<大項目> 原子力発電
<中項目> 技術の改良・高度化
<小項目> 軽水炉の改良標準化
<タイトル>
第一次および第二次改良標準化 (02-08-02-01)

<概要>
 我が国の軽水型原子力発電所は、米国より技術導入して建設、昭和45年に運転を開始した。技術導入から10余年の運営・運転経験を経て、我が国の事情に適した軽水炉技術の自主確立を図ることとなり、(1)信頼性の向上、(2)被ばく低減、(3)定検の的確化等を課題とした第1次及び第2次改良標準化を実施した。
<更新年月>
2010年09月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.第1次及び第2次改良標準化の概要
 我が国における商業用軽水型原子力発電所は、米国より技術導入して建設、昭和45年に運転が開始された。技術導入後の10余年においては、建設・運転の経験を積み重ね、鋭意国産化を進めて来たが、昭和50年頃までは導入技術の消化に力点が置かれ、自主技術による設計改良に対する努力は必ずしも十分とは言えない面もあった。
 一方、軽水型原子力発電所の機器の製作、建設及び運転保守を通じて我が国としての経験が積み重ねられるなかで、BWR応力腐食割れSCC)やPWR蒸気発生器伝熱管の損傷といったトラブルや運転保守上の不具合な点も目につくようになり、稼動率も必ずしも所期の値が得られていない状況であった。また、高速増殖炉の商業化が実現すると期待される21世紀中頃まで軽水炉が我が国の原子力発電の主力となることから、安定的かつ経済的な長期的エネルギー源としての役割を果たすために、従来の経験を踏まえて以下の改良を行い、我が国の国情に適した軽水炉の技術を確立することが重要な課題と考えられた。
 (1)機能の自動化、遠隔化等による保守点検の的確化
 (2)作業スペースの確保、機器配置の改良、作業能率の向上等による従業員の被ばく低減化
 (3)機器の信頼性及び稼動率の向上
 このような機器の改良の成果を踏まえて標準化を推進することにより、プラントの信頼性、経済性の向上及び許認可手続の効率化が期待された。
 プラントの標準化に当たっては、安全設計を中心とする基本設計及び改良の成果について運転実績等により確信のもてる機器類等を中心に標準化を進め、数次のステップをへて初めて下記のような標準化の究極目標が達成されるものと考えられた。
 (1)各系統及び機器に標準化された設計を繰返し用いることによりプラント設備の信頼性の向上が図られる。
 (2)標準化された設計のプラントを積極的に採用することにより機器材料の計画生産が可能となり信頼性及び経済性の向上が図られる。
 (3)プラント間の機器、部品類の互換性により建設保守の効率化、予備品保有量の節減、停止期間の短縮が図られる。
 (4)信頼性と経済性の向上が図られ、パブリックアクセプタンスが得られる。
 このような観点から、昭和50年6月通商産業省(現経済産業省)に原子力発電機器標準化調査委員会及び原子力発電設備改良標準化調査委員会を設置し、軽水型原子力発電設備、機器の改良・標準化を図るに当たっての大綱方針が示された。
 これらの委員会では計画を進めるにあたり対象とする炉型及びその出力として、BWR、PWRの各々800MW及び1,100MW級のもの計4種類を選択し、また改良標準化の進め方としては、その技術的難易度を考慮して次の2段階方式で進められた(図1参照)。
 (1)格納容器の拡大等による従業員の被ばく低減、作業能率の向上を目的とした第1次改良標準化
 (2)第1次改良標準化をベースに、機器・システム等の改良を行いプラント全体にわたって標準化を行う、いわゆる日本型軽水炉を確立することを目的とした第2次改良標準化
2.標準化の目標
 自主技術による軽水炉の信頼性、稼動率の向上及び従業員の被ばく低減を目指し、昭和50年度より昭和52年度にかけて第1次改良標準化計画が、また昭和53年度より昭和55年度にかけて第2次改良標準化計画が実施された(表1参照)。昭和56年度以降設置許可申請の行われたプラントでは第1次及び第2次改良標準化での成果が反映されており、第2次改良標準化の成果が反映されたプラントの例として、BWRプラントでは柏崎刈羽2号〜5号、浜岡4号、島根2号、女川2号〜3号、志賀1号があり、PWRプラントでは大飯3号〜4号、玄海3号〜4号、伊方3号がある。これらの標準化計画では、具体的に以下のような数値目標が掲げられた。
(1) 信頼性及び稼動率の向上
 蒸気発生器、応力腐食割れ(SCC)対策及び燃料等の大巾な改善が図られると共に、定期検査の効率化などにより時間稼動率は約80%、設備利用率は約75%になることが期待された。
(2) 定期検査期間の短縮
 定期検査は原子炉側作業がクリティカルとなっており、原子炉側作業を主に定期検査期間短縮のための検討及び設備の開発が行われ、併せて実施された作業体制の見直しの寄与などを前提とすれば、定期検査期間は、第2次改良標準化プラントで約70日になることが期待された。
 (3) 被ばく低減化
 従業員の被ばくについて種々の検討及び設備の開発が行われ、第2次改良標準化プラントで約1/2に減少することが期待された。
 なお、第1次及び第2次改良標準化計画の成果をベースとして、日本型軽水炉を確立するための第3次改良標準化計画が昭和56年度より昭和60年度にかけて実施された(「ATOMICA第三次改良標準化(02-08-02-02)」を参照)。
<図/表>
表1 第1次及び第2次改良標準化計画の概要
図1 軽水型原子力発電設備の改良標準化計画スケジュール

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
第三次改良標準化 (02-08-02-02)
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日本の原子力発電開発の歴史 (16-03-04-01)
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<参考文献>
(1)通商産業省資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課(編):’93年版 原子力発電便覧、電力新報社(1992年10月)
(2)通商産業省資源エネルギー庁公益事業部原子力発電課(編):’99年版 原子力発電便覧、電力新報社(1999年10月)
(3)火力原子力発電技術協会(編):やさしい原子力発電、火力原子力発電技術協会(平成2年6月)
(4)通商産業省 原子力発電機器標準化調査委員会、原子力発電設備改良標準化調査委員会:「昭和51年度軽水炉改良・標準化調査報告書〔概要〕」昭和52年原子力委員会月報22(5)、昭和52年4月25日、
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/ugoki/geppou/V22/N05/197723V22N05.html
(5)通商産業省:「軽水炉改良標準化調査中間報告書について」昭和53年原子力委員会月報23(5)、
http://www.aec.go.jp/jicst/NC/about/ugoki/geppou/V23/N05/197812V23N05.html
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