<大項目> 原子力安全規制
<中項目> 安全審査指針等
<小項目> 放射性廃棄物処理・処分に関する安全規制
<タイトル>
放射性廃棄物埋設施設の安全審査の基本的考え方 (11-03-04-06)

<概要>
 この「基本的考え方」は、放射性廃棄物埋設事業において、「原子炉施設」から発生する「低レベル放射性固体廃棄物」を浅地中に埋設処分する場合を対象とし、安全審査に当っての基本的考え方をまとめたものである。廃棄物埋設施設において講じられる安全対策は、通常の原子力施設に対して採られているものと異なり、埋設した廃棄物は時間の経過に伴って放射能の減衰が期待できることから、管理の内容を時間の経過とともに「段階的」に変更していくことが妥当であるとされている。つまり管理の期間を第1段階から第3段階までとし、その後の第4段階で埋設物を放射性物質としての規制から免除するという安全確保策である。この「基本的考え方」では、管理期間として300〜400年、規制除外放射線量として年間10マイクロシーベルト未満が目安とされている。

(注)東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)に伴う福島第一原発事故を契機に原子力安全規制の体制が抜本的に改革され、新たな規制行政組織として原子力規制委員会が2012年9月19日に発足した。本データに記載されている「放射性廃棄物埋設施設の安全審査の基本的考え方」については、原子力規制委員会によって見直しが行われる可能性がある。なお、原子力安全委員会は上記の規制組織改革に伴って廃止された。
(昭和63年3月17日原子力安全委員会決定、平成5年1月7日、平成13年3月29日一部改訂)
<更新年月>
2008年12月   

