<大項目> 核燃料リサイクル施設
<中項目> 再処理
<小項目> 再処理の概要
<タイトル>
軽水炉の使用済燃料 (04-07-01-02)

<概要>
 所定の燃焼を終了した核燃料使用済燃料といい、使用炉、燃焼度、比出力、初期濃縮度等によって燃料組成(核燃料物質核分裂生成物及び壊変生成物の含有量など)が異なる。組成核種の多くは放射性核種である。核燃料の組成変化に伴って炉心の反応性が低下し、燃料構造材の性質も変化するので、所定の燃焼度に達すると新燃料と取替える。使用済燃料は放射線壊変エネルギーを放出しながら組成変化を続ける。その取扱には遮蔽と熱除去が必要である。
<更新年月>
2005年08月   

<本文>
1.使用済燃料とは
 原子炉内で、所定の燃焼(核分裂)を終了した核燃料を使用済燃料という。
 事情により早目に炉心から取出された燃料も、核分裂を経験していれば使用済燃料と呼ばれる。使用済燃料を照射済燃料ということもある。
2.使用済燃料の性状
(a)燃焼度
 どこまで燃焼が進行したかを表現するのに燃焼度という用語を使い、発電炉では核燃料の量(ウラン燃料では原子炉へ装荷する前の新燃料中の235Uと238Uの合計量)1トン当り発生したエネルギーMWd(1日間に発生した熱出力の総量で表したもの)すなわち、MWd/tを単位にするのが普通である。燃焼度の単位としてGWd/tが用いられる場合もある。
 炉心の中性子密度が厳密には一様ではないなどの理由で、燃料の局部的な燃焼度は一様ではないので、目的に応じた平均的な値が用いられる。
 代表的な使用済燃料の平均燃焼度は、BWRの場合で約33,000〜39,500MWd/t、PWRの場合で約39,000〜48,000MWd/tである。現在の動向は、より高い燃焼度を達成し、燃料の取替回数を減らす方向にあり、BWRで約45,000MWd/t、PWRで約55,000MWd/tに達しようとしている。ABWRとPWRの一例では、取替平均で約39,500MWd/t、44,000MWd/tになっている。(文献5参照)
(b)使用済燃料組成
 特定の原子炉について燃焼度(MWd/t)のほかに、炉内での燃料の燃やし方の割合を示す比出力(MW/t)、新燃料の全ウランに対する235Uの割合を示す初期濃縮度(%)を定めると、使用済燃料の組成(残存核燃料核種およびFP核種等、化学量としてはgまたはkg、放射性核種の放射能としてはBq)が計算できる。
 さらに燃焼を中止してからの時間の経過を示す冷却期間(年または日)を定めると、壊変エネルギーによる核種の組成変化を含めた燃料の組成が計算できる (表1−1および表1−2参照) 。
(c)使用済燃料の壊変エネルギーおよび放射線
 使用済燃料の組成が判ると燃料から放出される壊変エネルギー(kW/t)も計算できる。
 同様に使用済燃料の組成が判ると、放出される放射線の種類(α線、β線、γ線中性子線、X線及びそのエネルギーのレベル)及び強度が判る。以上の計算のため各種のコンピュータコードが開発されている(表1−1表1−2および図1参照)。
(d)放射化生成物(クラッド
 原子炉では、原子炉や燃料の構造材自身(鉄、ニッケル、コバルト、マンガン等)も中性子を吸収して放射性になる。例えば、58Feは59Feとなり半減期45日で、59Coは60Coになり半減期5.3年でγ線を放出する。また、1次冷却水中にわずかに溶け込んでいるこれらの金属イオンが放射化したり、放射化した構造材が冷却水中に溶け込んだりする。これらの放射性核種(放射化生成物という)が、燃料被覆の表面に水垢のように析出することがある(クラッドと呼ばれる)。使用済燃料は、主要な放射線源であるFPのほかにも、このような放射性核種を僅かながら含んでいる。
(e)使用済燃料の情報
 使用済燃料の核種組成、壊変エネルギー(発熱量)及び放出放射線に関する情報のもとになるものは使用済燃料の履歴を示す使用原子炉名、燃焼度、比出力、初期濃縮度、冷却期間及び外型寸法、構造等の情報である。これらの情報は輸送、貯蔵及び再処理等の使用済燃料を取扱う上で重要な意味をもっている。以上の計算のため各種のコンピュータコードが開発されている。
 原子炉設置者(電力会社等)は、原子炉の運転管理上も、炉内で時々刻々に変化してゆく核燃料組成を精度よく把握していなければならないが、これらの数値の幾つかは安全上の要件として、原子炉の建設、運転に当って法的に設定される。
3.使用済燃料の取扱い
 使用済燃料を取り扱うには、放射線の遮蔽、壊変エネルギーの除去を講じる必要がある。このため軽水炉では、使用済燃料を水中で取り扱うのが普通である。この際、燃料体の外側に付着したクラッドが脱落して水を汚すことがある。また被覆材に傷のある破損燃料では水溶性のFPは水中に溶け出し、ガス状のFPは水の系外に出てくる。
 使用済燃料を取り扱う施設は、これらのことをすべて折込んで安全上の問題がないように設計されている。
4.使用済燃料発生量の見通し
 わが国の年間発生量(ウラン換算)は2004年で約800t、2010年で約1,000t、累積量はそれぞれ約17,500t、約20,800tと予測されている。数年前の予測値よりもかなり少ない値となっている(表2参照)。
<図/表>
表1−1 PWRの使用済ウラン燃料中に含まれる元素(1/2)
表1−2 PWRの使用済ウラン燃料中に含まれる元素(2/2)
表2 使用済燃料発生量の見通し
図1 放射性核分裂生成物の減衰

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<関連タイトル>
PWR用ウラン燃料 (04-06-03-02)
BWR用ウラン燃料 (04-06-03-01)
使用済燃料の受入、貯蔵 (04-07-02-01)
再処理の前処理工程 (04-07-02-02)
使用済燃料の輸送 (11-02-06-04)

<参考文献>
(1)火力原子力発電技術協会(編):やさしい原子力発電、火力原子力発電技術協会(平成2年6月)
(2)火力原子力発電技術協会(編):原子燃料サイクルと廃棄物処理、火力原子力発電技術協会(昭和61年)
(3)日本原子力産業会議(編):原子力ポケットブック2005年版、日本原子力産業会議(2004年7月)
(4)日本原子力産業会議(編):原子力年鑑 平成9年版(1997年10月)
(5)広瀬勉、土井荘一:日本原子力学会誌 Vol.46. No.6(2004)410-417
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