<大項目> 核燃料リサイクル施設
<中項目> 再処理
<小項目> 再処理の工程
<タイトル>
使用済燃料の受入、貯蔵 (04-07-02-01)

<概要>
 使用済燃料は輸送条件に合うまで原子炉で冷却される。再処理工場に輸送された燃料は使用済燃料受入施設で受入れられ、一時貯蔵される。受入、貯蔵には、プール内で行う湿式と、遮蔽セル内で行う乾式がある。なお、輸送容器(貯蔵兼用)に収納したまま貯蔵することもある。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
(1) 使用済燃料受入(工程)
使用済燃料は輸送容器(以下キャスクと記す)に収納されて再処理工場に到着する。この燃料を輸送容器から取り出し貯蔵施設へ送る工程が使用済燃料受入工程である。
燃料キャスクは、最寄りの港まで船で運搬されるか、最寄りの鉄道駅まで列車で輸送される。鉄道引込線のない再処理工場の場合は、トレーラーに積替えられて搬入される。
通例、キャスクは複数個がまとまって輸送されてくるので、受入施設には、使用済燃料を取り出すまでキャスクを待機させておく、屋外または屋内のスペースを用意しておく。キャスクから燃料を取り出すには、プールの水中で行う湿式と遮蔽セルの中で行う乾式の2つの方式ある。
(a) 湿式の受入施設
湿式の受入施設では、キャスクの外面を点検、洗浄(一般的な汚れ)した後、封印の解除等を行い、燃料取出しプールのピットに降す。このピットは、燃料集合体をキャスクの上方に取り出した時でも十分な遮蔽水深が保てるような深さ(〜15m)になっている。
取り出した燃料集合体は、そのまま貯蔵プールに送るか、バスケットに収納して貯蔵プールに送る。この時点で、燃料集合体毎の確認が行われる。
燃料集合体はクラッド等で汚れていることが多く、プール水を介してキャスクの外面を汚染し、そのままでは輸送に差支えるので、取り出し後キャスク外面の除染が必要になる。除染はかなり手間と時間のかかる作業になるので、キャスクを取り出しピットに沈める前にカバーを掛けてキャスク外面が直接プール水に触れないようにすることが多い。
取り出しプールの水は、適切に設計されたプール水冷却浄化設備で処理される。湿式の受入れ方式の例を 図1 に示す。
英国のセラフールド再処理工場の受入施設では、燃料集合体は MEB(Multi Element Bottle 、密封容器) に数体まとめて封入した後キャスクに収納されて運ばれてくる(1キャスクに1MEB)。受入、貯蔵は MEBのまま行い、前処理開始時に燃料集合体を取り出すようになっている。この方式ではプール水の汚染を少なくすることができる。
乾式のキャスクを受入れる場合は、あらかじめキャスク内に水を導入して燃料体の温度を下げてから取り出しプールに降し、蓋を開く。
(b) 乾式の受入施設
遮蔽セルの中で燃料を取り出す方式で、その実例が仏国のラアーグのUP-3工場にある。キャスクを台車に載せ、遮蔽セルの床下に導き、キャスクの開口部に連結装置を取付け、キャスク内部の汚れがセル外部に洩れないようにしてキャスクの蓋を開く。取り出した燃料集合体は、1体づつピットで冷却してからバスケットに入れて貯蔵プールへ送る。
この方式ではキャスクの外面を汚染させることが少ないので、燃料取出後の除染が容易である。大重量の輸送キャスクを深いプールに下す必要がない、乾式キャスクとの取合がよい等の利点があるが、一方、取り出しセル内装設備は遠隔保守の必要がある、キャスクとの連結装置の設計上取扱えるキャスクの種類に制限が生ずる等の問題があろう。
図2 にUP-3の乾式受入施設 (TOと呼ばれる)の概念図を示す。
(2) 使用済燃料貯蔵(工程)
再処理工場では再処理開始時の燃料条件が決まっている。すなわち処理対象燃料の内蔵放射性物質の量は、工場の環境に対する除染能力(特定の核種に対して、それぞれのプロセスが持っている固有値)によって保証できる量以下でなくてはならない。また燃料物質およびFPから放出される放射線量は工場の遮蔽能力を超えず、熱量は工場各施設の除熱能力以下でなくてはならない。
燃料条件の1つに冷却期間がある。通例、受入時の冷却期間と処理開始時の冷却期間は、後者が長く設定されている。この差のため再処理工場は、一定期間の燃料貯蔵能力を持っていなくてはならない。最近の再処理工場の燃料冷却期間は、受入時は1〜2年、処理開始時は4〜5年となっている。
