<大項目> 核燃料リサイクル施設
<中項目> 再処理
<小項目> 再処理の概要
<タイトル>
再処理技術の現状 (04-07-01-06)

<概要>
 再処理技術の開発は、初期の軍事用プルトニウム生産、天然ウラン・ガス炉燃料再処理というステップを経て、現在の主流である軽水炉使用済燃料の処理へと進んだ。その結果、機械的前処理法にピューレックス(PUREX)溶媒抽出法を組み合わせた方式(湿式法)が確立した。すなわち、抽出サイクルの性能向上と全工程の簡素化による高度化、気体、液体の形で発生する放射性廃棄物の適切な処理による環境放出低減化、運転・保守の遠隔化による従事者の被ばく低減化、材質、設計、施工に関する品質管理の高度化、保障措置対応の向上、深層防護思想に基づく安全確保、稼働率の向上等、多面的な技術開発の進展で、約千トン/年規模の新しい大型施設が仏国、英国で稼働している。日本でも青森県六ケ所村に年間処理能力800トンの再処理工場が試運転を経て本格稼働を目指している。一方、高速炉時代を見据えた先進的核燃料リサイクル技術の開発が進められ、ウラン、プルトニウムと共にネプツニウム、アメリシウム、キュリウムや発熱性核分裂生成物核種である137Cs、90Sr及び長寿命核種の99Tc、121Iを対象とする分離技術等新たな湿式再処理法や乾式再処理法の研究開発が行われている。
<更新年月>
2011年01月   

<本文>
1.再処理技術の進化(ガス炉燃料から軽水炉燃料へ)
 1940年代に、照射済金属ウラン(U)から軍事用プルトニウム(Pu)のみを回収することを目的に開発された沈殿法は、バッチ法であり「沈殿生成・ろ過・洗浄」といったやっかいな遠隔操作の回数が多く、Uを含む大量の廃棄物を生じる等、大規模な再処理技術としては問題があった。図1図2にそれらの概要を示す。その後、UとPuの両方を連続方式で回収できる溶媒抽出法が採用された。特に耐放射線性、耐硝酸性に優れ、引火点が比較的高いリン酸トリブチル(TBP)をケロシンで希釈した溶媒は、U-Puと核分裂生成物(FP)との高い分離が達成でき、また還元剤を用いてPuの原子価を難抽出性の3価にすることによって、PuとUとの相互分離も効率良くできることから、この抽出法(PUREX法と呼ぶ)がPu生産工場の主要なプロセスに採用された。PUREX(Plutonium and Uranium Recovery by EXtraction)法は、動力炉として英国、仏国で実用化された天然ウラン金属燃料黒鉛減速ガス冷却炉(以下「ガス炉」という)の使用済燃料(SF)の再処理にも、工業的な規模で利用された(英国;B205、仏国;UP-1)。
 ガス炉に続いて低濃縮ウラン酸化物燃料・軽水減速冷却炉(軽水炉)が実用化され世界的に普及していったので、軽水炉使用済燃料の再処理が次の課題となった。
 軽水炉の燃料は、酸化ウラン(UO2)のペレットをジルカロイ(Zircaloy;ジルコニウムにスズ・鉄・クロムなどを加えた合金)の管(直径約1cm、長さ約4m)に挿入して両端を閉じたもの(燃料棒)数十本〜数百本を束ねて燃料集合体に成形したものである。軽水炉のSFは、ガス炉燃料に比べると燃焼度が高く、SFの単位重量当たりのFPおよびPuの含有量が大きい。その結果、軽水炉SFは発熱量、放出放射線量、内蔵放射能等も全て大きいので、それだけ再処理は技術的に難しいといえる。代表的な軽水炉には、PWR(加圧水型)とBWR(沸騰水型)の2種類があり、燃料集合体の形状は異なっているが、基本的な再処理法は変わらない。

2.軽水炉燃料の再処理技術
 軽水炉燃料の再処理技術開発は、軽水炉の開発者である米国が最初に行った。
