<解説記事ダウンロード>PDFダウンロード

<概要>
 世界の原子力発電所は 1994年12月31日現在で、運転中のもの425基(3億5,634万kW)、建設中のもの66基(5,669.6万kW)、計画中のもの59基(5,057万kW)で合計550基(4億6,360.6万kW(グロス電力出力))である。1994年に新たに営業運転を開始した発電所は合計7基(663.5万kW)で、新規に着工したもの2基(120万kW)で建設工事が再開されたもの1基(100万kW)である。また、新規に計画入りしたものは13基(1,332.5万kW)と計画が中断していたもの1基(100万kW)があった。営業運転を終了した発電所2基(80.5万kW)、建設工事を中止したもの2基(256.6万kW)、計画が中止となったもの4基(400万kW)であった。
<更新年月>
1998年03月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 世界の原子力発電所は1994年12月31日現在で、運転中のもの425基(3億5,634万kW)、建設中のもの66基(5,669.6万kW)、計画中のもの59基(5,057万kW)で合計550基(4億6,360.6万kW(グロス電力出力))である。 表1−1 および 表1−2 に「世界の原子力発電設備の状況(1994年12月31日現在)」を示す。 図1 に「原子力発電国(30カ国・地域)の原子力発電設備容量」を示す。 図2 に「世界の原子力発電所の基数及び計画外停止頻度」を示す。 図3 に「世界の運転中原子力発電設備容量の推移」を示す。 図4 に「炉型別原子力発電設備容量の割合」を示す。
 1994年に営業運転を開始した発電所は合計7基(663.5万kW)である。その内訳は日本が3基(玄海3号機、118万kW、柏崎刈羽4号機、110万kW、伊方3号機、89万kW)、中国が3基(広東大亜湾1号機、90万kW、2号機、90万kW、秦山1号機、30万kW)、フランスが1基(ゴルフェッシュ2号機、136.5万kW)である。新規に着工したものは中国2基(秦山2号機、60万kW、秦山3号機、60万kW)である。また、ロシアで建設工事が再開されたもの1基(バラコボ5号機、100万kW)がある。新規に計画入りしたものは13基(1,332.5万kW)である。その内訳は中国の10基(広東嶺澳原子力発電所4基、各100万kW、広東陽江原子力発電所6基、各100万kW)、日本の1基(女川3号機、82.5万kW)と英国の2基(サイズウェルC原子力発電所、双子型で各125万kW)である。また、ロシアで計画が中断していたもの1基(バラコボ6号機、100万kW)があった。営業運転を終了した発電所は2基で、英国1基(ドーンレイPFR、25万kW)とフランス1基(ビュジェイ1号機、55.5万kW)である。建設工事を中止したものは米国の2基(ペリー2号機、125万kW、WNP3号機、131.6万kW)である。計画が中止となったものは4機(400万kW)であり、その内訳はハンガリーの2基(パクシュ5、6号機、各100万kW)とポーランドの2基(各100万kW)であった。
 前年同期(1993年末)の実績と比較すると、運転中の発電所設備は5基(611.9万kW)が増加した。建設中の発電所については、新規に着工した件数が少なかったことから、運転中の項目へ移った分などの6基(700.1万kW)が減少となった。計画中の原子力発電所は5基(671.3万kW)増加しており、設備容量の総計では1993年末以降4基(583.1万kW)分の増加という結果になった。
 以下に主な国々の原子力発電所の現状をアジア、南北アメリカ、欧州の順に紹介する。
[韓国]原子力発電所の発電電力量は587億kWhで、総発電電力量の35%を供給した。その平均設備利用率は、過去最高の87.4%を記録した。
[中国]原子力発電所3基(広東大亜湾1、2号機各90万kW、PWR、秦山1号機30万kW、PWR)が中国初の営業運転を開始し、発電電力量は125.8億kWhであった。
[台湾]現在6基が運転中であり発電電力量は335.2億kWhで、総発電電力量の30.4%を供給した。原子力発電設備の総発電設備容量割合は24.5%(514.1万Kw)である。
[インドネシア]180万kW分の同国初の原子力発電所建設計画がある。
[タイ]2006年に2基、初の原子力発電炉の導入を考えている。
[トルコ]2010年までに200万kW分の原子力発電所の計画を持っている。
[イラン]ロシアの協力による同国最初のブシェール原子力発電所で2基の建設計画がある。1号機は4年以内の完成を予定。中国からの導入する計画がある。
[米国]運転した原子力発電所は前年と同数の109基で、10月までの平均稼働率は2.5%と前年同期より1.6ポイント上昇した。個別の原子炉では、9月25日にミルストン1号機(68.9万kW、BWR)と翌26日にセイラム1号機(113.2万kW、PWR)が運転開始以降の累計発電電力量1,000億kWhを達成した。建設中の発電所については、99%完成したテネシー峡谷開発会社(TVA)のワッツバー原子力発電所1号機(121.1万kW、PWR)があり、その他の建設中発電所は、完成にこぎつけるかどうか危ぶまれている状態である。
[カナダ]現在22基が運転中であり、、設備容量は1,669.9万kWで、これは総発電設備容量の15%である。個別の原子炉でピッカリング7号機(54万kW、CANDU)は、連続運転の世界記録を894日間まで伸ばした。また、ブルース2号機(90.4万kW、CANDU)を含めて余剰な電源設備を休止させる方針を明らかにした。同2号機は1995年9月に運転を停止することになった。
