<大項目> 海外情勢
<中項目> アジア各国
<小項目> 韓国
<タイトル>
韓国の核燃料サイクル (14-02-01-05)

<概要>
 韓国では原子力発電の拡大に伴い、ウラン資源の需要が増大するとともに核燃料サイクル技術を拡充する必要性が高まっている。ウラン資源は全量を海外から輸入しており、カナダ、米国、ニジェール、オーストラリア、カザフスタン、ウズベキスタン等への海外探鉱投資やウラン鉱石供給の長期供給契約を積極的に結んでいる。ウラン濃縮については米国、フランス及びロシアから役務提供を受けているが、再転換は韓国電力公社傘下のKEPCO原子燃料(KNFC)で行っている。原子炉導入の当初は、CANDU炉燃料はカナダ原子力公社(AECL)から、PWR燃料はドイツのシーメンス社から輸入していた。しかし、国産技術の育成が行われた結果、CANDU炉燃料の成型加工を1987年から、PWR燃料の成型加工を1989年から開始した。成型加工はKNFCの、大田(デジョン)工場で行われており、現在すべての原子炉へ燃料を供給している。再処理は1991年11月、盧泰愚(ノ・テウ)韓国大統領の「朝鮮半島の非核化と平和構築のための宣言」の中で、再処理・濃縮施設保有の放棄を宣言している。
 なお、放射性廃棄物に関しては、使用済燃料処分サイトの選定は進展していないが、低中レベル放射性廃棄物に関しては月城(ウォルソン)発電所に近い慶州(キョンジュ)に岩盤空洞型処分施設を2006年から建設している。
<更新年月>
2012年01月   

<本文>
1.韓国のエネルギー事情
 韓国は国内エネルギー資源に乏しく、エネルギーの大部分を輸入に頼っており、海外依存率が約97.5%に達する。1960年代以降の経済成長に伴い、急激な需要増加に対応するため、安価で容易に入手可能な石油を主なエネルギー源としたが、1971年の第一次石油危機以降、電源の多様化と石油依存度の減少を図る政策を推進し、原子力、石炭、及び天然ガスによる発電を増加させた。
 1978年4月には、韓国最初の原子力発電所である古里1号機が営業運転を開始。以来、国策として原子力発電開発を積極的に進めている。2012年1月末現在、古里(Kori、PWR×4基)及び新古里(Shin-Kori、PWR×1基)、蔚珍(Ulchin、PWR×6基)、霊光(Yonggwang、PWR×6基)、月城(Wolsong、CANDU×4基)の4ヵ所のサイトで合計21基の原子炉が稼動している。
2.ウラン資源
 韓国では原子力発電の拡大に伴い、酸化ウラン(U3O8)の需要が2011年の4,500tから2020年には8,900tまで増加すると予測しているが、国内にウラン精錬所はなく、100%輸入に依存している。ウランの供給を安定的かつ経済的に確保するため、韓国水力原子力株式会社(KHNP)を中心に韓国企業が一体となって外国への探鉱投資やウラン鉱石供給の長期供給契約を結んでいる。その結果、韓国は2007年時点で鉱山権益を保有していなかったが、カナダのウラン生産者Denison Mines(デニソン・マインズ)からウランの20%(年平均300tU)の購買権を確保して、2010年時点で需要の3.4%まで増加した。探鉱段階の鉱山権益の確保はカナダのほか、米国、ニジェール、オーストラリア、カザフスタン、ウズベキスタンで順調に進んでいる。
 特に、韓国企業連合がカナダのフィションエナジーと提携して探鉱開発を進めているウォーターバリーレイク地域は、2008年に2万2000トンのウランが発見されたミッドウエスト鉱山に隣接しており、ウラン賦存量は大きい。また、韓国電力公社(KEPCO)がフランスAREVA社とパートナー契約を結んだニジェールのイモーラレン・ウラン鉱山は、アフリカ最大のウラン鉱山で、2013年からの操業を目指している(表1参照)。なお、韓国水力原子力会社(KHNP)は、戦略的インベントリとして、運転中の原子力発電所が約1年間運転するのに必要なウランのうち、約半分を海外の転換施設(ウラン精鉱を六フッ化ウランに転換する施設)で保有し、残りの約半分を成型加工施設で濃縮ウランとして保有している。
3.六フッ化ウランへの転換及び濃縮サービス
3.1 天然六フッ化ウラン及び濃縮六フッ化ウランの購入