 SFを硝酸に溶かした後は、ガス炉燃料の再処理経験から、溶媒抽出法が適用できる見通しがあったので、軽水炉SF再処理の最初の目標は、燃料集合体から燃料成分を硝酸水溶液として得ることであった。燃料棒のジルカロイ部分は硝酸では溶けないので、機械的に破ることが考えられた。燃料集合体のまま剪断機で輪切りにして数センチの切断片をつくり、溶解槽の中で燃料成分だけを硝酸に溶解する方法が、オークリッジ国立研究所で開発され、チョップアンドリーチ法と名付けられた。この方式で民間会社Nuclear Fuel Service社の再処理工場がWest Valleyに建設、1966年から72年まで運転され、約250トンの初期の軽水炉燃料が処理された。
 図3に現在の代表的PUREX法再処理工程を示す。以下、SF受入貯蔵、剪断、溶解、清澄、溶媒抽出分離精製、脱硝、高レベル廃液処理(酸性)、中レベル廃液処理(含塩)、低レベル廃液処理、オフガス処理といった工程技術の現況を述べる。
2.1 SF受入貯蔵
 この方法には湿式法と乾式法があり、現在はいずれも用いられている。前者は、プール内に燃料輸送遮蔽容器(キャスク)を沈めて燃料を取り出す。現行の軽水炉側ではこの方法でSFの集合体をキャスクに装荷するので、技術的な類似性があるが、プール水及びキャスクの汚染が避けられず、キャスクの除染に手間取る。この問題を軽減するため、英国THORP工場では、キャスク内に燃料密封容器を入れて、複数の燃料集合体を纏めて受入れ貯蔵する方式を採用した。乾式法は、遮蔽セルの中で燃料を取り出す方式で、上記の問題点を避けている。乾式キャスクの受け入れでは特に都合がよい。フランスのUP3にTOと呼ばれる乾式受入施設が新設された。再処理工場の燃料貯蔵では、燃料の取扱い頻度が大きいので、プール内貯蔵方式が適している。
2.2 剪断、溶解、清澄
 燃料集合体単位で、一方の端から剪断する集合体剪断法が主流である。小規模施設では、集合体を解体してから燃料棒を剪断する方式(pin shearing)の例がある。集合体剪断機には、燃料供給方式、剪断刃駆動方式、保守対応設計等について幾つかの方式がある。剪断刃等は消耗部品であり比較的短い期間で交換するので、遠隔保守が可能なように設計されている。剪断燃料は直接溶解槽に装荷する方式が多い。
 溶解には回分式(燃料装荷、溶解、溶解液移送、不溶解物取り出しを順次一定量の燃料について行う)と連続式がある。連続式は水車型(フランス)、回転ドラム型(米国)、パルス型(英国)等色々な方式が研究開発されてきた。一般に連続式は装置が複雑になり保守に留意が必要であるが、高能率であり溶解液の性状を一定に保てる利点がある。UP3と六ヵ所再処理工場では水車型が採用された。
 溶解後の溶液には不溶解残渣が含まれている。燃料の燃焼度が高まるにつれて残渣の量が増えるので、溶解液から残渣を除去(清澄という)することが重要になった。清澄には遠心分離法と濾過法がある。最近の大型施設では遠心式が採用されているが、回転機なので保守に留意が要る。濾過法は、分離性は良いがフィルターの目詰まり等があり処理能率が劣る。複数の単体を併設するほか逆洗浄に工夫が要る。東海再処理工場ではパルスを掛けて目詰まりを抑える工夫がされている。旧ソ連では濾過助材を使用しているという報告がある。フィルターの交換は、特殊な遮蔽容器を用いて遠隔操作で行われる。溶解後、溶解槽から取り出された被覆材(ハル)は、一時水中貯蔵されるかセメント固化される(THORP、UP3、UP2-800の場合)。
 この集合体剪断・溶解方式は、日本の東海再処理施設、仏国のHAO(UP2における酸化物燃料用の前処理施設)、UP3、UP2-800、英国のTHORP等の施設で踏襲されている。剪断機、溶解槽等の設計は、各国の研究開発努力で改良され、色々変化はあるが全体の方式としては定型化された。
2.3 分離・精製、脱硝
 PUREX法による分離精製工程及びそれ以降は、以前のガス炉燃料再処理と基本的な構成は変わらないとも言えるが、処理対象燃料の変遷と、構成機器、制御技術の進展を反映して遥かに高性能になってきた。以下にその要点を述べる。
