<大項目> エネルギーと地球環境
<中項目> 世界のエネルギー情勢
<小項目> 世界のエネルギー需給
<タイトル>
国際エネルギー情勢と今後の展望 (01-07-02-01)

<概要>
 世界のエネルギー需給は、第二次石油危機以降は緩和している。経済成長が緩やかになったこと、脱石油の政策が各国で効果を上げていることなどにより、石油の消費が抑制されているためである。石油の代替エネルギーとなっている石炭、天然ガス、それに原子力の燃料であるウラニウムの価格も低い水準にある。しかし、発展途上国の経済発展等の影響により今後のエネルギー需給は再び逼迫してくる恐れがあり、近年OPECの生産調整により原油価格が高騰するなど、不安定要因も多い。
<更新年月>
2004年02月   

<本文>
(a) 増加に転じた石油消費
 1986年の石油価格の急落以降、旧ソ連・中東欧諸国での需要の顕著な落ち込みにもかかわらず、エネルギー需要は急速に拡大してきた。世界のエネルギー消費は、1986年から1997年の間に約21%伸びており、1997年の石油生産は1988年に比較して日量743万バレル拡大している。特に発展途上国の需要の増加により増加の傾向は現在も続いている。
(b) 今後の石油市場
 石油危機で大きな影響を受けた各国は、脱石油政策とともに、石油の供給源をOPEC(Organization of Petroleum Exporting Countries:石油輸出国機構)以外の地域に分散させる方針を取った。そのため、世界の原油生産に占めるOPEC諸国の割合は落ち込んだ。アメリカや北海油田、メキシコなど非OPECの比重が増したためである(表1−1表1−2)。ところが、1986年ごろからの石油需要の増加とともに、再びOPEC依存度が上昇し始めた。非OPECの原油供給の伸びが頭打ちになっているためにOPECのシェアが高まってきた。しかし、原油価格は長い間低迷していた。これは原油価格が市場のメカニズムによって決まるためといわれていたが、近年OPECの生産調整により原油価格が高騰するなど、不安定要因も多い。
(c) エネルギー需要の拡大
 経済の動向にもよるが、エネルギー需要の伸びは続きそうである。特に東アジア地域を中心とした環太平洋地域でエネルギー需要の拡大は続くと考えられる。この地域には韓国、台湾、香港、シンガポールの他、中国、インドネシアがある。実際、日本を除くアジア地域のエネルギー消費の世界シェアは1986年の13.5%から2000年には21.0%に拡大している(表2−1表2−2)。また、東欧、アフリカ、インド等その他の発展途上国での人口増とエネルギー消費の相乗した大幅なエネルギー需要増が見込まれている。アメリカの国内産油量が減少に転じ、輸入が増加していること、および旧ソ連でも減産になり輸出が減っていること、などのためOPEC諸国への依存度が増加している。今後、アジア諸国の経済発展が予想され、また東欧諸国による需要増も考慮すると、場合によっては、第三次石油危機が起こる可能性もある。もっとも、先進国では国内備蓄が進んでいることや、原油価格が高騰すれば消費が抑制されるために、それほどの危機状態にはならないと見る意見もある。
(d) 地球環境問題
 石油危機直後の石油代替エネルギーの中心となったのは、石炭であったが、その後の中心は天然ガスと原子力である。その実績を世界の主要国で構成されるOECD(Organization for Economic Co−operation and Development:経済協力開発機構)の数字で見ると、1971年の世界の一次エネルギー供給の構成比は、石油49%、天然ガス18%、固形燃料(石炭等)30%、原子力1%であったが、1997年には石油41%、天然ガス22%、固形燃料(石炭等)26%、原子力7%となっている。問題は、この傾向がこれからも続くか、という点にある。発展途上国が期待するエネルギー源は原子力よりもまず化石燃料、なかでも石炭依存が大きいであろう。しかし、石炭の燃焼時の地球環境問題、すなわち、二酸化炭素の増加による地球温暖化が危惧されているなかで、これ以上の増加は難しい。もう一つ、SOx、NOxの排出に伴う酸性雨問題がある。天然ガスは着実にその比重を増していくことが予想されているが、原子力の比重は減少するものと予想されている(表3−1表3−2表3−3図1)。
(e) 新エネルギー
 太陽エネルギー、風力、波力、地熱などの技術開発が世界各国で行われている。しかし現在までのところでは、大きなシエアを占めるに至っていない。まずコストの問題が障壁となっている。また、エネルギーとして大規模に利用されるための条件(密度、プラントの保守の容易性等)が整っていない。したがって、今後も大きな比重を占めるとは予想されていない(表3−1表3−2表3−3図1)。
(f) 省エネルギー
 1980年6月に開催された第6回主要先進国首脳会議(ベネチア・サミット)において、主要国全体につき1990年にはエネルギー弾性値を0.6程度まで、また一次エネルギー需要における石油依存度を約40%まで低減させるという中長期の具体的目標が掲げられた。
 また、その後開催された先進国首脳会議でも一貫して、エネルギー供給の安定達成のための政策の必要性を説き続けてきた。先進各国では、これに従い、省エネルギー政策を重点施策として掲げ、各国とも目覚ましい成果をあげている(図2)。
<図/表>
表1−1 世界の原油生産実績(1/2)
表1−2 世界の原油生産実績(2/2)
表2−1 世界の一次エネルギー消費(1/2)
表2−2 世界の一次エネルギー消費(2/2)
表3−1 世界のエネルギー需給見通し(1/3)
表3−2 世界のエネルギー需給見通し(2/3)
表3−3 世界のエネルギー需給見通し(3/3)
図1 燃料別世界の一次エネルギー供給(1971〜2020年)
図2 GDPに対する世界の一次エネルギー供給の割合(1971〜2020年)

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<関連タイトル>
石油危機と世界 (01-06-01-01)

<参考文献>
(1)資源エネルギー庁長官官房企画調査課(監修):総合エネルギー統計 平成13年度版、通商産業研究社(2002年7月)
(2)資源エネルギー庁(監修):1999/2000資源エネルギー年鑑、通産資料調査会(1999年1月)
(3)日本エネルギー経済研究所エネルギー計量分析センター(編):EDMC/エネルギー・経済統計要覧2003年版、(財)省エネルギーセンター(2003年2月)
(4)通商産業省(編):エネルギー2003、電力新報社(2002年11月)
(5)OECD/IEA(編)、通商産業省資源エネルギー庁長官官房国際資源課(監訳):2020年世界のエネルギー展望1998年度版、通商産業調査会出版部(1999年9月)、p.18
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