<大項目> 国際協力・原子力関連機関
<中項目> わが国の原子力関連機関
<小項目> 政府関連機関
<タイトル>
放射線計測協会 (13-02-01-28)

<概要>
 (財)放射線計測協会(放計協)は、1980年(昭和55年)に原子力の研究開発と利用の安全性の向上のため、放射線計測に関する調査と試験研究を行い、その成果の普及と放射線計測の技術指導により原子力の開発・利用に寄与することを目的に設立された。1995年(平成7年)に、計量法に基づく放射線測定機器の校正事業者に認定されている。事業は、放射線測定機器の点検・校正、環境放射線量や体内放射能の計測、研修講座・教育講座の開講、放射線計測技術に関する調査・試験研究(受託)等である。事業の成果概要は広報誌「放計協ニュース」で公開されている。
<更新年月>
2012年01月   

<本文>
1.放射線の利用と計測
 原子力と放射線は、エネルギー、医療、工業、農林水産業、環境、科学探索等の自然科学分野を主とした分野のほか、考古学、史学等の人文科学までのあらゆる分野で利用されている。このため、放射線と放射性物質(放射能)を適切な方法で検出・計測し、定性・定量する技術の信頼性は重要である。対象になる放射線は、主にアルファ線、ベータ線、ガンマ線、中性子線等の放射線である。また、対象となる放射能では、環境、食物、体内等の放射性同位体の種類とその量である。
2.目的と沿革
2.1 目的
 (財)放射線計測協会(以下、「放計協」)の寄附行為は、協会設立の目的を次のように述べている。「この法人は、原子力研究開発施設の安全性の向上を図るため、放射線計測に係る調査及び試験研究を実施するとともに、その成果の普及及び放射線計測に係る技術指導を行い、もって原子力の開発及び利用の健全な発展に寄与することを目的とする。」
2.2 沿革
 表1に沿革を示す。放射線と放射能の研究・開発の当初は、研究者がその利用技術とともに放射線計測技術の開発、測定器の校正、性能試験等に努力した。
 1954年(昭和29年)に日本の原子力平和利用研究が始まった。1973年(昭和48年)の石油危機を経て日本の原子力利用と放射線利用は進み、放射線と放射能の安全に対する要請の高まりから、放射線計測分野の専門機関の設立が必要となった。
 1980年(昭和55年)、公共・公益的な立場から貢献できる(財)放射線計測協会(Institute of Radiation Measurements)が設立された。
 1995年(平成7年)、旧通商産業省から計量法に基づく放射線測定器の校正事業者の認定を受けた。
 1996年(平成8年)、放射線測定器の校正業務を開始した。校正済み測定器には、国家計量標準に準じて校正されたことを証明する「校正証明書」を発行している。これを、国家標準にトレーサブルであるという。その後、機構改革を経ながら現在に至っている。
3.組織と事業
3.1 組織と財政
 本部は茨城県東海村の(独)日本原子力研究開発機構 原子力科学研究所内にある。図1に協会の組織を示す。2011年度(平成23年)、理事会は専務理事一名が常勤でほかは非常勤、常勤職員は約40名である。事業グループには、計測器の「校正グループ」、放射線量の「計測グループ」及び放射線計測等の「研修・普及グループ」がある。平成22年度の収入は約379百万円となっている。
3.2 事業
(1)校正グループ
 各種放射線測定器について以下の3事業がある。図2に近年の事業状況を示す。
(A)点検校正
 アルファ線源やベータ線源用の表面汚染検査用サーベイメータ、エックス線やガンマ線用サーベイメータ、中性子サーベイメータ、電子式個人線量計等の殆どの機種に対応し、回路点検、健全性点検及びその校正を行う。エックス線やガンマ線に対する校正はJIS Z 4511に準拠し、中性子の校正はJIS Z 4521に準拠し、アルファ線源やベータ線源の汚染検査計の校正はJIS Z 4504に準拠する。
(B)基準照射
 個人線量計用や環境モニタリング用の線量計測素子の基準照射、線量評価の品質確認のためのブラインド照射試験が可能である。
(C)特性試験
 各種放射線測定器の 1)感度特性試験、2)エネルギー特性試験、3)線量と線量率の直線性試験、4)方向特性試験、5)指示誤差試験等が可能である。
(2)計測グループ
 高度な測定システムと長年蓄積された経験・技術に基づいて、各種の放射能分析や放射線測定等のサービスを提供する。近年の事業を図3に示す。
(A)放射能測定
 あらゆる場所で、ガンマ放射能、ベータ放射能、アルファ放射能等の有無と放射能濃度の高精度分析が可能である。
(B)バイオアッセイ(生体放射能分析)
 放射能(放射性物質)の体内摂取の判別のため、尿中の放射能分析が可能である。
(C)作業環境測定
 作業環境測定法施行規則に準拠して、放射線業務区域、放射性物質を取扱う作業場、核原料物質を掘採する坑内作業場等の大気中の放射能濃度を分析できる。
(D)その他
 環境の線量率測定、表面汚染密度測定、水中放射能濃度測定等のサービスがある。
(3)研修・普及グループ
 放射線計測と放射線管理等に関する人材の養成のため、放射線業務従事者教育訓練、放射線安全教育、各種定期講座等を開講している。近年の受講者数を図4に示す。また、原子力・放射線の利用促進を図るため、学生と一般への放射能・放射線の知識普及も進めている。
(4)放射線計測技術に関する調査・試験研究(受託)
 文部科学省、地方自治体、電力会社、研究所等から調査や試験研究を受託している。近年の調査・試験研究を表2に示す。
(5)情報公開・広報活動など
 事業の概要は広報誌「放計協ニュース」で公開され、予算・決算関連財書類等はホームページで公開されている。
(前回更新:2005年9月)
<図/表>
表1 (財)放射線計測協会の沿革
表2 2001年(平成13年)〜2010年(平成22年)の調査・試験研究
図1 (財)放射線計測協会組織図
図2 放射線測定器の校正
図3 放射能分析・測定の試料数
図4 定期講座受講者数の推移

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
標準測定と校正 (09-04-03-01)
標準線源 (09-04-03-02)
表面汚染検査計 (09-04-03-08)
バイオアッセイ(排泄物等分析による体内放射能評価) (09-04-03-13)
実効線量のための測定 (09-04-03-17)
文部科学省分析マニュアル (09-04-03-24)

<参考文献>
(1)放射線計測協会ホームページ、http://www.irm.or.jp/
(2)放計協ニュース、No.46、Oct. 2010、http://www.irm.or.jp/news46.pdf
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