 現在、実証され実績のあるTBPに替わる抽出溶媒は現れていないので、全ての再処理施設でPUREX法が適用されている。その共抽出(共除染とも云う)工程においては、TBPがUやPuと接触すると、それらの硝酸塩;UO2(NO3)2、Pu(NO3)4はそれぞれUO2(NO3)2・2TBPとPu(NO3)4・2TBPを形成して有機溶媒中に溶ける。図4にUO2(NO3)2・2TBPの分子模型を示す。この反応は非常に速く、選択的に起きるので、他の元素からU、Puを抽出分離することができる。通常、水溶液の硝酸濃度が3Mの時が最適とされている。次の分配工程においてPuとUを分離するために、Puを4価から3価に還元する。Puの還元には当初はスルファミン酸第一鉄が用いられたが、後にウラナス(U4+)または硝酸ヒドロキシルアミン(HAN;NH3OH・NO3)等が用いられるようになり、金属塩廃液は減少した。これらの還元反応も非常に迅速に進むので、燃料の高燃焼度化による溶媒の劣化対策として、抽出装置がミキサセトラから、溶媒と水溶液との接触時間が短いパルスカラムへと進み、遠心抽出器へと変わっても(大型施設ではまだ遠心抽出器は採用されていない)問題はない。分配工程では、硝酸から生じる亜硝酸がU4+やPu3+を酸化して上記の還元反応の効率を劣化させる。そのため、亜硝酸を分解するヒドラジン(N2H4)が還元剤と共に用いられている。
   N2H5+ + 2HNO2 → N2O + N2 + 3H2O + H+
 溶媒再生工程では、廃液量をさらに減らすために洗浄剤の塩フリー化、蒸留リサイクル法の適用も行われている。
 Uの脱硝は硝酸ウラニル硝酸溶液の加熱分解法が一般的だが、Puに対しては、Pu硝酸溶液の直接加熱分解の他にPuをシュウ酸塩;Pu(C2O4)26H2O、として沈澱させてから加熱分解して酸化物とする方式も用いられている。
2.4 各放射能レベルの廃液処理
 抽出分離されたFPの大部分を含む高レベル酸性廃液は、蒸発缶で濃縮され、一時貯蔵後ガラス固化される。この工程で回収された硝酸は再利用される。
 中レベル廃液は、溶媒再生工程からの含金属塩廃液が大部分であるが、蒸発缶で濃縮後セメント固化、アスファルト固化、ペレット固化等により暫定固化体にする。
 低レベル廃液は、化学沈澱法、イオン交換法等で処理されているが、環境放出放射能量を更に減らすため、日本では蒸発法が用いられている。
2.5 オフガス処理
 燃料溶解時に発生するオフガスには、希ガス等大部分の揮発性放射性核種が含まれている。ヨウ素129(129I)は半減期1570万年の長寿命核種なので、SF溶解時に全て気相中に追い出し、銀を添着したフィルター等で固定する。一方、クリプトン85(85Kr)は半減期10.76年で大気中に永く留まるが、大気圏内に広く拡散する結果(現在の世界的な再処理規模では)公衆への被ばく影響は微小である。また、回収・固定した場合でも、まだ有効な処分法が見いだされていないため、そのまま大気中に放出されている(米国の規制では、年間放出量を制限している)。

3.大型再処理施設における最新技術の動向
 再処理各工程の概要は前節に記載した。ここでは、最近の大型再処理施設にみられる工程設計、技術の改良動向について述べる。
3.1 抽出工程の高度化
3.1.1 PUREX抽出サイクル数の削減
 商業再処理事業においては、本質的に大きくなる建設・運転費の削減は重要な課題である。例えば、工程サイクル数を低減できれば、建屋敷地面積の削減と運転コストの削減が同時に達成できる。フランスでは、La Hagueの再処理施設において、抽出サイクル数の削減が図られ、その進展過程にわが国の六ヶ所施設も位置付けられている(図5にサイクル数削減の進展経緯を示す)。
3.1.2 単一サイクル工程の提言
 将来に向けた提言の中に「単一サイクル工程;single cycle process」がある。図6に示した工程−Iは、従来のPUREX工程(分配工程でウラナスやHANを用いる)が基本であり、そこでは、テクネチウム(Tc)とネプツニウム(Np)の挙動制御が重視されている。その理由は、
