<大項目> 核燃料リサイクル施設
<中項目> プルトニウム燃料
<小項目> プルトニウム燃料の製造
<タイトル>
混合酸化物(MOX)燃料の製造加工工程 (04-09-01-07)

<概要>
 MOX燃料は、プルトニウムの基本的な性質に基づいて、グローブボックス等による閉じ込め、臨界管理や保障措置対応等ウラン燃料製造よりも厳重な管理下で製造する必要がある。また、従事者の被ばく量を抑制するため大量生産施設では自動化が大幅に取り入れられている。燃料製造工程としては、ウラン燃料製造と基本的には同様であるが、ウラン及びプルトニウム酸化物粉末の混合工程が追加されているほか乾式処理を基本としていること及びプルトニウム崩壊熱対策を実施していることなどの点でちがいがある。
<更新年月>
1998年03月   

<本文>
1. 製造工程の概要
 MOXすなわち混合酸化物燃料は、現在、新型転換炉、高速増殖炉及び軽水炉に最も普通に用いられているプルトニウム燃料であるが、この燃料製造工程は、ペレット製造工程、燃料棒加工工程及び燃料集合体組立工程に大別される。
 MOX燃料は 図1 に示す乾式混合に基づく方法が最も普通の方法である。すなわち、二酸化ウラン粉末と二酸化プルトニウム粉末をボールミル等の粉砕混合の可能な装置でよく混合し、これにバインダーを混合して成形に適した粒度に造粒した後、プレスで金型成形してグリーンペレットとする。このグリーンペレットを700−800℃で仮焼してバインダーを蒸発分解した後、約1700℃で焼結する。この仮焼及び焼結は工業的には温度勾配を付けた一連のトンネル炉を通過することによってなされることが多いが、バッチ毎に単独の炉で昇温、一定温度での保持及び降温を行って焼結する場合もある。焼結したペレットは無心研削機で円筒側面を寸法公差範囲に収める。
 こうして出来上がったペレットはもう一度真空加熱されて脱ガス処理を施された後、各種分析、検査を経て、製品ペレットとしてトレイに並べられ、燃料棒加工工程に移される。ペレットは一列づつ片側を端栓溶接された被覆管に挿入され、残った片側に端栓を挿入溶接して燃料棒とする。この後、燃料棒表面を丁寧に除染して製品の燃料棒とする。燃料棒はさらに数十本から数百本まで束ねて燃料集合体とするが、束ねる方法としては、軽水炉及び新型転換炉用集合体では、スペーサーと呼ぶ数個の格子状の金具を通して燃料棒間の間隔を保ちながら集合体に組み立てる。また、高速炉ではワイヤスペーサーといわれる燃料棒の周りに針金を巻き燃料棒間隔を保持して集合体周りをラッパー管という六角形の筒で包む。
2. 品質管理
1) 原料の分析検査
 燃料の製造に使用される二酸化プルトニウム、二酸化ウランは不純物及び酸素対重金属比等の化学分析が、ロット(品質保証上、品質が一定と考えられる単位量)毎に行われる。原料粉末の粒度や比表面積等の粉末物性は成形のし易さ(成形性)や焼結性に影響し、仕様通りに安定したペレット製品を得る上で重要であり、これらの物性検査も実施される。
2) 被覆管等部材の検査
 被覆管、スペーサー及びラッパー管等の集合体部材は通常専門メーカーで製造されるが、それらの寸法、強度、組織等の性状と欠陥検査は受入れ時に燃料製造工場で実施され、さらに、官庁検査も行われる。
3) ペレット検査
 欠け割れ等を含む外観、密度及び寸法の検査が行われ、また、ウラン対プルトニウム比、酸素対ウラン+プルトニウム比、不純物含有量等の化学分析がペレット製造のロット毎に行われる。その他、顕微鏡による金相試験とプルトニウム・スポット分布検査が行われる。
4) 燃料棒の検査
 表面の汚染検査、曲がり測定を含む外観検査、リーク検査、ペレットが正しく挿入されているかを見るγスキャン検査、端栓溶接部のX線 検査等が全ての燃料棒について行われる。
5) 集合体検査
完成した燃料集合体は全て、外観検査、曲がり、捩じれ等の検査及び燃料棒間の間隔の測定(高速炉燃料では構造上測定しない)等の検査が行われ、官庁検査に合格したものは出荷まで集合体貯蔵庫に保管される。
3. MOX燃料製造上配慮すべきこと
1) 一般的特徴
 MOX燃料の製造に当たってはプルトニウムの基本的な性質に対する対策を講ずる必要がある。主な事項として、閉じ込め対策、中性子線の遮蔽、設備の自動化、臨界管理、計量管理等があり、また、核拡散防止条約に基づく保障措置も厳しいので、これらに対する厳重な対策がハードソフト両面で取られている。これらはウラン燃料製造にも要求されるが、質的に大きく異なる厳しい取扱と管理が要求される。
2) プルトニウムスポット
 MOX燃料では、ペレット製造前の原料粉末の混合が不充分だと焼結時のプルトニウムとウランの固溶が進まず、プルトニウム・リッチの相が残ることになる。これをプルトニウム・スポットと呼んでいる。プルトニウム・スポットがあまり大きくなると部分的な発熱が起こる等の問題が起きるので、大きさを制限するスペックが設けられている。また、プルトニウムスポットがあるとその部分は再処理の際、溶解工程で溶け残ることが多い。 プルトニウム・スポットの測定は一定ロット毎に、ペレット研磨面をαオートラジオグラフィーというα放射線を直接フィルムに写す方法で検査するが、特に、我が国やフランスの高速炉用燃料では、それに加えて、X線粉末回折法により焼結ペレット中のウラン及びプルトニウムの二酸化物の回折ピークが完全に重なって固溶状態を示すようにならないと合格にしないといった厳重な検査法を併用している。
 一般にMOXの場合Pu含有量が30%までならば再処理工程で溶解可能であると言われており、この観点から、一度20〜30%のマスター混合と称するボールミル混合工程を入れて、2段混合する方法が、動燃事業団(現日本原子力研究開発機構)で開発され、フランス( 図2 )等欧州でも取り入れられている。
<図/表>
図1 動燃高速炉用MOX燃料製造工程フロー図
図2 フランスの軽水炉MOXペレット製造工程フロー図

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<関連タイトル>
プルトニウム核種の生成 (04-09-01-01)
プルトニウム混合転換技術 (04-09-01-03)

<参考文献>
(1)動燃事業団:新型炉核燃料サイクル特集、動燃技報、No.59(1986年9月)
(2)M.Beche and D.Warin :”Problems encountered in MOX fabrication with respect to solubility criterion”, in IAEA Technical Committee Meeting on Recycling of Plutonium and Uranium in Water Reactor Fuels, No.2−12, held at Cadarache Nuclear Center, France on Nov.11−13(1989)
(3)木村雅彦ほか:FBR用MOX燃料の製造技術開発、動燃技報、No.95,18−26(1995.9)
(4)河田東海夫、岸本洋一郎:プルトニウム燃料の開発、動燃技報、No.100,159−182(1996.12)
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