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<概要>
 スウェーデンの原子力行政および開発体制については、従来、スウェーデンの原子力を含むエネルギー問題は産業省が所管し、1983年に同省にエネルギー庁が設置された。1986年に新しく環境・エネルギー省が設置され、産業省のエネルギー庁と農務省の環境保護庁が吸収された。また1990年1月9日にカールソン首相が環境・エネルギー省を改組し、環境問題および原子力安全規則を環境省に、エネルギー問題を産業省の所管に移す内閣改造を実施した。その後産業省は1999年12月末をもって産業・雇用・通信省に再編された。
<更新年月>
2002年01月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 環境省の管轄下に置かれている原子力発電検査局(SKI)と放射線防護機関(SSI)は原子力安全や廃棄物管理、放射線防護問題などを検討する責任を負った当局である。
こうした当局に加えて、核廃棄物審議会(KASAM)が1985年に設立された。KASAMは各省庁や政府に対し、核廃棄物問題について助言する独立した専門委員会である。
 環境省と規制、事業者の関係を 図1 に示す。
1.原子力発電検査局(SKI)
 SKIの基礎は、1956年に制定された原子力法のもとに原子力事項を取り扱う組織として設立された。1970年に、この組織は産業省のなかでより自由な位置にある組織となり、原子力産業の拡大に伴って職員を増強した。
 1974年7月にSKIとなり、原子力の安全研究、原子炉安全委員会(以前の原子炉設置委員会を改称)、保障措置委員会(新規に設置)および研究委員会(新規に設置)から構成され、より大きい権限をもつことになった。原子力発電設備容量の増大と、近年の安全要求のため、1981年7月に現在の組織に改められた。
 SKIは許認可、各種原子力施設での安全を促進し、核分裂が既存の法律および協定により取り扱われまた貯蔵されているかを確かめている。SKIの役割は、許認可を受けた組織が責任をとることを確かめることにある。また、原子力の安全分野における研究開発の開始、指導および評価を行う責任がある。このほかの重要な役割に、原子力の安全を公衆に知らせる責任がある。
2.放射線防護研究所(SSI)
 SSIは、1958年制定の放射線防護法の下で、規制および検査にたいして責任をもつ規制官庁である。SSIは、放射線防護基準の制定、規定による検査等を行っている。また、放射性物質の研究および放射線測定技術の開発に関する計画、モニタリング、および実施についての責任ももっている。
 核廃棄物の貯蔵や処分の安全評価・審査に関与するほか、より低いレベルの個体廃棄物のサイト内埋設や再加工などについて、許可権を行使することができる。
 また、原子力分野の緊急時準備計画にたいし全責任をもっている。
3.放射性廃棄物管理の資金調達
 原子力発電所を所有する電力会社は、放射性廃棄物や使用済み燃料の最終処分、原子力発電所のデコミッショニングに係る全てのコストを負担する責任を負っている。高レベル廃棄物の処分や将来のデコミッショニングにかかるコストをまかなうため、1981年以来、政府が管理する料金システムがSKIによって運営されている。毎年、SKIが提案し政府によって決定される料金は、原子力発電所で発電される単位電力量(kWh)当たりで決められる。
 徴収された料金は基金の中に入れられ、金利が積み立てられる。この料金の一部が、廃棄物の取り扱いや研究開発の支出に充てられる。この料金に加えて、原子力発電所を所有する電力会社は、基金が各種のコストをまかなうのに十分でないような不測の事態に備える義務を負っている。
4.広報
 SKIとSSIは、安全問題や放射線防護問題についての広報の責任を負っている。
 フォルスマルク、オスカーシャム、リングハルス、バーセベックの各原子力発電所は、サイトに広報センターを持っており一般に開放している。
<図/表>
図1 主な放射性廃棄物関係機関
図1  主な放射性廃棄物関係機関

<関連タイトル>
スウェーデンの原子力政策および計画(1987年まで) (14-05-04-01)
スウェーデンの原子力政策および計画(1988年以降) (14-05-04-02)
スウェーデンの原子力発電開発 (14-05-04-03)
スウェーデンの核燃料サイクル (14-05-04-05)
スウェーデンの電気事業および原子力産業 (14-05-04-06)
スウェーデンのPA動向 (14-05-04-07)
バーセベック原子力発電所廃止をめぐる動き (14-05-04-08)

<参考文献>
(1) 日本原子力産業会議:「OECD/NEA加盟国の放射性廃棄物管理計画」、原子力資料、No.299
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