Tc:SF中には比較的多くの99Tc(半減期2.11x105年)が含まれている(235Uの熱中性子核分裂収率 6.1%、45GWD/TのLWR-SFには約1kg/トンSFのTcが含まれる)。Tcは人工元素の一つであるが、硝酸溶解液中ではTc(VII)の過テクネチウム酸陰イオン(TcO4-)として安定に存在する。そのため、抽出工程ではU、Pu、Zrといった他の金属イオンと共抽出される。ところがTcがU、Puと共に分配工程に入ると、そこで用いられる還元剤等と反応するため、分配工程の主目的であるPuの還元反応を妨害する。いくつかの反応例をあげると、
 ヒドラジンの分解;N2H5+ + Tc(VII) → Tc(VI) + N2O + ・・・分解生成物
 HANの分解;NH3OH+ + Tc(VII) → Tc(V) + N2O + ・・・ 分解生成物
 U4+の酸化;3U(IV) + 2Tc(VII) → 3U(VI) + 2Tc(IV)
 Pu3+の再酸化;3Pu(III) + Tc(VII) + 4H+ → 3Pu(IV) + Tc(IV) + 2H2
そのため、フランスや六ヶ所の再処理施設では、共抽出工程においてU、Puと共に有機溶媒中に抽出されたTc(VII)を、高濃度の硝酸で洗浄(逆抽出)し廃液中に除去することにより、Tc(VII)の分配工程への流入を防いでいる。
Np:SF中には、237Np(半減期2.14x106年のα放射体)が含まれている(45GWD/TのLWR-SFには約680g/トンSFのNpが含まれる)。237Npは原子炉中で235U(n, γ)236U [熱中性子核反応断面積 114バーン]α半減期2.4 x 107年、→(n, γ)237U [同核反応断面積 13.7バーン]β- 半減期6.75日、→ 237Npおよび6.2MeV以上の高速中性子による238U (n, 2n) 237U反応 → 237Np、さらに 241Am →(α- 半減期432年)237Npで生成する。237Npは長期間にわたってネプツニウム系列核種を次々と生成するので、長期的有害度が問題とされる。再処理工程の硝酸溶液系では、237Npは原子価がIV価、V価、VI価の間を不安定に変動する。従来のPUREXプロセスでは、Npはいくつかの製品と廃液中に分散して分布した。そこで、フランスや英国では、共除染工程で硝酸濃度を〜5Mに高めることでNpの原子価を6価(NpO2 2+)にそろえ、全量を抽出し、単独のストリームとして得る方法を考案した。わが国でもJAEAにおいて、高速炉SFを用いて同様の方法が実験により確認された。
 図7にもう一つの単一サイクルフローシート;工程-IIを示す。この工程の特徴は、Npが単離されずPu-Np混合体として得られることである。この選択肢の背景には(237Np金属の臨界質量が約〜55kgであり)保障措置上の対象とすべきとの考えがあって、得られた[Pu-Np]混合体を高速炉に装荷して燃焼させるという提案がある。[Pu-Np]混合体を熱中性子炉に装荷すると、237Np(n, γ)238Np[熱中性子核反応断面積 192バーン]β- 半減期2.1日、→ 238Puにより238Puが生成するので、燃焼後に得られるPuの同位体組成は238Puに富んだものとなる。工程-2が可能となったのは、分配工程においてPu(IV)をPu(III)に還元した時に、Np(VI)が易抽出性のNp(IV)にまで還元されることなく、難抽出性のNp(V)に維持できる還元剤が見いだされたことによる。それらは、Formohydroxamic acid (FHA)あるいはAcetohydroxamic acid (AHA)である。これらは還元作用と共に、還元されずに残ったPu(IV)やNp(IV)と水溶性の錯体を形成するので、逆抽出の効率を増す。さらにTc(VII)はFHAやAHAと有害な化学反応を起こさないので、工程-Iのように、Tcを共除染工程で除去する必要性はない。工程-Iはフランスで開発され、工程-IIは英国で開発された。