再処理工場としての貯蔵能力は、受入と処理開始時期の差と年間処理能力の積に、輸送のピーク量、工場の停止時等の調整用の余裕分があればよい。しかし当面は発電側の使用済燃料排出量と再処理能力、さらにプルトニウム利用態勢との間にギャップが存在するので、相当量の使用済燃料中間貯蔵が必要になる。このため多くの再処理工場の貯蔵能力には付加的な貯蔵能力又は将来の拡張が考慮されているのが現状である。
使用済燃料貯蔵にも湿式と乾式がある。
(a) 湿式の貯蔵施設
湿式の貯蔵施設には、イ)燃料集合体を1体ずつ水中に設置された架台(ラック)に収納する方式と、ロ)数体をバスケットに納め、バスケット単位でプール内に貯蔵する方式がある。
貯蔵中の安全性については、集合体の配置をラック、バスケット等で制限することによる臨界安全性の確保、必要ならば中性子吸収材の利用(ラックやバスケットにカドミウム合金等を使用する)、プール水による除熱の維持、遮蔽水深の維持、プール水の汚染の抑制等が考慮されている。
集合体を囲む水の維持が重要で、プール構造体の耐震性、ライニングの耐密性は特に重要であり、水抜き配管にはサイフォンブレーカーを付けるなどの設計上の配慮がなされる。
プール水は、イオン交換、濾過等により放射性物質を除いて水質を維持する。
プール水の冷却は、外部の熱交換器を含むループに取り出して行う方式と、熱交換器を直接プールに設置する方式がある。後者の例を 図4 に示す。
燃料集合体またはバスケットは、水面から必要な遮蔽水深を保って、クレーンまたは台車等によって移動されるが、最近の施設ではこれらの機器の操作は自動化されている。
図1図2に示される貯蔵部分は、バスケット方式の湿式貯蔵である。
(b) 乾式の貯蔵施設
乾式の貯蔵施設には、イ)使用済燃料をキャスクに収納したまま保管する方式、ロ)使用済燃料を輸送キャスクから取り出しコンクリート等で作られたボールト(Vault 、丸天井、地下貯蔵所等の意あり)状の空冷式遮蔽セルの中に収納する方式、ハ)輸送キャスクから取り出しコンクリート等で造られたサイロの中に収納して地上保管する方式がある。イ)、ロ)は、再処理工場用としては、利点が少いので、原子炉外の貯蔵(AFR)として検討されている。
イ)の方式では、多数のキャスクが必要になるので、できるだけ低廉なものが開発されている。例えば、球状黒鉛鋳鉄という材料(鋳鉄であるが脆くない性質なので、万一のキャスク落下時にも破壊しない)を用いたキャスクが、西独で最初に開発され、米国等の認可も取得している。ドイツではAFRとしてのゴアレーベン貯蔵所のほかバッカースドルフ再処理工場でも、この方式が採用された。
図3 にキャスク方式の貯蔵施設の概念図、表1に輸送/貯蔵兼用キャスク、図4にボールト方式の貯蔵施設の概念図、 図5 にサイロの概念図を例示する。
(3) 燃料輸送容器の管理施設
燃料輸送キャスクは、安全上の要求から、定期的な点検、保守が必要である。
これらの作業にともなって、2次的な廃棄物等を生ずるので再処理工場等のようにすでに廃棄物処理施設の用意されているところで行うのが都合がよい。
燃料受入施設と併せて、これらの作業を行う施設を設ける例が多い。
<図/表>
図1 湿式受入湿式貯蔵施設説明図
図2 乾式受入乾式貯蔵施設説明図
図3 キャスク貯蔵方式の概念図(ドイツ)
図4 閉サイクルボールト貯蔵方式の概念図(イギリス)
図5 サイロ貯蔵方式の概念図(カナダ)

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<関連タイトル>
軽水炉の使用済燃料 (04-07-01-02)
再処理の前処理工程 (04-07-02-02)
使用済燃料の輸送 (11-02-06-04)
イギリスの再処理施設 (04-07-03-09)
フランスの再処理施設 (04-07-03-08)
使用済燃料の貯蔵施設 (04-07-03-15)
アメリカの再処理施設 (04-07-03-11)

<参考文献>
(1) 火力原子力発電技術協会(編):原子燃料サイクルと廃棄物処理、火力原子力発電技術協会(昭和61年)
(2)Proceedings Vol.2 of International Conference on Nuclear Fuel Reprocessin & Waste Management(1987,8/23-27)in Paris,RECOD-87,SFEN
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