<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 地球環境問題
<小項目> 地球環境問題への取り組み
<タイトル>
環境問題に関する国際会議(国際的取組み) (01-08-04-07)

<概要>
 現在、多くの地球環境問題がある。いずれも、重大な問題であるが、中でも、地球温暖化のようにエネルギー使用と関係した一刻も等閑にできない問題がある。このような問題への全世界の関心は、先人達の努力によって、漸く、地球規模で真剣に取組みが考えられる様になってきた。ここでは、地球温暖化に関する「気候変動枠組み条約」が締結(1992年)されるまでの先人の努力の跡をたどり、併せて、地球環境問題への国際的取組みの現状を示すことにする。
<更新年月>
2004年09月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
1.地球環境問題とは
 地球環境問題とは、一般に(1)被害、影響が一国にとどまらず、国境を越え、ひいては地球規模にまで広がる環境問題、(2)わが国のような先進国も含めた国際的な取り組み(政府開発援助等)が必要とされる開発途上国における環境問題、この2つの条件のいずれか、またはその両方を満たす問題が地球環境問題とされている。現在、このような観点から問題とされているのは、以下のものである。
(1)気候変動(地球温暖化)
 石炭・石油等の化石燃料の燃焼等により、二酸化炭素(CO2)など温室効果ガスの大気中濃度が上昇し、この結果地域規模の気温上昇、ひいては気候の変動を生じる問題。
(2)酸性雨
 大気中に放出された硫黄酸化物(SOx)、窒素酸化物(NOx)等が雲や雨滴に溶解し、酸性化した雨が地表面に降下することにより、森林の破壌・魚介類の死滅、文化財・建造物への被害をもたらす問題。
(3)オゾン層破壊問題
 冷媒、洗浄剤、噴射剤等に幅広く利用される天然には存在しない化学物質であるCFC(クロロフルオロカーボン)等が成層圏まで上昇し、オゾン層を破壊する問題。
(4)有害廃棄物の越境移動
 有害廃棄物の越境移動の国際的枠組み、いわゆるバーゼル条約が1993年に発効した。わが国でも「特定有害廃棄物等の輸出入等の規制に関する法律」が施行された。
(5)海洋汚染問題
 船舶事故等に伴う油等の流失、河川・海洋からの重金属等有害物質の流出、廃棄物の海洋投棄等による海洋汚染が等の問題。
(6)森林破壊問題
 焼畑移動耕地による過度の火入れ、農牧地への転用、不適切な森林伐採等により、世界で毎年1700万ha(本州の面積の約半分)の熱帯林が減少しつつある問題。
(7)砂漠化問題
 乾燥地において干ばつのほか、過放牧、過耕地、薪炭材の採取等の人為的要因が加わり、世界で毎年600万ha(九州と四国を併せた面積)の砂漠化が進行している問題。
(8)野生生物種減少問題
 現在科学的には150〜160万種、推計では5000万種ともされる野生生物種が、開発行為等による生息環境の破壊、人間による乱獲等により急速に絶滅しつつある問題。
(9)発展途上国の公害問題
 発展途上国の公害問題は、発展途上国における経済活動の活発化や都市への人口集中にともない深刻化してきている。経済成長と環境保全の調和をいかにして図るかが極めて重要な問題となっている。
(10)従来型産業公害問題及び自然生態系環境問題
 国内の従来型産業公害問題及び自然生態系環境問題については、1980年代までに、大気汚染、水質汚濁等の典型的七公害については危機的状況を脱した。また、「環境基本法」が1993年に施行されるなど、自然環境保全も含めた取り組みが示された。今後も各種法律の改正、規制の強化が行われる。
(11)廃棄物問題
 廃棄物問題は、経済社会活動の活性化、ライフスタイルの変化による廃棄物の排出量の急激な増加、種類の多様化、処理施設・処分場の不足等、深刻化している。
2.地球温暖化問題とは
 地球環境問題の中でも、地球温暖化問題が世界の最重要課題の1つとして近年大きく取り上げられている。地球温暖化問題は、二酸化炭素、メタン、亜酸化窒素、代替フロン等の温室効果ガスの大気中濃度が上昇し、これにより地球規模で気温が上昇するとされている問題であり、気温の上昇にともない、海面上昇、降水分布の変化等を生じ、生態系、社会・経済、生活環境への影響が懸念されている。
 温室効果ガス別にみると、二酸化炭素は化石燃料の燃焼と焼畑や燃料用森林伐採等に伴って発生し、代替フロンはエアゾール噴霧剤・溶剤・冷却剤として生産され、メタンは農業、家畜飼育、石炭採掘に、亜酸化窒素は農業活動に伴って発生するなど、それぞれ増加している。温室効果ガスの約7割は二酸化炭素が原因であり、そのうち約8割程度が化石燃料消費により発生するといわれている。したがって地球温暖化問題は、エネルギー問題、ひいては、世界全体の生活や経済活動の根幹にかかわる問題であるといえる。
