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<概要>
 我が国の原子力発電は、昭和41年に初の商業用原子力発電所が運転開始し、平成6年12月末現在では、原子炉48基、総出力4,036.6万kWの発電規模を有するに至っている(動燃事業団(現日本原子力研究開発機構)の新型転換炉ふげん16.5万kWをふくめると49基、4,053.1万kW)。
 イギリスから導入したガス冷却炉(GCR)1基、16.6万kW、アメリカ技術をもとにしたPWR加圧水型軽水炉)22基、1,818.6万kW、同様にBWR(沸騰水型軽水炉)25基、2,201.4万kWの内訳である。この原子力発電所の設備容量は世界で第3位となった。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 我が国の原子力発電所の設置容量は、1994年12月末現在GCR 1基16.6万kW、PWR 22基1,818.6万kW、およびBWR 25基2,201.4万kW、で総計4,036.6万kWである。
 1993年における我が国の運転中の原子力発電所46基は、2,390.48憶kWhを発電し、国内の総発電電力量の30.9%をしめた(自家発電を含まない)。
  図1 に設備容量および設備利用率の推移(電気事業用)を示す。
  図2 に事故・トラブル等報告件数及び一基当たり報告件数の推移(法律対象)を示す。
  図3 に発電電力量の推移(電気事業用)を示す。
  図4 に原子力発電所立地図(1994年12月15日現在)を示す。
  図5 に原子力発電所における放射線業務従事者の被ばく実績を示す。

1.設備利用率
 1993年度の原子力発電所の平均設備利用率は、BWR 24基(合計出力2,091.4万kW)が76.7%、PWR 21基(同1,729.6万kW)が74.7%、GCR 1基(16.6万kW)が0%、46基の平均設備利用率は前年比1.2%増しの75.4%だった。また、46基の平均時間稼動率は75.4%だった。日本で1994年に営業運転を開始した原子力発電所は3基で、その内訳は九州電力の玄海3号機(118万kW、PWR)、東京電力の柏崎刈羽4号機(110万kW、BWR)、四国電力の伊方3号機(89.0万kW、PWR)である。

2.運転建設状況
 現在建設中はPWR 1基、出力118.0万kWおよびBWR 3基(含むABWR 2基)、出力353.7万kWで総計471.7万kWである。なお建設準備中の原子力発電所は、BWR 2基で出力は165.0万kWである。原子力発電所の運転・建設状況の内訳を 表1 に示す。
 1992年12月15日現在の原子力発電の運転・建設状況一覧を 表2 に示す。

3.設備容量
 1993年度(平成5年)末における我が国の電気事業用原子力発電所の炉型別(GCR、BWR、PWR)設備容量の推移は、 表3 に示すとおり、合計46基3,837.6万kWとなり、電気事業用の全発電設備に対する比率は、20.2%となった。この設備容量は、アメリカ(平成6年6月末時点、109基、1億475.4万kW)、フランス(同、55基、5,979.3万kW)に次いで世界第3位となった。

4.設備利用率
 1993年の我が国の原子力発電所の設備利用率は、営業運転中の全原子力発電所平均で、75.4%となった。石油代替エネルギーの中核として着実に原子力の利用が進められている。
 我が国の原子力発電は、1966年(昭和41年)に東海発電所(GCR)が、1970年(昭和45年)に軽水炉(BWR、PWR)が商業運転を開始した。軽水炉は1975年(昭和50年)代前半に初期トラブル、BWRは応力腐食割れ(SCC:Stress Corrosion Cracking)、PWRは蒸気発生器伝熱管からの漏洩等のため、設備利用率は40〜50%程度と低迷を続けていたが、1975年(昭和50年)代後半からは徐々に上昇してきた。1983年度(昭和58年度)には71.5%と初めて70%の大台に乗せて以後、70%以上の設備利用率を維持し、先進国の中でも極めて良好な成績を示している。設備利用率が向上してきた要因としては、
  (1)定期検査期間の短縮
  (2)設備・機器の信頼性向上、燃料設計の変更等による運転期間の長期化
  (3)運転中のトラブルの減少
 があげられる。

5.今後の計画
 現在着工されている東京電力の柏崎刈羽6、7号(BWR、各135.6万kW)の2基は、改良型BWR(ABWR)とよばれる我が国の軽水炉の第3次改良標準化計画の成果を反映した初号機である。インターナルポンプ内蔵型再循環ポンプ)など新技術が採用され、安全性信頼性を一層高めた設計となっている。また電源開発株式会社初の原子力発電所となる国産重水炉 ATR(60.6万kW)の建設が予定されていたが、動燃事業団(現日本原子力研究開発機構)が開発した我が国初の重水炉ATRの実証炉となる筈であった。
 電気事業審議会需給部会(当時)が中間報告書(平成2年6月)にまとめた新しい長期エネルギー需給見直しでは、平成11年度(2000年度)で全国ベースの設備容量で、4,510万kW(19%)、発電電力で、3,080億kWh(33%)、平成21年度(2010年度)では同様に、7,000万kW(25%)、4,780億kWh(同42%)と原子力傾斜の計画が立てられている。
<図/表>
表1 原子力発電所の炉型別の運転・建設状況一覧
表1  原子力発電所の炉型別の運転・建設状況一覧
表2 原子力発電所の運転・建設状況一覧
表2  原子力発電所の運転・建設状況一覧
表3 電気事業用原子力発電所の炉型別(GCR、BWR、PWR)設備容量の推移
表3  電気事業用原子力発電所の炉型別(GCR、BWR、PWR)設備容量の推移
図1 設備容量および設備利用率の推移(電気事業用)
図1  設備容量および設備利用率の推移(電気事業用)
図2 故障・トラブル等報告件数及び一基当たり報告件数の推移(法律対象)
図2  故障・トラブル等報告件数及び一基当たり報告件数の推移(法律対象)
図3 発電電力量の推移(電気事業用)
図3  発電電力量の推移(電気事業用)
図4 原子力発電所立地図(1994年12月15日現在)
図4  原子力発電所立地図(1994年12月15日現在)
図5 原子力発電所における放射線業務従事者の被ばく実績
図5  原子力発電所における放射線業務従事者の被ばく実績

<関連タイトル>
海外の原子力発電所の現状(1995年) (02-06-01-01)

<参考文献>
(1) 通商産業省資源エネルギー庁・公益事業部 原子力発電安全管理課編:原子力発電所 運転管理年報 平成6年版(平成5年度実績)
(2) 資源エネルギー庁(編):原子力発電関係資料 平成6年12月
(3) 原子力安全委員会(編):平成6年版 原子力安全白書 大蔵省印刷局(1995)
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