<大項目> 開発中の原子炉および研究炉等
<中項目> 研究炉等
<小項目> わが国の大学等の研究炉
<タイトル>
近畿大炉(UTR-KINKI) (03-04-03-02)

<概要>
 近畿大炉(UTR-KINKI)は、近畿大学における原子力に関する教育および研究を目的とする全学共同利用施設として設置が計画され、1960年4月設置許可申請書を提出、1961年11月11日初臨界に到達した。わが国の民間第1号原子炉として、また初の大学原子炉として運転を開始した。当初は熱出力0.1Wであったが、1973年10月、利用の拡大を図るため、熱出力を1Wに上昇、運転開始以来全くトラブルなく、順調に運転を続けている。
<更新年月>
2004年08月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 近畿大炉(UTR-KINKI)は、近畿大学における原子力教育および研究の中核的施設として設置が計画され、1961年6月建屋関係工事を完了して原子炉本体関係の工事を進め、同年11月11日初臨界に到達した。当初の熱出力は0.1Wで、主として大学内の教育訓練用に利用されていた。その後、原子炉を一層効果的に利用するために熱出力を1Wに上昇し、原子炉付属実験設備を増設するとともに、設置目的に共同利用研究を追加する設置変更を1973年10月に行なった。
 さらに1984年1月には、小動物用照射設備、中性子ラジオグラフィー用設備および拡大垂直ストリンガーを新設し、学生の教育訓練用にはもとより、理学、工学から生物学にわたる広範な分野の原子力の研究に活用されている。
 研究所には、原子炉と付属設備を収容する原子炉施設(606m2)のほか、放射性同位元素や加速器などを使用するトレーサー・加速器施設(482m2)と研究棟(5階建、1298m2)があり、敷地(9180m2)内はすべて周辺監視区域として関係者以外の立入りが制限される。研究所の組織のほか、運営委員会、利用・管理委員会、安全委員会がある。
 研究所では、学内の各学部の共同利用の受け入ればかりでなく、学生の教育実験・実習も行なっており、1980年度から原子炉施設は大阪大学を窓口として全国大学共同利用に提供され、関東地区から九州までの国公私立大学の研究者によって広く利用され、大きな成果を上げている。
 また、1987年12月から中学、高校教員のための原子炉実験・研修会を定期的に実施している。2泊3日普通コースと1泊2日の短期コースがあり、1998年末までに100回を超える研修会が開催され、参加者は延べ1300名を超えている。利用状況は、所内利用を含めて学内が約50%、外部利用が約50%で、外部利用には大阪大学工学部、名古屋大学工学部、九州大学工学部および神戸商船大学の原子力関係学部学生の教育も含まれている。これまで原子炉施設のトラブルにより炉の運転を停止したことはなく、極めて順調に稼働している。
 さらに、2003年8月、「原子力エネルギー学習室」を開設、原子炉の模型やパネル展示、ビデオライブラリー、関連図書をそろえ、児童生徒が自由に利用できる体制を整えた。
1. 原子炉本体の構造(表1図1図2図3図4および図5参照)
 原子炉は、90%濃縮ウラン・アルミ合金をアルミで被覆した平板状燃料(MTR型燃料)を用いた軽水減速・黒鉛反射非均質型の熱中性子炉で、2分割炉心をもつ改良アルゴノート型である。熱出力は1Wで低出力のため冷却の必要はないので、冷却材循環機器などのプロセス系がない。燃料であるウランの燃焼が微量で交換不要、また核分裂生成物が極微量なことから炉心への接近が容易なことなど、安全性に優れた炉であり、教育用に適している。
 炉心の燃料領域は2分割されており、46cmの内部黒鉛反射体で隔てられている。各燃料領域には6体ずつの燃料要素が収められ、各燃料要素はそれぞれ最大12枚のMTR型燃料板で構成されている。臨界質量は約3018gで、最大過剰反応度は0.5%k/k。炉心部は直方体で、112×142×147cm(高)、燃料領域を黒鉛ブロック(反射体)で取り囲んだ構造になっている。板状のカドミウム制御棒が4本、燃料領域の外側に接して挿入され、2本は安全棒、シム(粗調整)安全棒、微調整棒が各1本である。燃料領域周囲の内、外黒鉛反射体部には、大小18本の垂直黒鉛ストリンガーがあり、各種の試料や検出器などを挿入することができる。最大熱中性子束は1.2×107n/cm2・sec、Cd比は5〜7で低い。
 炉の反応度係数は、燃料温度係数、減速材温度係数、ボイド係数ともに負で固有の自己制御性を持っている。炉心部は円筒型鋼板製生体遮蔽タンク内に収容されており、生体遮蔽タンクには湿砂と水が充填されている。
2.実験設備(図6および図7参照)
 実験照射設備としては、前記の垂直ストリンガー(最大10×10×122cm)の他、生物照射用設備、中性子ラジオグラフィー用設備などがある。
3.運転状況
 UTR-KINKIは1961年の初臨界以来40余年にわたってさしたるトラブルもなく順調かつ安全に運転を継続してきており、1日約6〜8時間、週5日、年間500時間から1000時間の運転をおこなってきた。
4.共同利用
 近畿大学原子炉を利用した照射・実験およびこれらに関連する研究計画が、「近畿大学原子炉等利用共同計画」の名称で毎年募集されている。研究課題は、(1)原子物理・原子炉応用、(2)原子炉化学・放射化学、(3)生物の放射線影響の3分野に大別され、それぞれの研究総括者が取りまとめを行う。共同研究の申込みの資格は、国公私立大学の助手相当以上の職にある者であり、申込み期限は毎年1月中旬、採否決定は3月下旬である。
 図8の管理室だより(2004年5月現在)に、原子炉施設の運転実績、利用状況等が記載されているので、これを参考に付記する。

近畿大学原子力研究所
Kinki University Atomic Energy Research Institute
〒577-8502 東大阪市小若江3-4-1
TEL:06-6721-2332(代表)(内線4420)
FAX:06-6721-3743
<図/表>
表1 UTR-KINKIの諸特性
図1 UTR-KINKI原子炉本体平面図
図2 UTR-KINKI炉心部平面図
図3 UTR-KINKI炉心部断面図(南北)
図4 UTR-KINKI炉心部断面図(東西)
図5 UTR-KINKI炉心部(俯瞰写真)
図6 小動物照射設備(南北方向断面図)
図7 中性子ラジオグラフィー設備断面図
図8 管理室だより(2004年5月1日)

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
わが国の試験研究用および開発中の原子炉一覧(2003年12月) (03-04-01-02)
立教大炉(RUR) (03-04-03-01)
武蔵工大炉(MITRR) (03-04-03-03)
京都大炉(KUR) (03-04-03-05)
東京大炉(弥生) (03-04-03-06)

<参考文献>
(1)近畿大学原子力研究所:原子炉等共同利用に関するご案内(1980)
(2)近畿大学原子力研究所:原子力研究所の概要
(3)近畿大学原子力研究所:原子炉の紹介
(4)近畿大学原子力研究所:原研ニュース第2号
(5)原子力安全委員会(編):原子力安全白書 平成15年版、資料編 試験研究用炉一覧、財務省印刷局(2003年12月)、p.243
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