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<概要>
 本指針は、1999年(平成11年)9月30日に起こった株式会社ジェー・シー・オーでの臨界事故を考慮し、濃縮度が比較的高いウランを転換、加工する施設の安全審査を客観的かつ合理的に行うため、核燃料施設安全審査基本指針に基づき、当該施設に対する安全審査上の指針をとりまとめたものである。したがって、本安全審査指針の構成は上記「基本指針」のそれに対応しており、立地条件、放射線管理、環境安全、臨界安全及びその他の安全対策の項目だてとなっている。本指針は「原子炉等規制法」に基づく加工の事業の許可(変更の許可を含む)の申請に係る加工施設であって、濃縮度5%を超え20%未満のウランを転換、加工する施設に適用される。
[平成12年9月25日 原子力安全委員会決定]

(注)東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)に伴う福島第一原発事故を契機に原子力安全規制の体制が抜本的に改革され、新たな規制行政組織として原子力規制委員会が2012年9月19日に発足した。本データに記載されている「特定のウラン加工施設のための安全審査指針」については、原子力規制委員会によって見直しが行われる可能性がある。なお、原子力安全委員会は上記の規制組織改革に伴って廃止された。
<更新年月>
2001年03月   

<本文>
 特定のウラン加工施設のための安全審査指針は、「核燃料施設安全審査基本指針(以下「基本指針」という)(原子力安全委員会決定、昭和55年2月7日、平成元年3月27日一部改訂)」に基づき、特定のウラン加工施設を対象とする安全審査に際して準拠すべき指針をとりまとめたものである(原子力安全委員会決定、平成12年9月25日)。本指針の構成は前記基本指針のそれと一対一に対応しており、ウラン加工の特質を勘案し、必要な安全対策についての指針を詳細に述べている。特に、臨界事故を想定して、臨界警報装置の設置、未臨界にするための措置を講ずることとともに、事故時に対応した対策を講ずることなどが示されている。
 本安全審査指針はウラン加工に伴う固有な化学的プロセスや取扱施設に注目し、立地条件においては自然環境及び社会環境の評価を重視するとともに最大想定事故評価のための事象を明示している。放射線管理においては放射性物質の閉じ込め機能と従業員の放射線被ばく管理、環境安全においては施設が具備すべき条件、臨界安全においては単一ユニットおよび複数ユニットの許容要件、ならびにこれらユニットに対する臨界事故を想定した適切な対応、その他の安全対策においては、特に事故時に対する考慮が示されている。
 本安全審査指針の適用対象は、「加工の事業の許可(変更許可を含む)」の申請に関係する加工施設であり、濃縮度5%を超え、20%未満のウランを転換、加工する施設(以下「特定のウラン加工施設)という)としている。ここに言及した「ウラン」とは、未照射ウラン、燃料集合体最高燃焼度50,000MWd/tU以下の使用済燃料を湿式(ピューレックス法)により再処理し回収したウラン、およびそれらを任意の比率で混合したウランのいずれかに該当するものをいう。
 本安全審査指針の要目を核燃料施設基本指針の項目と対応させて整理したものを表1-1表1-2表1-3および表1-4に示す。
<図/表>
表1-1 特定のウラン加工施設のための安全審査指針の要目(1/4)
表1-1  特定のウラン加工施設のための安全審査指針の要目(1/4)
表1-2 特定のウラン加工施設のための安全審査指針の要目(2/4)
表1-2  特定のウラン加工施設のための安全審査指針の要目(2/4)
表1-3 特定のウラン加工施設のための安全審査指針の要目(3/4)
表1-3  特定のウラン加工施設のための安全審査指針の要目(3/4)
表1-4 特定のウラン加工施設のための安全審査指針の要目(4/4)
表1-4  特定のウラン加工施設のための安全審査指針の要目(4/4)

<関連タイトル>
核燃料施設安全審査基本指針 (11-03-03-01)
ウラン加工施設安全審査指針 (11-03-03-02)
再処理施設安全審査指針 (11-03-03-03)

<参考文献>
(1)内閣総理大臣官房原子力安全室(監):改訂10版 原子力安全委員会安全審査指針集、大成出版(2000年11月)
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