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<概要>
 1978年(昭和53年)10月に原子力安全委員会が発足し、1979年(昭和54年)1月には「原子力安全委員会の行う原子力施設に係る安全審査等について」を決定した。1982年(昭和57年)4月の改正では再処理事業及び再処理施設に対する安全審査等が追加され、1990年(平成2年)11月の改正では廃棄の事業に対する安全審査等が追加された。原子力安全委員会決定(2回改正)を原文のとおり示す。

(注)東北地方太平洋沖地震(2011年3月11日)に伴う福島第一原発事故を契機に原子力安全規制の体制が抜本的に改革され、新たな規制行政組織として原子力規制委員会が2012年9月19日に発足したため、本データに記載されている原子力施設に係る安全審査等に関する考え方や具体的な審査項目についても見直しや追加が行われる可能性がある。なお、原子力安全委員会および原子力安全・保安院は上記の規制組織改革に伴って廃止された。
<更新年月>
2002年11月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 原子力基本法の一部改正により1978年(昭和53年)10月に原子力安全委員会が設置された。1979年(昭和54年)1月26日には原子力安全委員会は原子力施設(製錬の事業、加工の事業、原子炉の設置)に対する安全審査および審議の方針「原子力安全委員会の行う原子力施設に係る安全審査等について」(以下「安全審査等方針」という)を決定した。(注:原子力安全委員会は原子力安全・保安院とともに2012年9月18日に廃止され、原子力安全規制に係る行政を一元的に担う新たな組織として原子力規制委員会が2012年9月19日に発足した。)
 1982年(昭和57年)4月5日に「安全審査等方針」が改正され、再処理事業及び再処理施設に対する安全審査及び審議が追加された。
 1990年(平成2年)11月1日に「安全審査等方針」が改正され、廃棄の事業に対する安全審査及び審議が追加された。
 その後の改正は2002年12月現在までなされていない。以下に原子力安全委員会決定を原文のとおり示す。

原子力安全委員会の行う原子力施設に係る安全審査等について(昭和54年1月26日決定、改正 昭和57年4月5日、改正 平成2年11月1日)原子力安全委員会

 原子力施設(原子炉施設及び核燃料施設)の安全は、基本設計段階から運転管理以降に係る一連の安全規制により、その確保が図られている。
 これら施設の安全規制は、それぞれの所管に応じ行政庁において一貫して実施されることになっているが、行政庁の行う安全規制について科学技術に基づいた客観的立場から審議するとともに、それぞれの行政庁の安全規制を統一的に評価することは、当委員会に課せられた重要な任務である。
 このため、当委員会は、行政庁の行う安全規制について、関係法令に基づき、また、原子力基本法等の一部を改正する法律に対する国会の附帯決議の趣旨を尊重して行うこととし、当面以下のとおり審議を行うものとする。
 審議に当たっては、必要に応じ、原子炉安全専門審査会及び核燃料安全専門審査会に対し所要の調査審議を指示する。なお、その際必要に応じ、日本原子力研究所等の研究機関の機能を活用することとする。
1.設置許可等に係る審査
(1) 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(以下「原子炉等規制法」という。)に基づき、製錬の事業の指定、加工の事業の許可、原子炉の設置の許可、再処理事業の指定又は再処理施設の設置の承認、廃棄の事業の許可及びこれらの変更の許可又は承認(以下「設置許可等」という。)に係る基準(安全の確保に関するものに限る。以下同じ)の適用に関し、当委員会が意見を求められた場合は、行政庁から提出される安全審査書案等について、審査指針等に照らし総合的に審査する。その際特に
 1)既に設置許可等の行われた施設と異なる基本設計の採用
 2)新しい技術上の基準又は実験研究データの適用
 3)施設の設置される場所に係る固有の立地条件と施設との関連
等に関する安全上の重要事項を中心に審査する。
 また実用発電用原子炉等主要原子力施設の設置の許可等に係る審査に当たっては、現地調査、公開ヒアリング等により、地元の状況、地元住民の意見を把握し、これを参酌することとする。
(2)審査が終了した際には、設置許可等に係る基準の適用についての審査の結論、審査の過程で重点的に検討された事項の検討結果等からなる答申を作成する。
(3)答申に際しては、必要に応じ、原子炉等規制法の設計及び工事の方法の認可及びこれに相当する規制以降の段階で所管行政庁が確認すべき重要事項を摘出し、所管行政庁に連絡する。
(4)審査の際に必要となる各種指針等については、一層の整備拡充を行い、客観的かつ合理的な安全規制の実施が図られるよう配慮する。
2.設置許可等の後の段階に係る審議
(1)当委員会は上記1の(3)により、摘出し、連絡した重要事項について、その処理方針に関し所管行政庁より報告を受け、これについて審議を行い、その結果を所管行政庁に連絡する。
(2)当委員会は、原子力施設に関する事故・故障、放射線管理状況、定期検査結果等のうち必要と認める事項について所管行政庁より報告を受け、これについて必要に応じ審議を行い、その結果を所管行政庁に連絡する。
(3)当委員会は、上記のほか所管行政庁から原子力施設に係る安全規制に関し、意見を求められた場合には審議を行い、意見を述べる。
<関連タイトル>
原子力安全委員会の当面の施策の基本方針について(2000年1月) (10-03-02-09)
原子力安全委員会の当面の規制調査の実施方針について(2000年6月) (10-03-02-10)
原子力安全委員会 (10-04-03-01)

<参考文献>
(1)原子力安全委員会(編):原子力安全白書(平成11年版)、大蔵省印刷局(2000年9月)、p.282-284
(2)原子力安全委員会(編):原子力安全年報(昭和59年版)、大蔵省印刷局(1984年10月)
(3)原子力安全委員会(編):原子力安全年報(昭和56年版)、大蔵省印刷局(1981年10月)
(4)原子力安全委員会:原子力安全委員会の行う原子力施設に係る安全審査等について、原子力安全年報(昭和56年版)
(5)原子力安全委員会:原子力安全委員会の行う原子力施設に係る安全審査等について、原子力安全年報(昭和59年版)
(6)原子力安全委員会:原子力安全委員会の行う原子力施設に係る安全審査等について、原子力安全白書(平成11年版)
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