waste glass in a canister” Nucl.Tech., 72,84(1985)
(4)科学技術庁パンフレット:高レベル放射性廃棄物ガラス固化体の貯蔵時の安全性について(1992)
(5)Jardine,L.J. et al.:“Respirable fines produced by impacts of simulated alternative high−evel waste materials” Scientific Basis for Nuclear Waste Management Boston (1981), p115
(6)村岡進ほか:γ線照射がコンクリートの諸物性に及ぼす影響に関する研究JAERI−M85−097(1985)
(7)日本原子力産業会議(編):放射性廃棄物管理ガイドブック1994年版(1994年7月)
(8)原子力委員会 原子力防護専門部会:高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)等の防護の在り方に関する基本的考え方について(2007年8月)
(9)電気事業連合会:「原子力・エネルギー」図面集 2008年版(2008年4月)、p.187
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