<概要>
表面汚染検査計は
放射線施設内の人が常時立ち入る場所における床や物または管理区域外への持出し物品等の表面の
放射能の密度を
表面密度限度(
α線放出核種で4Bq/cm
2,
α線放出
核種以外の核種で40Bq/cm
2)または
表面密度限度の10分の1を超えないように管理するため、単位面積あたりの放射能を測定する測定器である。
一般にα線、β線の検出が可能な可搬型の測定器が用いられるが、広義には、
ハンドフットモニタ、入退域モニタ、フロア汚染モニタ等もこれに含まれる。
<更新年月>
2005年02月 (本データは原則として更新対象外とします。)
<本文>
放射線管理においては、作業場所の床や物または管理区域外への持出し物品について放射性同位元素による表面の汚染状況を的確に把握し、その管理に反映させることが極めて重要である。放射線施設内の人が常時立ち入る場所における物の表面の放射性同位元素の密度限度は、「放射線を放出する同位元素の数量等を定める件(平成12年10月23日科学技術庁告示第5号)別表第3」に定められている(α線放出核種に対し4Bq/cm
2、α線を放出しない核種に対し40Bq/cm
2)。
この表面密度限度の確認は原則として測定により実施される必要があり、このレベルの放射線測定が十分に可能な感度の高い検査計が必要である。
日本工業規格(JIS)では、放射性表面汚染サーベイメータの規格化(JIS Z4329-1993)を行っている。ここでは、物体表面上の
α放射体、又は最大エネルギー0.15MeV以上のβ線を放出するβ放射体による汚染密度を測定する放射性表面汚染サーベイメータを規格化している。
表面汚染検査計の種類及び表面汚染の決定方法は次のようになる。
(1)表面汚染検査計の種類
放射性汚染検査計は、その性質上、α線、β線を直接測定するため、透過力の弱いこれらの放射線及び汚染の範囲に対して十分な感度が得られることが必要である。このため、厚みが薄く放射線の吸収が少なく、また面積の大きい入射窓を持つ検出器が用いられる。入射窓の厚みは、通常、α線測定用で 1mg/cm
2、β線測定用で1〜3mg/cm
2程度である。また、入射窓の面積は、20cm
2程度から150cm
2を超えるものもある。
汚染検査計に用いられる検出器の種類及び性能は、
表1に示される。
(2)表面密度の算出
表面汚染検査計を用い得られた計数値は、次式を用いて表面密度(As)と対応づけられる。
As =(N−Nb)/(εi・W・εs)
ここで、N :測定された計数率(s
−1)
Nb :バックグラウンド計数率(s
−1)
εi:β(α)線に対する機器効率
W :測定器の有効窓面積(cm
2)
εs:
汚染源効率を表す。
機器効率及び汚染源効率の導入は、
国際標準化機構の考え方(ISO-7503-1)に基づくもので、前者は、所定の幾何学的条件の下における
標準線源の表面放出率に対する正味の計数率の割合、また、後者の効率は、表面汚染の放射能に対する表面放出率の割合である。
機器効率の決定に用いられる標準線源の規格は、国際的には、ISO-8769(1988)に、またこれに対応する国内規格としては、放射性表面汚染計校正用線源(JIS Z4334-1992)がある。汚染源効率は、汚染表面の材質、状態等によるβ(α)線の散乱や吸収の程度を示すもので、この効率が明らかでない場合には、
β線最大エネルギーが0.4MeV以上の時0.5、0.15から0.4MeVの間では0.25、α線源の場合は0.05を用いることにより十分安全側に評価できるとされている。
<図/表>
<関連タイトル>
放射線の分類とその成因 (08-01-01-02)
放射能 (08-01-01-03)
標準測定と校正 (09-04-03-01)
サーベイメータ(α線、β線、γ線、中性子等) (09-04-03-04)
ハンドフットクロスモニタ (09-04-03-07)
放射線管理基準 (09-04-05-01)
表面汚染モニタリング (09-04-06-04)
搬出入物品の検査 (09-04-06-08)
<参考文献>
(1)放射性表面汚染の測定・評価マニュアル、原子力安全技術センター(1988)
(2)国際標準化機構レポート、ISO-7503-1(1988)
(3)国際標準化機構レポート、ISO-8769(1988)
(4)アイソトープ法令集I、日本アイソトープ協会(2001)
(5)日本アイソトープ協会(編):主任者のための放射線管理の実際、改訂2版(1994.12)