<大項目> 海外情勢
<中項目> ヨーロッパ各国
<小項目> スウェーデン
<タイトル>
スウェーデンの原子力政策および計画(1987年まで) (14-05-04-01)

<概要>
 1973年から1974年にかけての石油危機が契機となり、1975年にエネルギー政策が決定された。スウェーデン国会は1985年までの新エネルギー政策を承認し、1985年以降の政策についてはさらに調査・研究を行い、1978年の国会で決定することになった。1979年3月28日に発生したスリーマイル事故が発生し、この影響を受けて1980年3月23日に原子力開発に関する国民投票が行われ、国民の大半が原子力開発は12基を超えて行わないことを支持した。
<更新年月>
1998年05月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 表1 にスウェ−デン国会の議席の推移を示す。
1.1976年9月の総選挙後における新政府のエネルギー政策
 1973年から1974年にかけての石油危機の後、1975年にスウェーデン国会は1985年までの新エネルギー政策を承認し1985年以降の政策については、さらに調査・研究を行い、1978年の国会で決定することになった。
 新エネルギー政策の骨子は、これまで総エネルギー消費に大きな比重を占めていた輸入石油への依存度を低減するために、エネルギー消費の増加を抑制することにあり、年間エネルギー消費増加率を1975〜1985年の間は2%、それ以降は0%とする目標が設定された。
 1976年9月に実施された総選挙において、政権の座にあった社会民主労働党が敗北し、選挙戦中原子力開発反対を主張した中央党が第1党となり、これに穏健党、自由党を加えた連立内閣が10月に発足した。新政府に加わった穏健党と自由党は、これまで前述の新エネルギー政策を支持してきており、新政府のエネルギー政策は中央党の主張をほぼ全面的に盛り込んだものであった。
 新政府のエネルギー政策は次のように要約される。
1)原子力に関しては、使用済燃料および放射性廃棄物の管理に大きい問題があるので、これが解決されなければ開発を中止する。
2)水力発電に関しては、未開発河川は自然保存のために開発を行わず、既開発河川の効率的利用に努力する。
3)石油火力発電に関しては、できるだけ早く発電を制限する。
4)エネルギー研究・開発は、太陽熱、風力、地熱等の再生エネルギー利用に主体をおく。
5)新エネルギー計画立案のために、エネルギーに関する調査・研究を行う特別委員会を設ける。
 1977年2月に新エネルギー計画立案のための特別委員会としてエネルギー委員会が発足した。この委員会の主要目的は、各種エネルギー需給ケースについて2000年までにわたり、経済、雇用、貿易、対外国関係、国民の健康および環境等に及ぼす影響を事前評価することで、調査・研究のエネルギー需給ケースは次の6ケースである。
1)原子力発電の廃止
2)石油使用の削減
3)国産エネルギーの最大利用
4)石炭の最大利用
5)天然ガスの最大利用
6)再生エネルギーの最大利用
 また、エネルギーの価格水準、価格体系等エネルギー消費に影響を与える要因の調査・研究も行う。

2.1980年の国民投票
 スウェーデンでは、米スリーマイル事故直後の1980年3月23日に、原子力に関する国民投票を行った。国民の大半が原子力開発は12基を超えて行わない(当時は6基を運転中)ことを支持した。
 その結果を考慮し1988年に作成した政策およびエネルギー長期計画の基本的な考え方は次の通りである。なお、原子炉の寿命は25年と評価されていたことから、政府は最後の原子炉廃止を2010年とし、それまでに段階的に廃止していくことを採択した。
1)石油依存度を1990年までに、40%以下に低減させる。
2)原子力は、運転中または建設中の12基に限定する。原子炉の寿命(25年)がきた時点で原子炉は廃止する。
3)北部の未開発4河川の開発は行わない。
4)ピートの利用技術の開発
5)バイオマス、太陽熱。風力等の開発

 しかし、原子力発電所の廃止は、エネルギー供給および雇用に重大な影響をもたらさないように実施することを前提として決めたものであったが、廃止の期日が目前に迫ってきているにもかかわらず、国は原子力の代替手段について如何なる決定的な方策を見いだしえなかった。水力は北部4河川での新しい開発が禁止されているので代替電源にはなり得ない。
 現在、クリーンな天然ガスに依存しようとの声が高まっているが、炭酸ガス抑制を決めた国で集中的に天然ガスを燃やすのは全く矛盾している。

 国民投票の結果
    原子力発電に反対:38.7%
    原子力発電を条件付容認:39.1%
    原子力発電を容認:18.9%
    無  効:3.3%
    合計投票率:75.6%
  国民投票自体はあくまで”アドバイス”にすぎず投票結果が自動的に国会や政府を拘束するものではない。しかし、原発問題の国民投票の際には政党間でその結果を尊重するという申し合わせがあったという。
<図/表>
表1 スウェーデン国会の議席の推移(1973-1994)

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<関連タイトル>
スウェーデンの原子力政策および計画(1988年以降) (14-05-04-02)
スウェーデンの原子力発電開発 (14-05-04-03)
スウェーデンの核燃料サイクル (14-05-04-05)
スウェーデンの電気事業および原子力産業 (14-05-04-06)
スウェーデンのPA動向 (14-05-04-07)
バーセベック原子力発電所廃止をめぐる動き (14-05-04-08)

<参考文献>
(1)海外電力調査会:「海外主要国の原子力開発に関する情報収集分析」成果報告書、1990年3月(科学技術庁1989年度科学技術調査資料委託調査資料)
(2)海外電力調査会:「海外主要国の電機事業第1編」、1993年12月発行
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