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<概要>
 本基本指針は各種の核燃料施設(「原子炉等規制法」で指定された加工施設、再処理施設、使用施設等)に共通した安全審査上の基本的考え方をとりまとめたものである。核燃料物質は各工程ごとに性状、形態を変化させつつ工程間を移動する。したがって各工程を通して核燃料物質は未臨界であり、放射性物質は厳格に閉じ込められている必要がある。そこで本基本指針は各種施設に共通する項目として、立地条件、放射線管理、環境安全、臨界安全、その他の安全対策(地震、火災、電源喪失、事故時対策等)、準拠企画等などを取り上げ、個別の施設の安全審査指針策定に当たっての基盤を提供している。ここではほぼ全文を示す。[昭和55年2月7日原子力安全委員会決定 平成元年3月27日一部改訂 平成13年3月29日一部改訂]
<更新年月>
2006年08月   

<本文>
 核燃料施設には、製錬(転換を含む)、ウラン燃料加工(ウラン濃縮を含む)、プルトニウム取扱い、ホットラボ、再処理(転換を含む)等を操業する各種の施設がある。このような核燃料施設においては、核燃料物質は各工程ごとに性状(物理化学的性質)、形態(固体、液体、気体)を変化させつつ、工程間を移動する。各種施設の安全確保に共通する条件は、核燃料物質はいかなる工程においても未臨界の状態におかれていること、放射性物質は厳重に管理(閉込め)られていること、施設そのものと操業が自然条件並びに人為条件に対して十分な安全性を確保していることである。このような観点から、原子力安全委員会・核燃料安全基準専門部会は昭和55年1月28日付で核燃料施設安全審査基本指針(以下、「基本指針」という)をまとめ、原子力安全委員会が同年2月7日付でそれを採択(決定)したものである(平成元年3月27日一部改訂、平成13年3月29日一部改訂)。
 つまり、本「基本指針」は、(a) 各種の核燃料施設の安全審査に際し、統一的観点からの評価が可能となるよう、核燃料施設に共通した安全審査の基本的考え方をとりまとめたものであり、(b) 個別の核燃料施設については、その特質に応じた個別の安全審査指針を整備することとしている。将来の原子力利用の増大に応じ、また安全確保に関する知見の向上に応じて、基本指針は適宜見直されることとされている。
 本「基本指針」は、各種核燃料施設に共通する項目として以下のものを取り上げ、具備すべき条件を示している。
(1) 適用すべき対象施設
 原子炉等規制法で指定された加工施設(第13条、ウラン濃縮施設を含む)、再処理施設(第44条、回収プルトニウム減損ウランの転換施設を含む)、及び使用施設(第52条、ただし原子炉等規制法施行令第41条に定める核燃料物質に係るものに限る)等に適用される。
(注1)濃縮プラントに供給する六フッ化ウラン(UF6) 製造のための「ウラン転換施設」については、現状では動燃事業団人形峠事業所プラント(現 日本原子力研究開発機構人形峠環境技術センター)に限られており、また今後も新設の計画がないので、適用から外されている。
(注2)「施行令第41条」で定められた核燃料物質とは、濃縮度が5%に達しないウランではウラン235の量が1,200グラム以上のもの、濃縮度が5%以上のウランではウラン235の量が700グラム以上のもの等である。
(2) 立地条件、放射線管理、環境安全、臨界安全、その他の安全対策についての安全審査上の基本指針の要旨は表1に示す。
<図/表>
表1 核燃料施設安全審査基本指針の要旨
表1  核燃料施設安全審査基本指針の要旨

<関連タイトル>
原子力安全委員会 (10-04-03-01)
ウラン加工施設安全審査指針 (11-03-03-02)
再処理施設安全審査指針 (11-03-03-03)
核燃料施設の立地評価上必要なプルトニウムに関するめやす線量について (11-03-03-04)
特定のウラン加工施設のための安全審査指針 (11-03-03-05)

<参考文献>
(1) 原子力委員会(編):原子力白書平成7年版、大蔵省印刷局(1996年2月)
(2) 科学技術庁原子力安全局(監修):原子力安全調査室原子力安全委員会安全審査指針集 改訂8版、大成出版(1994年10月)
(3) 科学技術庁原子力安全局(監修):1995年版原子力規制関係法令集、大成出版(1994年12月)
(4) 原子力安全委員会:国際放射線防護委員会Publication 60(1990年勧告)の原子力安全委員会安全審査指針類への取入れに係る検討結果について
(5) 原子力安全委員会: 安全審査指針集
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