<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 地球環境問題
<小項目> 地球温暖化問題と対策
<タイトル>
エネルギー源と排出係数 (01-08-05-05)

<概要>
 化石燃料の燃焼によって発生する大気汚染物質には硫黄酸化物、窒素酸化物及び二酸化炭素等がある。このうち、硫黄酸化物と窒素酸化物については、わが国では厳しい規制が行われており、硫黄酸化物の環境放出抑制は世界で一番の実績を挙げている。各エネルギー源からの温室効果ガスの排出及び環境への影響について示す。「地球温暖化防止計画」で対象とする主要な排出ガスを対象とする。
 硫黄酸化物と窒素酸化物などの大気汚染物質については、種々の排出抑制対策が採られているため、大気中に放出される排出係数(放出係数)は年々低下している。
<更新年月>
2005年06月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.排出係数と排出量
 各種の燃料は燃焼によって直接、二酸化炭素を大気中に放出する。電気の使用は直接的に二酸化炭素を放出するものではないが、発電段階で化石燃料が使用されれば、二酸化炭素が放出される。このような活動の1単位(たとえば電気1kWhの使用、都市ガス1m3の燃焼など)あたり排出される温室効果ガス排出量を排出係数という。たとえば、電気の使用に伴う二酸化炭素の排出量は次式で求められる。
  二酸化炭素排出量(kg−CO2
   =電気使用量(kWh)×電気使用に係る排出係数(0.384kg−CO2/kWh)
 排出係数としては、国が「地球温暖化対策に関する法律」に基づいて算出・公表した値が用いられる。その値はその時々の技術的状況によって変化するので、年度ごとに排出係数を算出することが定められている。
2.温室効果ガスの排出係数
1) 二酸化炭素
 国内で実際に供給・使用されている燃料についての二酸化炭素の排出係数の年次変化を表1に示す。石炭については、炭種ごとの排出係数を一次エネルギー総供給量で加重平均した値を用いている。石油製品については、製品ごとの排出係数を一次エネルギー国内供給量で加重平均した値を用いている。厳密には燃料の不完全燃焼により、炭化水素、一酸化炭素、煤塵等の形で放出される炭素分があるが、ここではそれを差し引いてはいない。この表の値に、それぞれの国内供給量を乗じることにより、それぞれの燃料種から排出される二酸化炭素の量が求められる。その際、石炭からコークスを作るときの原料の炭素分、及び非エネルギー用途に使用される炭素分は控除する。2003年度一次エネルギー国内供給量から得られる、わが国の化石燃料の燃焼等による二酸化炭素排出量は12億5900万トン、1人当たり9.87トンである。部門別の排出量を図1に示す。
2)メタン
 メタンは燃料や廃棄物の不完全燃焼、化石燃料採掘に伴う漏出、及び農業、廃棄物埋め立て、下水処理等の有機物の分解によって発生する。表2-1および表2-2に各種燃料の燃焼に伴う排出係数の年次変化を示す。2003年度のメタン排出量は1930万トン(二酸化炭素換算)であり、基準年と比較して22.1%減少し、前年比1.2%減である。基準年からの減少には石炭採掘に伴う排出量の低下が寄与している。メタンの部門別排出量を図2に示す。
3)一酸化窒素(N2O)
 一酸化窒素は各種燃料の燃焼や硝酸やアジビン酸を用いる化学産業、また廃棄物の燃焼等により発生する。表3-1および表3-2に燃料の燃焼に伴う排出係数の年次変化を示す。2003年度の一酸化ニ窒素の総排出量は3460万トン(CO2換算)で、その内訳は図3のようになっている。燃料の燃焼による量は全体の約3割である。
4)ハイドロフルオローカーボン(HFC)等3ガス
 ハイドロフルオロカーボン類(HFCs)、パーフルオロカーボン類(PFCs)および六フッ化硫黄(SF6)はHFC等3ガスとして分類される温室効果ガスである。燃料の燃焼に伴って発生するものではないが、参考として図4に発生源別内訳を示す。2003年度の総排出量はCO2換算で2580万トンである。
5)硫黄酸化物(SOx
 各種燃料の燃焼により発生する硫黄酸化物は酸性雨の原因となっている。1999年度における固定発生源からの硫黄酸化物の総排出量は2億2千万立方メートル(62万9千トン)であった。排出量の内訳を図5に示す。また、硫黄酸化物の排出係数を表4に示す。
<図/表>
表1 各種燃料の燃焼に伴う二酸化炭素排出係数の年次変化
表2-1 各種燃料の燃焼に伴うメタン排出係数の年次変化(1/2)
表2-2 各種燃料の燃焼に伴うメタン排出係数の年次変化(2/2)
表3-1 各種燃料の燃焼に伴う一酸化二窒素の排出係数の年次変化(1/2)
表3-2 各種燃料の燃焼に伴う一酸化二窒素の排出係数の年次変化(2/2)
表4 硫黄酸化物の排出係数(現状固定)
図1 国内における二酸化炭素排出量の部門別内訳(2003年度)
図2 国内におけるメタン排出量の部門別内訳(2003年度)
図3 国内における一酸化ニ窒素排出量の部門別内訳(2003年度)
図4 国内におけるHFC等3ガス排出量の部門別内訳(2003年度)
図5 硫黄酸化物排出量内訳(固定発生源)(1999年度)

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<関連タイトル>
発電システムのライフサイクル中の環境汚染ガスの排出量(1995年電力中央研究所) (01-08-01-09)
アジア地域におけるCO2排出量の予測(科学技術政策研究所) (01-08-01-10)
アジア地域におけるNOx排出量の予測(科学技術政策研究所) (01-08-01-11)
アジア地域におけるSOx排出量の予測(科学技術政策研究所) (01-08-01-12)
温室効果ガス (01-08-05-02)
酸性雨の発生原因 (01-08-01-21)

<参考文献>
(1) 環境庁地球環境部(編):温暖化する地球・日本の取り組み、大蔵省印刷局発行(1994年12月)
(2) 通商産業省(編):エネルギー’96、(株)電力新報社(1996年7月)p64-73、p224-239
(3)環境省ホームページ:平成14年度温室効果ガス排出量算定方法検討会、温室効果ガス排出量算定方法に関する検討結果(2002年8月)、http://www.env.go.jp/earth/ondanka/santeiho/kento/h1408/index.html
(4)環境省(編):環境白書 平成16年版、(株)ぎょうせい(2004年5月)
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