<本文>
 この基本的考え方は、当初、「低レベル放射性固体廃棄物の陸地処分の安全規制に関する基本的考え方について」(昭和60年10月24日原子力安全委員会決定)を基本に、「低レベル放射性固体廃棄物の陸地処分の安全規制に関する基準値について(中間報告)」(昭和62年2月26日原子力安全委員会決定)を踏まえ、当時計画されていた廃棄物埋設施設を念頭に、他の原子力施設における安全性の評価の考え方、諸外国における廃棄物埋設施設の安全性の評価の考え方等も参考とし、昭和63年3月17日に決定された。その後、廃棄物埋設施設の安全審査の経験、「低レベル放射性固体廃棄物の陸地処分の安全規制に関する基準値について(第2次中間報告)」(平成4年6月18日原子力安全委員会了承)等を踏まえて、基本的考え方の見直しを行った(平成13年3月29日原子力安全委員会)。
 本指針の要旨は以下のとおり。
1.適用する対象
 廃棄物埋設事業として、原子炉施設の運転等に伴って発生する低レベル放射性固体廃棄物のうち、容器に固型化等の処理したものを人工構築物を設置した廃棄物埋設施設に浅地中処分する場合および容器に固型化しない放射性コンクリート廃棄物を人工構築物を設置しない廃棄物埋設施設に浅地中処分する場合で、その管理を段階的に軽減して行う最終的な処分について適用する。
2.最終処分の安全確保についての考え方
(1)人工構築物を設置した廃棄物埋設施設に埋設する場合
 1)第1段階:人工バリアによる放射性物質漏洩の防止と監視。
 2)第2段階:人工バリアと天然バリアによる放射性物質の生活環境への移行の抑制と監視。
 3)第3段階:主として天然バリアによる放射性物質の生活環境への移行の抑制、特定の行為の禁止または制約措置。
(2)人工構築物を設置しない廃棄物埋設施設に埋設する場合
 1)埋設段階:放射性物質の生活環境への移行の抑制と監視。
 2)保全段階:天然バリアによる放射性物質の生活環境への移行の抑制、特定の行為の禁止または制約措置。
 したがって、管理期間内に係る廃棄物埋設施設の安全性の評価は、以上に述べたような段階管理の内容に応じて、また、廃棄物埋設地の設備は時間の経過に伴ってその機能が劣化することを考慮して実施する必要がある。
3.基本的立地条件
 立地点又はその周辺において、大きな事故の誘因となる事象が起るとは考えられないこと。次のような事象を考慮して安全確保に支障がないことを確認する。
 1)自然環境(地震、津波、地すべり、陥没、台風、高潮、洪水、異常寒波、豪雪等の自然現象、地盤、地耐力、断層等の地質および地形等、風向、風速、降水量等の気象、河川、地下水等の水象および水理)
 2)社会環境(近接工場等における火災、爆発等、河川水、地下水等の利用状況、農業、畜産業、漁業等食物に関する土地利用等の状況および人口分布等、石炭、鉱石等の地下資源)
4.線量の評価
(1)平常時評価:埋設廃棄物からの漏洩、付属施設からの放射性気体および液体廃棄物放出に伴う一般公衆の線量が法令で定められた線量限度を超えないことはもとより、合理的に達成できる限り低いこと(段階管理の計画、設計、敷地状況との関連において評価)
(2)安全評価:技術的にみて想定しうる異常事象が発生したとしても、公衆に対し過度の放射線被ばくを及ぼさないこと。以下のような事故の発生の可能性を検討する。
 1)誤操作による廃棄物の落下等に伴う放射性物質の飛散、2)配管等の破損、各種機器の故障等による放射性物質の漏出、3)火災等、を選定して一般公衆の線量を評価する。
 線量の評価に当たっては、事故発生後、その影響を緩和するための対策が講じられる場合は異常を検知するまでの時間、作業に要する時間等を適切に考慮し、事故が収束するまでの間に漏出もしくは移行し、又は放出された放射性物質等により発生するおそれのある一般公衆の線量を評価する。
5.放射線管理
(1)閉込め機能:人工構築物を設置した廃棄物埋設施設に埋設する場合は、第1段階において、放射性物質を廃棄物埋設地の限定された区域内に閉じ込める機能を有すること。
(2)移行抑制:人工構築物を設置しない廃棄物埋設施設に埋設する場合においては、埋設段階において放射性物質の廃棄物埋設地から生活環境への移行抑制を考慮した適切な対策が講じられていること。
(3)放射線防護:廃棄物埋設施設は、直接ガンマ線およびスカイシャインガンマ線による一般公衆の線量が合理的に達成できる限り低くできるように放射線遮へいがなされていること。人工構築物を設置しない廃棄物埋設施設に埋設する場合は、放射性物質の飛散の可能性がある場合はこれによる一般公衆の線量が、合理的に達成できる限り低くできるように対策が講じられていること、廃棄物埋設施設においては、放射線業務従事者の作業条件を考慮して、適切な放射線遮へい、換気がなされていること。
(4)放射線被ばく管理:従事者の被ばく線量監視と管理が適切に講じられていること。
6.環境安全
(1)廃棄物の放出管理:埋設地の付属施設から発生する放射性気体および液体廃棄物を適切に処理し、周辺環境への放出を達成できる限り抑制すること。
(2)放射線監視:付属施設からの放出経路における放射性物質濃度等を適切に監視すること。埋設施設においては第1および第2段階において、放射性物質の地下水への漏出、生活環境への移行を適切に監視すること。
7.その他の安全対策
(1)耐震設計への考慮:埋設施設は、設計地震力に対して、適切な期間「安全上要求される機能が損なわれない設計」であること。「設計地震力」は、発電用原子炉施設についての耐震設計上の重要度分類の「Cクラス」施設に対応するものとする。「適切な期間」とは、埋設地にあっては第1段階の期間とする。また「安全上要求される機能」とは、埋設地にあっては閉込め機能のことを指す。
(2)地震以外の自然現象への考慮:敷地および周辺地域における過去の記録、現地調査結果等を参照し、自然現象を考慮して適切な期間、安全上の機能が健全である設計であること。
(3)火災・爆発に対する考慮:火災・爆発の発生を防止し、万一それが発生したとしても放射性物質の施設外への放出が過大とならないよう適切な対策が講じられていること。
(4)電源喪失に対する考慮:外部電源の喪失に対応した適切な対策が講じられていること。
(5)準拠規格および基準:廃棄物埋設施設の設計、工事等については、適切と認められる規格および基準によるものであること。
8.管理期間の終了
(1)有意な期間:被ばく管理の観点から、埋設地での管理は「有意な期間」内に終了し得ること。「有意な期間」としては放射能減衰や外国例を考慮し、「300〜400年」を目安として用いることとする。
(2)管理不要の線量:管理期間終了後において、埋設物に起因する公衆の被ばく線量は、被ばく管理の観点からは、「管理を必要としない低い線量」であること。「管理を必要としない低い線量」とは、被ばく線量の評価値が放射線審議会基本部会報告「放射性廃棄物の浅地中処分における規制除外線量について」(1987年12月)で示された規制除外線量値である「年間10マイクロシーベルト」を超えないことを目安とする。
 なお、発生頻度が小さいと考えられる事象については、線量の評価値が10マイクロシーベルト/年を著しく超えないことを目安とする。
(前回更新:2003年3月)
<関連タイトル>
放射性廃棄物の処理処分についての総括的シナリオ (05-01-01-02)
低レベル放射性固体廃棄物の処分に対する安全規制(許認可要件) (11-03-04-02)
放射性廃棄物としての規制免除についての考え方 (11-03-04-04)
低レベル放射性固体廃棄物の陸地処分の安全規制に関する基本的考え方について (11-03-04-07)
低レベル放射性固体廃棄物の陸地処分の安全規制に関する基準値について (11-03-04-08)

<参考文献>
(1)科学技術庁原子力安全局原子力安全調査室(監修):改訂8版 原子力安全委員会 安全審査指針集 大成出版(1994)
(2)内閣府原子力安全委員会事務局(監修):改訂11版、原子力安全委員会指針集、大成出版社、2003.3.31
(3)原子力安全委員会:放射性廃棄物埋設施設の安全審査の基本的考え方、昭和63年3月17日、原子力安全委員会決定
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