3.1.3 COEXプロセスとNUEXプロセスの提言
 21世紀の初頭、米国においてGNEP(Global Nuclear Energy Partnership)と呼ばれるプロジェクトが進められた。米国エネルギー省は、SFの再処理路線を復活させ、大型再処理施設を建設しようとした。この建設計画はとん挫したが、その大型再処理施設における分離プロセスとして、フランスAREVA社はCOEXプロセスを、また英国−米国系Energy Solutions社はNUEXプロセスを提案した。両者とも、Puの単独分離を避け、Puにほぼ等量のUが混入した状態でPu-U混合体が得られることが特徴である。Puを回収する際に他の元素と混合する動機には大きく分けて二つがある。第一はMOX製造ラインへ結ぶために、前の工程の製品としてU-Puの混合溶液を得ること。第二はPuの核拡散(軍事転用)抵抗性を増すために、取扱いの困難化と核爆発性能の喪失を意図して行う。
 COEXプロセスは、3.1.2(前)章で述べた工程−Iを基本にして、分配工程とPu精製工程の条件を調整することにより、Pu-U混合溶液を得る。この製品はMOX転換施設まで溶液状態のまま移送され、移送中におけるMOX固体の盗取を避けている。一方、NUEXプロセスは、前章の工程−IIを基本にし、Pu-NpのフラクションにUを混入させる方式をとっている。その結果、Pu-Np-Uの混合体が得られる。図8にCOEXプロセスフローシートと、その工程内におけるU, Pu, Npの動きを示す。
3.2 環境放射能放出低減化
 世界的に再処理の規模が増大することに備えて環境放射能放出低減化を図るため、85Kr、14C、トリチウム等の回収が研究され、廃棄物の量を更に減少させる努力が払われてきた。それらは主として工程的な対応であるが、施設全体としての閉じ込め機能の維持と向上、排出口(排気筒、水中放出管の構造、寸法)の適正設計等の技術も進んだ。放出放射能の安全評価技術も高度化している。JAEAでは、85Krの分離回収法が検討されたが、実用化には至っていない。
3.3 従事者被ばくの低減化
 遮蔽設計、施工の進歩と共に、放射線業務従事者被ばくの大部分をなす保守時の被ばく低減が、遠隔保守の拡大によって著しく進んだ。従来、直接保守が普通であった化学処理工程にも、遠隔保守方式の適用が見られる。
3.4 安全確保の深層防護
 六ヶ所再処理施設に対しては、中越沖地震後の発電炉に対するバックチェックの動きと同時に、安全上重要な設備機器に関する耐震性の再確認が要請され、近年実施された。一般に、臨界安全性の確保は二重偶発性の原則を基本として、また火災・爆発防止等については、発生防止、検知、拡大伝播抑制等の設備機能について、多重化等の充分な配慮が設計に織り込まれている。また部品や施工の品質管理の高度化が進められている。
3.5 稼働率の向上
 機器材料の耐蝕性向上等による長寿命化で保守や調整の頻度を減らし、連続式の工程を採用する等の他、定常的な保守の必要な部分の遠隔保守化も稼働率の向上に寄与する。コンピュータを利用した運転支援システムによる工程管理は、今や常識となっている。
3.6 保障措置
 再処理施設の運転には保障措置対応が必須であり、そのための技術水準も上がっているが、詳しくは保障措置の項を参照されたい。

4.今後の技術開発の方向
 ウラン資源有効利用のため使用済燃料を再処理して回収したプルトニウムについて高速増殖炉での利用を基本とする所謂、先進的核燃料リサイクルの確立に向けた努力が積み重ねられている。従来の再処理はウラン、プルトニウムを高純度に分離回収するものであるが、高速増殖炉に利用する場合は、必ずしもその必要はないことから、回収するウラン、プルトニウムの精製工程の削除などを取り込んだ新湿式再処理法の研究がピューレックス法による従来法をベースに進められている。また、乾式法(高温冶金法、溶融塩電解法)についても再処理工程の削減などの先進的核燃料リサイクルの要件を満たす再処理技術の一つとして研究が進められている。
