<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 世界のエネルギー情勢
<小項目> 世界のエネルギー需給
<タイトル>
主要国のエネルギー計画 (01-07-02-09)

<概要>
 主要国は従来のエネルギー供給量の確保に加え、近年では環境問題も考慮してエネルギー計画を立てている。原子力発電に対する政策は国によりさまざまであり、アメリカ、ドイツでは原子力が減少し、中国では増加する見通しである。
<更新年月>
2004年02月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 エネルギー供給構成を表1に、主要国のエネルギー別、用途別消費量を表2に、主要国の発電電力量の構成を表3に、それぞれ示す。
1.アメリカ
 エネルギー省(DOE:Department of Energy)エネルギー情報局が発表した「エネルギー見通し2004年版」(Annual Energy Outlook 2004)によると、エネルギー消費全体の見通しでは、2025年までは年平均1.5%で増加するとしている。そのうち、家庭用と産業用は低い伸びにとどまるが、業務用と輸送部門では大きな増加が予想されている。発電燃料については石炭火力とコージェネ発電を主体とする天然ガスが伸び、石油は天然ガスに押されて減少する。原子力は2025年までにわずかな増加にとどまるとしている。これは、電力事業への競争原理導入、過去の原子力プラントヘの投資資金の回収問題などで、新規原子力プラント建設へのインセンティブが無いことが背景にあるとされている。この様な原子力発電の減少と再生エネルギー開発の遅れのため、アメリカのエネルギー生産に伴う二酸化炭素排出量は増加の一途をたどり、2020年には現状の約40%増が見込まれている。アメリカはすでに世界の二酸化炭素の約1/4を放出している。京都議定書では2010年に1990年時点の水準から7%温室効果ガスを減少させることを公約したが、ブッシュ政権は2001年3月に京都議定書からの離脱を発表している。
 エネルギー関連予算は90年代初期に急増し、その後クリントン政権下ではほぼ横這いを維持している。99会計年度のエネルギー省全体の歳出予算をみると、環境回復のための予算が突出しており、エネルギー省の最重要任務であることが分かる。
 アメリカの原子力政策の当面の重要課題は、高レベル放射性廃棄物(使用済み燃料)処分、核不拡敵、環境回復である。研究開発では、商用炉の寿命延長などは産業界に委ねられ、政府支援は安全、核不拡散、低コスト、低環境負荷放射性物質のエネルギーを目指した未来志向型の活動へ衣替えしようとしている。産業界では、電力規制緩和によって、原子力と他電源との競争が高まり、西欧勢も参加した業界の再編の動きが始まっている。
 クリントン政権の発足当初は、核不拡散を最優先課題とし、エネルギーについては原子力を重視せず「再生エネルギーを重視」していたが、政権の2期目では、原子力に対する政権の取り組みが徐々に変わり、地球温暖化防止、輸入石油への依存などの現実から、「原子力をエネルギー源選択のオプションとして残す」方向へと政策は変わってきた。
 最後に、エネルギー情報は、ホームページでも迅速に公開され、国の事業に対する納税者の支援を取り付ける手段ともなっている。原子力批判派も公開情報を基に政府の計画に意見を出すため、政府の委員会に批判派の代表を送るなど、その運営方法にも変化が生じている。
2.カナダ
 カナダは、石炭、石油、天然ガス、ウラン、また特に水資源に恵まれたエネルギー輸出国であり、アメリカ、ロシア、中国、サウジアラビアに次ぐ世界第5位のエネルギー生産国である。豊富なエネルギー資源を有するカナダにとって、エネルギー生産による経済活動は非常に重要で、1998年にはGDP(Gross Domestic Products:国内総生産)の約8%を占めるに至っている。カナダは、世界最大級のウラン生産国であり、1997年には、全世界のウラン生産量の約33%を生産し、その88%が国外の市場へ輸出される。
 カナダは水資源にも恵まれた国であり、1996年の総発電電力量(54万7781GWh)のうち、水力発電による電力が約2/3も占めている。エネルギー政策上、発電に関する重要問題の1つは、規制緩和および競争導入が進みつつある電力市場での発電コストである。
 原子力については、現在22基の運転中商用炉があり、全てがカナダ型重水炉(CANDU炉:Canadian Deuterium and Uranium Reactor)である。CANDU炉は、天然ウランを燃料とし、減速材および冷却材に重水を用いる。このCANDU炉の利用は国策となっており、これを輸出する可能性もある。
3.イギリス
 イギリスは北海油田を持つことにより、エネルギー輸出国であることが大きな特徴となっている。
 サッチャー政権による国有企業の民営化政策が進められ、1990年には原子力を除く電気事業において民営化や卸電力市場の導入などが実施されている。電気事業においては、近年、北海ガス田の開発によりコンバインド・サイクル・ガス火力の比重が高まっている。そのため、1990年に総発電電力量の65%を占めていた石炭火力が2000年には33%まで減少し、低下するものとみられている。これに対し、1990年時点で1%に過ぎなかった天然ガス火力の発電シェアは、1997年には27%に増加、2000年には39%に達している。こうした状況の下、政府は1998年に石炭産業の失業増加やエネルギー安全保障上の理由から、新規の天然ガス火力発電所の建設規制を打ち出した。
 また、イギリスでは、1956年に運転を開始したコールダーホールをはじめとして、過去に多くの原子炉の開発が行われており、現在も総発電電力量の2割強を原子力発電が占めている。
