<大項目> 開発中の原子炉および研究炉等
<中項目> 新型転換炉
<小項目> 新型転換炉運転管理
<タイトル>
新型転換炉のプラント保守管理技術の高度化 (03-02-04-03)

<概要>
 「ふげん」における保守管理については、既存の技術を基にATR 特有の手法を加味して体系を築いてきたが、最近は既存の軽水炉に先駆けてCAD(Computer Aided Design) やAI(Artificial Intelligence) といった最新の計算機技術を採り入れ、プラントの信頼性向上、合理的保守管理の実現、担当員の負担軽減等保守管理技術の高度化を図ってきた。これらの技術により、担当員のノウハウをシステム化することが可能になり、「ふげん」に蓄積された技術力を高度化、体系化することに大きな成果を上げることが出来た。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 「ふげん」の保守管理システム(Maintenance Management System:MMS)は、保守管理業務の省力化と信頼性向上およびATR開発に有益なデータを蓄積・提供するため開発したシステムである。本システムは発電所の保守管理を中心とした業務を総合的に支援するシステムで、その構成を 図1 に示す。
 開発初期には大洗工学センターの計算機を用いて保守に係わる基本データの蓄積を行ってきたが、システムの高度化を行うため、「ふげん」発電所への汎用計算機の導入、大容量記憶装置によるデータベースの構築、ワークステーションによる分散処理、バーコード、日本語処理端末の利用等最新のハードウェア技術およびAI(Artificial Intelligence) 、CAD(Computer Aided Design)、オンライン処理等の最新のソフトウェア技術を導入し保守管理システムの開発を行い、その運用によって定期検査(定検)工程短縮化の検討や工程管理業務の省力化・高度化に有効に寄与している。
 原子力発電所は、1年間の運転後の定検を義務づけられており、この定検期間中に供用期間中検査(ISI)をはじめとする多くの検査を行う( 表1−1 および 表1−2 )とともに、保修・改造工事等が重なるため極めて厳しい工程管理が要求される。毎年異なった組合せで実施される定検工事と保修・改造工事であるが、第7回定検実績工程表を 表2−1 および 表2−2 に示した。
 保守管理システムは、運転管理、炉心管理、化学管理、放射線管理等の各システムと密接に関連して合理化・迅速化・省力化・高度化に成功している。

1.保修工事予算管理システム
 保修課内での予算管理と長期の設備保全費用を把握管理するシステムで、この運用により予算管理業務の合理化、予算管理精度の向上と長期予算計画への反映が可能になった。

2.定検工事積算管理システム
  定検工事の発注に必要な人工および費用の積算を数百の点検項目データの選択・修正により可能とし、定検工事の積算処理の迅速化、業務の合理化が出来た。

3.定検工程管理支援システム
 このシステムの開発では、過去の定検作業を分析し、各点検項目毎の標準作業工程データベースを作成した。これを基に定検工程作成に必要な専門的知識を加えて整理した知識データベースにより、AI手法を用い、毎年異なった組合せで実施される定検を最適な工程で計画・管理するシステムである。第7回定検の計画時より運用して、定検工程短縮化の検討および工程管理業務の省力化・高度化が出来た。

4.予備品管理システム
 設備・機器に使用する予備品等の在庫管理、品質管理を行うシステムで、予備品等の発注、受入、払出、戻入および予備品仕様の登録等をオンライン端末との会話処理によって、必要な処理と伝票発行を行う。検索機能により、予備品等の仕様、在庫状況および受入、払出状況の確認ができ、また、劣化管理、利用先の管理等予備品の品質管理ができる。

5.設備台帳管理システム
 主要設備・機器(約3万点)の最新仕様等を管理するシステムで、設備・機器の増設、更新が発生した場合は、オンライン端末よりデータの追加・修正を行う。設備台帳データは、保守管理システム全体の機器管理番号確認に使用され、各システムの基本データとなっている。また、設備台帳データには故障率、故障回数、MTBF(Mean Time BetweenFailures)、MTTR(Mean Time To Repair) 等のデータや過去の故障・作業履歴データ作業・故障管理システムより入力され記録される。

6.作業・故障管理システム
  日常の運転・保守作業の管理を行い、保守データを蓄積するシステムで、設備故障および作業管理に使用する故障票、作業票等の発行から報告および管理の一連の処理を計算機端末との会話処理により行う。この運用により、設備管理・作業管理の充実と業務の迅速化・合理化が出来た。

7.統計・検索システム
 作業・故障管理システムによって入力、蓄積した故障・作業等の保全データを加工し、日常保守と予防保全等の保守計画に反映可能な情報を提供するシステムで、作業・故障データの詳細表示、一覧表およびグラフ表示等作業・故障の評価、分析が可能な情報を提供できる。

8.アイソレーション管理支援システム
 点検作業等に必要なアイソレーション(隔離処理)管理を行うシステムで、計算機に入力された系統図・電源分割等のCADデータおよび定検実績、作業分析等で得られたアイソレーションの標準化データを利用して、アイソレーション計画の作成、調整、確認の合理化、アイソレーションタグの発行、確認作業の迅速化、合理化およびアイソレーション実施状態の管理、確認の強化充実を図ることが出来た( 図2 )。
 アイソレーションは、設備機器の点検、補修、試験検査、試運転および設備の増設・改造作業時に実施され、作業者の安全確保、他系統への波及の防止、設備の保護の点から重要な作業であり、定検時にはアイソレーション件数が延べ2万件以上にも及ぶ。

9.保守支援システム
 今まで開発した各システムのデータベース、「ふげん」のプラント停止を頂上事象としたフォールトツリーおよび保守担当者が有する専門的知識をデータベース化することによって、プラントの保守業務を高度化するシステムで、故障発生時に原因推定、保守方法の支援、故障によるプラントへの影響および予備品等の状況等の情報を提供し、最適な保守方法、保守計画をAI手法により支援する機能を有する。

10.まとめ
 「ふげん」では、保守管理の技術と経験および最新の計算機利用技術をを用いて、保守管理の各システムの開発・運用を実施し保守管理技術の高度化を図ってきた。これによって保守管理における信頼性の向上、業務の省力化および処理の迅速化を達成してきたが、計算機技術の発展に伴って今後さらにその応用範囲を拡大して一層の保守管理技術の高度化を推進する。
<図/表>
表1−1 「ふげん」定期検査の主要実施内容(その1)
表1−2 「ふげん」定期検査の主要実施内容(その2)
表2−1 第7回定期検査実施工程表(その1)
表2−2 第7回定期検査実施工程表(その2)
図1 保守管理システムの構成図
図2 アイソレーションの処理フロー

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<関連タイトル>
新型転換炉のプラント構成 (03-02-02-04)
新型転換炉の炉心冷却系の化学除染法の開発 (03-02-04-01)
新型転換炉のプラント運転管理技術の高度化 (03-02-04-02)
新型転換炉の供用期間中検査技術開発 (03-02-04-04)

<参考文献>
(1) 動燃技報 : No.69 1989. 3. 「ふげん」特集 動力炉・核燃料開発事業団
(2) 新型転換炉原型炉「ふげん」技術成果の概要:1991. 8.  動力炉・核燃料開発事業団
(3) 新型転換炉技術成果報告会 予稿集:H 3.12.18. 動力炉・核燃料開発事業団
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