(前回更新:2003年3月)
<図/表>
図1 米国Hanfordにおけるリン酸ビスマス沈殿法による再処理工程
図2 旧ソ連Chelyabinsk-40 (Plant B)におけるウラニル酢酸塩沈殿法による再処理工程
図3 PUREX抽出法による再処理工程
図4 硝酸ウラニル・TBP錯体;UO2(NO3)2・2TBPの分子モデル
図5 PUREX再処理工程の簡素化にむけた進展
図6 単一サイクル工程の例:U, Np, Pu個別分離系
図7 単一サイクル工程の例:U, Np+Pu分離系
図8 COEXプロセスにおけるU, Np, Puのふるまい。

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<関連タイトル>
再処理技術開発の変遷(歴史) (04-07-01-04)
再処理施設の安全設計 (04-07-03-01)
再処理施設の工程設計 (04-07-03-02)
再処理施設の給排気 (04-07-03-04)
高速炉使用済燃料の特徴 (04-08-01-01)
高速炉使用済燃料の再処理 (04-08-01-02)
金属燃料の再処理 (04-08-01-03)

<参考文献>
(1)S. Lawroski;Survey of Separations Processes − Other than Solvent Recovery, Chem. Eng. Prog. 51, 461(1955). この論文のリン酸ビスマス法は、Plutonium Handbook Vol.IIのChapter 14 Separation from Irradiated Uranium;by J.M. Clevelandに引用されている。
(2)E.I. Il' enko and N.A. Abramova;Development of the First Soviet Radiochemical Process for Recovery of Plutonium from Irradiated Uranium, Radiochemistry, 41(2), 101-107(1999)
(3)Oda Y. eta al. Discrete-variational Dirac-Slater calculation of uranyl(VI)nitrate complexes. J. Alloys and Compounds, 255, 24-30(1997)
(4)Houdin P.B.P., Emin JL., Baron P. The Reprocessing Plant of the Future:A Single Extraction Cycle, Proc. of WM'05, Feb. 27-Mar. 3, Tucson, AZ. 2005
(5)Birkett J.E. et al. The Controle of Neptunium and Plutonium in Single Cycle Solvent Extraction Flowsheets for Advanced Fuel Cycles. Proc. of GLOBAL 2005, Oct. 9-13, 2005, Tsukuba, Japan, Paper No. 161
(6)Drain F. et al., COEXTM process:Cross-breeding between Innovation and Industrial Experience, Proc. of WM'08 Session 53- abstract 8220(2008)
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