 産業革命以前は、温室効果ガスの量は比較的安定していたが、革命以後、世界の人口増加、工業化の進展、農業の発展につれ、温室効果ガスの量は著しく増加した。温室効果ガスの増加による影響については、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)評価報告書(第一次1990年8月、第二次1995年12月)によると、今後、温室効果ガス排出抑制がほとんどあるいは全くなされない場合は、温室効果ガス濃度は、2025年に約2倍、21世紀末には4倍に増加し、これによる気温上昇は21世紀末には約2℃上昇すると予測されている。また、温室効果ガスの大気中濃度の安定化には、二酸化炭素排出量は60〜80%、メタンは15〜20%の削減が必要とされている。さらに、気温上昇にともない、21世紀末には海面は約50cm上昇すると予測されている。このような地球温暖化にともなう海面上昇による沿岸・河川の洪水、地滑り、暴風雨、台風等の気候変化、熱波による死亡、伝染病の増加、森林分布の変化等、生態系への影響が懸念される。
3.気候変動枠組条約成立に関する国際的な動き
 環境問題に関する全世界的な最初の取り組みは、1972年にスウェーデンのストックホルムで開催された「国連人間環境会議」である。この会議は、世界114か国が参加し、国連の専門機関などと合わせ、1300人を超える代表者が集まるという全世界的な会議であった。この会議で採択された「人間環境宣言」および「行動計画」を受けて、後に国連において環境問題を専門的に取り扱う機関としての「国連環境計画(UNEP:United Nations Environment Program)」が創設(1972年12月)された。
 1972年、ローマクラブが「成長の限界」を発表し、地球上の資源が有限であることを指摘し、地球的規模の問題に対する関心が高まった。
 1980年7月、米国政府は「西暦2000年の地球」という報告書を発表した。これは、20世紀末までの地球環境の変化について検討・予測し、地球環境が陥るであろう危機的状況について詳細に記述し、世界的に大きな反響を呼んだ。わが国でも、これに呼応して、1980年9月「地球規模の環境問題に関する懇談会(地球懇)」が設置された。
 1984年5月に、委員個人、自由な立場で討議を行う「賢人会議」として、「環境と開発に関する世界委員会(WCED:World Committee on Environment and Development)」が設立され、1987年2月の最終会合において、「東京宣言」が採択された。1987年4月に公表した報告書「Our Common Future(地球の未来を守るために)」は、環境保全に立脚してこそ長期にわたる持続可能な開発が可能であるという基本的な考えの下に、その中心的理念として「持続可能な開発(sustainable development)」を提示した。
 WCEDの報告書は、1987年末の国連総会決議で支持され、今後いかにして「持続可能な開発」の理念の具体化を図るかが、各国政府や国際機関の課題とされるようになった。
 その後、地球温暖化に関する国際的な取り組みのきっかけとなったのが、1988年6月にカナダのトロントで開催された「大気変動問題に関する国際会議」である。この会議は、同月のトロント・サミットに引続き、カナダ政府の主催により、300人以上の専門家の参加により開催された会議である。この会議では、まだ科学的知見の集積の段階であった地球温暖化問題に対して、温暖化は既に進行しており、もはや行動の時であるとして緊急の行動を提唱した。
 このような国際的な議論の高まりの中、WMO(World Meteorological Organization:世界気象機関)とUNEP(国連環境計画)は、地球温暖化問題について世界各国の専門家たちにより取り組みを進めていく場として1988年に「気候変動に関する政府間パネル(IPCC:Intergovernmental Panel on Climate Change)」を設立した。そして、(1)科学的知見、(2)環境的・社会経済的影響、(3)対策ストラテジー、の3つの作業部会を設立した。このIPCCはまさに現在の世界における地球温暖化への取り組みを先導しているものである。
 こうしたIPCCの取り組みと並行して、各国においても次々と温暖化問題を中心として国際会議の開催が計画された(表1)。例えば、1988年11月には西ドイツのハンブルグで「気候と開発に関する国際会議」、1989年2月にカナダのオタワで「大気保全に関する法律・政策専門家会合」、3月にはオランダのハーグでフランス・オランダ・ノルウェーの3首相の主催による「環境首脳会議」、そして11月にもハーグ近郊でオランダ政府の主催により温暖化に関する環境大臣レベルの会議が開催されるなど、国際会議が目白押しといった状況であった。
 この時期には、オゾン層の破壊に対する国際協議が最終段階に到っており、1990年6月、ロンドンで開かれたモントリオール議定書第2回締約国会議では、5種類の特定フロン等が規制物質に追加され、これら物質の生産を2000年までに全廃することが採択された。1992年の議定書第4回締約国会議では、さらに規制が強化され、スケジュールの前倒しが採択された。
 温暖化問題に関しても、具体的規制措置に関する国際的合意に向けての協議が本格化し、1990年7月のヒューストンサミット(アメリカ)において、気候変動に関する枠組み条約の1992年までの策定が確認された。また、1990年8月には「気候変動に関する政府間パネル」第4回会合が開かれ、第1次評価の結果が報告された。
