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<概要>
 本指針は使用済燃料の再処理施設の安全審査のための指針として取りまとめられたもので、ここでは要旨を示す。
 平常時において主要なものとしては、(1) 放射線の遮蔽、(2) 放射性物質の閉じ込め、異常時および事故時においては、(3) 放射性物質の漏洩および拡大防止(4) 火災・爆発の発生と拡大防止、(5) 臨界防止、(6) 地震対策(昭和61年2月20日原子力安全委員会決定、平成元年3月27日一部改訂)
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.はじめに
 本指針は、核燃料施設安全審査基本指針に定めるところを基本とし、再処理施設の特徴を踏まえ、湿式法(ピュ−レックス法)による発電用軽水型原子炉施設の使用済燃料の再処理施設の安全審査指針として取りまとめたものである。

2.再処理施設安全審査指針の要旨
 2.1 指針における基本的考え方
  再処理施設の安全対策の基本的考え方は、放射線防護と放射性物質の閉込めにより、一般公衆はもとより従業員に対しても、その安全を確保することである。このため、放射線の遮蔽構造物と放射性物質の多重閉込め機能を設けるとともに、異常事象対策として、その発生防止・早期検知および拡大防止のため、何重もの防御機能を設ける多重防護の考え方が採られる。
 2.2 平常時の対策
 (1) 放射線の遮蔽
   1) 放射性物質を内蔵する工程機器は、十分な遮蔽を施した構造物の内部に設置する。
   2) 工場内においては、放射線レベル、汚染発生の可能性などを考慮して、区域区分を行い作業の安全をはかる。
 (2) 放射性物質の閉込め
   1) 塔槽類、セル、建屋等は多重構造とし、万一漏洩が生じても外部に漏れ出ない構造とする。
   2) 空気の流れを清浄域から放射性物質濃度の高いレベルへとする。
   3) 廃棄物処理系を設け、放射性物質の除去処理を行うこと。
   4) 除去した放射性物質は、安定な固化体中へ閉込めるようにする。
 2.3 異常時および事故時の対策
   再処理工場において、これまでの経験を踏まえ、安全技術の確立に努力がなされてきた。その結果、周辺環境に影響を及ぼすほどの事故が発生する確率は極めて小さいと考えられている。
   再処理施設で採られる異常事象対策は、以下のとおりである。
  (1) 放射性物質の漏洩および拡大の防止
   1) 漏洩の発生を防止するための設計、製作、運転上の対策
   2) 漏洩の早期検知
   3) 漏洩液の回収・処理による拡大防止
  (2) 火災等の発生および拡大防止
   1) 発生原因の除去
   2) 発生環境の監視・制御
   3) 発生の早期検知
   4) 防火・防爆構造あるいは消火設備による拡大防止
  (3) 臨界防止
   1) 臨界安全設計
   2) 臨界安全管理
   3) 発生時の閉込め機能の確保
   4) あらかじめ退避経路を考慮した建屋設計
  (4) 地震対策
   1) 建物・構築物の十分な強度、剛性、靱性の確保
   2) 重要度分類に応じた設計
   3) 適切な設計地震選定と解析などによる設計事前評価
<関連タイトル>
多重防護の考え方による事故防止 (11-01-01-06)
核燃料施設安全審査基本指針 (11-03-03-01)
ウラン加工施設安全審査指針 (11-03-03-02)
特定のウラン加工施設のための安全審査指針 (11-03-03-05)

<参考文献>
(1) 科学技術庁原子力安全局原子力安全調査課(監修):改訂8版原子力安全委員会安全審査指針集、大成出版(1994年10月)
(2) 火力原子力発電技術協会(編・刊):やさしい原子力発電、1990年6月
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