[アルゼンチン]アトーチャ原子力発電所1号機(35.7万kW、PHWR)とエンバルス原子力発電所(64.8万kW、CANDU)の2基が運転中であるほか、アドーチャ2号機(74.5万kW、PHWR)が建設中である。
[フランス]現在運転中の原子力発電所は55基、発電設備容量は5,979.3万kWで総発電電力量4,540億kWhの75%にあたる3,418億kWhを発電した。また、周辺諸国への電力輸出量は前年の実績を17億kWhを上回る634億kWhの実績を記録した。新規に営業運転を開始した発電所は、ゴルフェッシュ原子力発電所2号機(136.5万kW、PWR)がある。5月27日にはビュジェイ原子力発電所1号機(55.5万kW)が耐用年数に達して営業運転を終了した。1990年から停止中であったスーパーフェニックス原子力発電所(124万kW、FBR)が8月4日、4年ぶりに運転開始に向けて再度臨界を達成した。その後出力3%で原子炉が通常通りに作動することが確認された。8基の熱交換機の1つからアルゴン漏れが検出されたが、原子炉の安全上問題はなかった。最高30%出力での運転許可を与えられ、11月15日に出力を上昇させた際、4基ある蒸気発生器の一つの外側に設置したタンクから蒸気漏れが発見された。これも国際事故評価尺度(INES)でレベル0に相当する軽微なトラブルあった。
[ドイツ]運転中の原子力発電所は1,500億kWhを発電し、国内の総発電電力量の約3分の1を供給した。
[英国]運転中の原子力発電所は34基、設備容量は1,291万kWである。サイズウェルB発電所(125.8万kW、PWR)は、1995年2月14日に送電を開始した。一方ドーンレイPFR発電所(25万kW、FBR)は3月31日に運転を終了した。
[スウェーデン]運転中の原子力発電所は12基、発電電力量は702億kWhで、総発電電力量の51%を供給した。1994年は渇水のために水力発電が577億kWhしか供給できなかったが、原子力発電が大幅に上回ることで対応することができた。
[ロシア]運転中の原子力発電所は26基、設備容量は2,125.6万kWで、前年と比べて増減はなかった。建設計画は、ノボボロネジ原子力発電所6、7号機の増設と、中断していたサウスウラル原子力発電所1〜3号機(各80万kW、FBR3基)の建設工事を再開、1号機が2000年、2、3号機は2005年に完成するとしている。
[ウクライナ]運転中の原子力発電所は14基、発電電力量は689億kWhで、総発電電力量(2,014億kWh)のうち、過去最高の34.2%を供給した。チェルノブイリ1〜3号機(各100万kW、LWGR3基)は、ウクライナ側が同発電所の最終的な閉鎖に同意したものの、それを実行するのは容易でないことを再度明らかにしている。
[アルメニア]現在運転中の原子力発電所は無いが、1989年に閉鎖したアルメニア原子力発電所1、2号機(各40.8万kW、旧ソ連型PWR2基)の復旧と運転再開を計画している。
[ブルガリア]運転中の原子力発電所コズロドイ1〜4号機(各44万kW、旧ソ連型PWR4基)と同5、6号機(各100万kW、旧ソ連型PWR2基)が154億kWhを発電し、同国の総発電電力量の45%(対前年比8%増)を供給した。工事進捗率65%で中断されたベレネ1号機(100万kW、旧ソ連型PWR)の建設を再開することや、米ウエスチングハウス(WH)社が開発したAP600型原子炉またはロシアが開発した出力50万kW級原子炉の導入を検討している。
[ハンガリー]パクシュ1〜4号機(各46万kW、旧ソ連型PWR4基)が過去最高の140億kWhを発電した。同国の総発電電力量の40%以上を供給している。
[チェコ]ドコバニ1〜4号機(各44万kW、旧ソ連型PWR4基)が、約130億kWhを発電した。その平均設備利用率84%を超えた。テメリン1、2号機(各100万kW、旧ソ連型2基)の建設工事が進められており、1号機は1996年6月に、2号機は1998年1月に営業運転を開始することを目指している。
[スロバキア]ボフニチェ1、2号機(各44万kW、VVER-440/V230)と同3、4号機(各44万kW、VVER-440/V213)が運転中である。建設段階の発電所はモホフチェ1〜4号機(各44万kW、旧ソ連型PWR4基)がある。同1、2号機の初臨界の時期については、1号機が1997年、2号機は1998年を予定している。
[ルーマニア]原子力発電所は無いが、チェルノボーダ1〜5号機(各66万kW、CANDU)の建設工事が進められている。同1号機はほぼ完成し、1995年上半期までに送電を開始する予定である。
<図/表>
表1−1 世界の原子力発電設備の状況(1994年12月31日現在)
表1−1  世界の原子力発電設備の状況(1994年12月31日現在)
表1−2 世界の原子力発電設備の状況(1994年12月31日現在)
表1−2  世界の原子力発電設備の状況(1994年12月31日現在)
図1 原子力発電国(30カ国・地域)の原子力発電設備容量
図1  原子力発電国(30カ国・地域)の原子力発電設備容量
図2 世界の原子力発電所の基数及び計画外停止頻度
図2  世界の原子力発電所の基数及び計画外停止頻度
図3 世界の運転中原子力発電設備容量の推移
図3  世界の運転中原子力発電設備容量の推移
図4 炉型別原子力発電設備容量の割合
図4  炉型別原子力発電設備容量の割合

<関連タイトル>
我が国の原子力発電所の現状(1994年) (02-05-01-02)

<参考文献>
(1) 日本原子力産業会議(編):世界の原子力発電開発の動向1994年次報告 平成7年3月
(2) 資源エネルギー庁(編):原子力発電関係資料 平成7年4月
JAEA JAEAトップページへ ATOMICA ATOMICAトップページへ