 1990年11月のジュネーブにおける第2回世界気候会議において、地球温暖化防止に取り組むことに合意した閣僚宣言が出され、条約交渉開始の必要と今後の取り組みが議論された。これを受けて、1990年12月、国連内に、「気候変動に関する枠組み条約交渉会議」が設立された。以来、6回の交渉会議が開催され、1992年5月9日、「第5回気候変動に関する枠組み条約交渉会議再開会合」の最終日に「気候変動枠組み条約」が採択された。さらに、1992年6月、国連環境開発会議(地球サミット)が、リオデジャネイロで開催され、「気候変動枠組み条約」の署名が開始された。
 1994年3月「気候変動枠組み条約」が発効し、第1回締約国会議(COP1:the Conference of the Parties of the United Nations Framework Convention on Climate Change−1 )が1995年3月〜4月にベルリンで開催された。COP1では2000年以降の温室効果ガスの抑制対策の妥当性について議論され、1997年の第3回締約国会議(COP3、日本、京都)までに検討を終えることとを定めたベルリンマンデート(ベルリン決議)が採択された。その後、ベルリンマンデートに関するアドホックグループ(AGBM)の会合が重ねられ、1996年7月のCOP2(ジュネーブ)を経て、1997年12月に京都で開催されたCOP3(温暖化防止京都会議)においていわゆる京都議定書が採択されるに至った。
 京都議定書では、枠組み条約の附属I国(OECD諸国および市場経済移行諸国)を対象として温室効果ガスの排出削減目標が定められ、また、先進国間の「共同実施排出権取引」、発展途上国との間の「クリーン開発メカニズム」など、排出削減を合理的かつ容易にする柔軟性措置の導入が合意された。
 表2にCOP3(京都議定書採択)以後の地球温暖化国際取組みを示す。
4.1985年以降締結されている地球環境関連条約
 表3-1表3-2に1985年以降締結されている地球環境関連条約及び条約の要点を示す。
・オゾン層保護については「オゾン層の保護のためのウィーン条約」(1985年)及びこの条約に基づく「オゾン層を破壊する物質に関するモントリオール議定書」(1987年)が採択され、一定の種類のCFC及びハロンの生産量等の段階的な削減を行うことが合意されている。その後、従来の予測を超えてオゾン層の破壊が進んだため、1990、1992、1995、1997年及び1999年にモントリオール議定書の改正等によって、CFC等の生産全廃までの規制スケジュールを早めたり、新たに規制物質を追加する等、規制が強化されてきた(表4)。現在の規制スケジュールは、表5に示すとおりである。その他の地球環境問題の国際的取組は表6-1表6-2に示すとおりである。
<図/表>
表1 1999年までの主な地球環境問題国際会議
表2 COP3(京都議定書採択)以後の地球温暖化国際的取組み
表3-1 地球環境関連条約(1/2)
表3-2 地球環境関連条約(2/2)
表4 オゾン層破壊問題に対する国際的取組
表5 モントリオール議定書に基づく規制
表6-1 地球環境問題に対する主な国際的な取り組み(1/2)
表6-2 地球環境問題に対する主な国際的な取り組み(2/2)

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
京都議定書(1997年) (01-08-05-16)
生物の多様性に関する条約 (01-08-04-16)
オゾン層保護に関する条約 (01-08-04-17)
バーゼル条約 (01-08-04-18)
砂漠化対処条約 (01-08-04-19)
ワシントン条約 (01-08-04-20)
ラムサール条約 (01-08-04-21)
ロッテルダム条約 (01-08-04-22)

<参考文献>
(1) 地球環境研究会(編):三訂 地球環境キーワード事典、中央法規出版(株)、(2001年2月)、p.16-17
(2) 環境省(編):環境白書 平成13年版、(株)ぎょうせい(2001年5月29日)、p.46-57,p.147-153,p.223-227
(3) 環境省:ようこそ国際環境協力のページ、報道発表資料、http://www.env.go.jp/press/index.html、地球環境・国際環境協力、http://www.env.go.jp/earth/index.html、(2002年1月17日)
(4) 外務省:分野別外交政策,地球環境,http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/index.html
(5) 環境省:平成16年度環境白書、第2部第1章、http://www.env.go.jp/policy/hakusyo/h16/html/index.html
(6) 資源エネルギー年鑑編集委員会(編):2003/2004 資源エネルギー年鑑(2003年1月),p.67-69
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