4.フランス
 フランスのエネルギー政策の特徴は原子力発電の積極的な利用である。エネルギー資源に乏しいフランスは、1973年の第1次石油ショックを契機に石油への依存を軽減させるため、国内資源の開発・省エネルギー・エネルギー源の多様化を3本柱とするエネルギー政策を進めてきた。特に、原子力発電については1974年に「今後、新規電源開発は全て原子力発電所で対応する」との方針を打ち出し、以後、軽水炉の建設が急ピッチで進められた。このため、原子力発電所の設備容量はアメリカに次ぐ世界2位、総発電電力量に対する原子力発電のシェアは約3/4となり、電力輸出が貿易黒字に貢献している。2002年12月末現在、フランスで運転中の原子力発電所は59基(合計出力:6595万kW)である。さらに、世界最大のMOX燃料利用国でもある。
 また、フランス核燃料公社(COGEMA)は、カナダのCAMECO社に次ぐ世界第2位のウラン生産者で、そのシェアは世界の20%を占め、再処理事業もイギリス原子燃料会社と並ぶ世界最大の再処理能力を有している。
 ただし、1997年に実施された総選挙を受け、誕生したジョスパン新首相(社会党)は、1997年に就任演説で高速増殖炉(FBR:Fast Breeder Reactor)の実証炉スーパーフェニックス(124万kW)の閉鎖方針を明らかにし、1998年に同炉の即時閉鎖を決定した。スーパーフェニックスの閉鎖が決定した一方、政府は大改造を終えたFBR原型炉フェニックス(25万kW)の運転を再開させ、各種の研究を行うと発表し、1998年に同炉は運転を再開した。
5.ドイツ
 ドイツにおける大きな問題は脱原子力政策に関するものである。
 総発電電力量に対する原子力発電のシェアは約3割であり、2002年12月末現在、14か所の原子力発電所で19基が運転中であり、平均設備利用率も高い水準を維持している。しかしながら、1998年の連邦議会(下院)総選挙で、社会民主党(SPD)が勝利をおさめ、緑の党との連立政権が発足した。連立内閣の発足にあたって、将来的には原子力発電所を廃止する方針が連立協定に盛り込まれた。これに対して、原子力産業界は強い反対姿勢を示した。欧州原子力産業会議(FORATOM)は「ドイツにおける過去40年間の原子力研究・技術開発を水泡に帰すばかりか、電気料金の値上げや二酸化炭素排出量の増加をもたらす」と強く非難し、政府に対して、原子力産業界と協議し、原子力発電も含めた現実的な長期的エネルギー・環境政策を策定するよう求めている。
6.スウェーデン
 スウェーデン政府は、1980年の国民投票結果を受け、2010年までに12基の原子力発電所をすべて閉鎖すると決定したが、電力供給や経済・雇用への影響が大きいため、実質的に脱原発政策は凍結されていた。スウェーデンの主な7つの政党の原子力政策をみると、社民党、中央党、左翼党、キリスト教民主党、緑の党が脱原発政策を支持、穏健党が安全上の問題がない限り原子力発電所の運転継続を容認、自由党が原子力発電に代わる代替エネルギーが開発されるまでの原子力発電所の運転継続を容認している。1999年4月中旬に発表された世諭調査によると、政府の脱原発政策を支持するのは20%、安全上の問題がない限り原子力発電所の存続を支持するのは47%である。
7.中国
 中国の一次エネルギー消費量は、1980年以降5%前後の伸び率で推移し、現在の年間の総供給量は約900MTOE(100万石油換算トン)である。エネルギー源は豊富で、中でも石炭は生産・埋蔵量とも極めて豊富で、1998年にはおよそ12億3600トンが生産された。また、新規に開発される油田、ガス田の数も少なくない。しかし、石油については5年以上前から輸入国に転じている。燃料別にみると、石炭が全体の75%と圧倒的に多く、次いで石油、ガスと続いている。1998年の総発電設備容量は、2億7000万kWを上回り、アメリカに次いで世界第2位だが、国民1人当たりの発電設備容量はわずか0.18kWと、世界平均の1/3以下にとどまっている。
 高い経済成長を背景に、政府は、総発電設備容量を2000年に2億9000万kW、2010年には2倍の6億kW,2020年には8億kWまで拡大する計画である。石炭や水力資源に恵まれているが、中国内陸部に偏在し、消費地である沿海部から遠いため莫大な費用を要する送電網の整備が必要となり、石炭には排出ガスによる環境問題があるため、現状のままの利用拡大には限度がある。そのような中で原子力発電には、安価でクリーンなエネルギー源として大きな期待が寄せられ、政府は2010年の原子力発電設備容量を約2000万kW、2020年には約3000万〜4000万kWまで拡大する方針で、今後20年間、同国が世界最大の原子力市場となることが予想されている。
<図/表>
表1 主要国のエネルギー供給構成(2000年)
表2 主要国におけるエネルギー別、用途別消費量(1999年)
表3 主要国の発電電力量の構成(2000年)

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<関連タイトル>
国際エネルギー情勢と今後の展望 (01-07-02-01)
世界の原子力発電の動向(2005年) (01-07-05-01)

<参考文献>
(1)日本原子力産業会議(編):原子力年鑑1999/2000年版(1999年10月)、p.277-404
(2)通商産業省(編):エネルギー2003、電力新報社(2002年11月)、p.230、238
(3)資源エネルギー庁石油部(監修):平成14年 石油資料、石油通信社(2002年10月)、p.104-105
(4)DOE:Annual Energy Outlook 2004
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