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<概要>
 高速炉使用済燃料は、(1)冷却材(ナトリウム)の一部が付着または浸透している、(2)スペーサワイヤが巻き付けられた燃料ピンが束ねられ、ステンレス鋼製の六角缶「ラッパ管」に収納されている、(3)炉心燃料は高燃焼が想定されているので核分裂生成物の含有量が多く、比放射能も高い、(4)プルトニウムの含有量が多い、等の特徴をもち、軽水炉使用済燃料と著しく異なる。
<更新年月>
1998年03月   

<本文>
 高速中性子によるウラン/プルトニウム混合酸化物の核分裂で生ずる高速炉使用済燃料は以下の特徴を持っている。
1.冷却材の付着
 高速炉ではナトリウム冷却材を用いるので、ナトリウムの一部が使用済燃料に付着または浸透している可能性がある。
2.燃料集合体の形状( 図1
(1)ステンレス鋼でできた肉厚の六角缶「ラッパ管」(「もんじゅ」の場合肉厚3mm)が燃料ピンを覆っている。
(2)燃料ピンは直径約6mmで軽水炉燃料棒(10〜12mm)に比べて細く、冷却材のためのスペーサとして直径1mm前後のステンレス鋼ワイヤが巻き付けられている。
3.燃焼度
 炉心燃料の燃焼度は現在は8万MWd/t程度、将来は15〜20万MWd/tと想定される。即ち軽水炉使用済燃料の燃焼度約3〜4万MWd/tに比べ、燃焼度が3倍程度高まる。
4.燃料組成( 図2
 高速炉燃料中のプルトニウムの含有量は15〜30%で、軽水炉の3〜4%に比べて著しく多い。このため、溶液系の工程及び機器形状は一段と厳しい臨界安全上の制約を受ける。また、核分裂生成物(FP)の含有率が増し、比放射能及び崩壊熱も高まる。FP成分としては環境評価上重要な核種ヨウ素や硝酸に難溶性の白金族(ルテニウム、ロジウム、パラジウム)、テクネチウム及びモリブデン等の量が増す。このため高速炉再処理施設の設計では、核分裂生成物の封じ込め、臨界、遮へい及び熱設計等の安全設計や、配管や機器のハードの設計にいたるまで、全ての点で軽水炉再処理施設の設計条件を上回る厳しい条件を克服する必要がある。
<図/表>
図1 高速炉の燃料集合体および燃料要素
図1  高速炉の燃料集合体および燃料要素
図2 高速炉および軽水炉使用済燃料の比較
図2  高速炉および軽水炉使用済燃料の比較

<関連タイトル>
高速炉使用済燃料の再処理 (04-08-01-02)
わが国の高速炉燃料再処理の研究開発 (04-08-01-04)

<参考文献>
(1)火力原子力発電技術協会(編):やさしい原子力発電、火力原子力発電技術協会(平成2年6月)
(2)火力原子力発電技術協会(編):原子燃料サイクルと廃棄物処理、火力原子力発電技術協会(昭和61年)
(3)清瀬量平(訳):原子力化学工学(第4分冊)燃料再処理と放射性廃棄物の化学工学、日刊工業新聞社(1983)
(4)動燃事業団:パンフレット「明日をになう高速炉燃料再処理の技術開発、p.6−7(1982.9)p.6−7
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