 韓国原子燃料株式会社(KNFC)は、天然六フッ化ウラン及び濃縮六フッ化ウラン(2〜4重量%)を、主に米国DOE/米ウラン濃縮会社(USEC)(古里・霊光用)とフランスCOGEMA(現AREVA。古里・霊光・蔚珍用)から長期契約による濃縮サービスを受けてきた。また、1990年よりロシアのTENEX(アトムエネルゴプロム傘下の濃縮ウランの販売・役務会社)、欧州のURENCO、米国のUSECから年間1,800tSWU(2006年)の濃縮ウランを購入するなど、供給源の多様化を図っている。さらに2007年から、AREVA NCと長期濃縮役務契約を締結したほか、2009年にはAREVA社のトリカスタンのGeorges BesseII新濃縮プラントの株式の2.5%を取得した。1982年に設立した韓国原子燃料(KNFC)は韓国電力公社のグループ下に入り、名称をKEPCO原子力燃料(KNFCまたはKEPCO NF)に変更している。
3.2 PWRペレット用濃縮六フッ化ウランの二酸化ウランへの転換
 KEPCO原子燃料(KNFC)は大田(Daejeon、デジョン)にPWR用燃料ペレットを製造する転換・ペレット製造工場を1990年から操業している。転換方式は、当初湿式のAUC法を採用していたが、拡張プラント2ではより施設の設計が簡単で経済的なDC法を採用した。これは、濃縮六フッ化ウランを焼結可能な二酸化ウラン粉末に転換し、ホモゲナイザー(均質材)を入れて均質化し、高さ10mm、直径8mmの円筒状のPWR用燃料ペレットに焼結している。AUC法(Ammonium Uranil Carbonate Process:炭酸ウラニルアンモニウム法)についてはATOMICAデータ「六フッ化ウランから二酸化ウランへの転換(04-06-02-01)」参照。
 韓国の転換施設及び成型加工施設の概要を表2に示す。
4.燃料集合体の成型加工
4.1 成型加工の概況
 韓国は、米国のウエスティングハウス(WE)社から古里1〜4号炉(PWR(軽水炉))、カナダのAECLから月城1〜4号炉(CANDU炉(重水炉))を購入したが、政府の政策に沿って独自設計・建設に取組んでいる。CANDU炉燃料製造は、当初カナダの原子力公社(AECL)と提携し、国産化(設計・製造)は韓国原子力研究所(KAERI)により1987年に開始した。1989年に、KNFCがKAERIから受け継いで、CANDU炉燃料製造を始めた。PWR燃料に関しては、独シーメンス(KWU)と提携。KAERIは設計を、KNFCは製造を担当し、KNFC製造のPWR燃料は1989年に国内需要を満たすようになった(図1参照)。
 また、韓国では韓国標準型原子炉(OPR1000)及び韓国標準型炉の改良型PWR(APR1400)を導入しており、これに対応した燃料製造計画も進んだ。2002年には、OPR1000炉用燃料としてPLUS7TMが、2004年にはAPR1400炉用燃料としてACE7TMが開発され、2006年、2008年に商業化されている。また、2009年にはWE社との合弁企業(ジョイント・ベンチャー)としてKWN(KW Nuclear Components、出資率はKNFCが45%、WE社が55%)を設立した。KNFC大田工場でCE社設計の燃料集合体を製造し、新古里4号機(APR1400)以降の原子炉と米国CE社製PWRの燃料を供給する予定である。
4.2 ジルコニウム合金金属被覆管の製造
 韓電原子燃料(KNFC)は、韓国における共同技術開発、訓練、主要機器の設置、燃料被覆管製造工場の新設などを行う契約を、2004年12月11日に米国WE社と結んだ。この契約は、WE社がユタ州オグデンのジルコニウム工場からTREX(tube reduction extrusion)プロセス用原材料を8年間供給し、ペンシルバニア州ブレアスビル工場から燃料被覆管用材料を供給するほか、WE社が韓国に技術移転を行うことも含んでいた。燃料被覆管はジルコニウム合金を素材にウランペレットを入れる長い円筒形の金属管で、この金属被覆管を製造する核心技術に冷間ピルガリング技術が採用された。これは、TREXプロセスで成型した被覆管材料を用い、冷間加工と熱処理を繰り返すことにより外径と厚さを漸次縮小しながら長さ4mの細長い金属被覆管を製造する特殊加工技術で、2008年11月に大田燃料被覆管工場(年間生産量:1,400km)が完成し、2011年からWE社へ輸出を開始することになった。図2にKNFCの燃料集合体の製造工程を示す。
5.再処理
 1991年11月8日、盧泰愚大統領は「朝鮮半島の非核化と平和構築のための宣言」の中で、再処理・濃縮施設保有の放棄を宣言している。
6.韓国の放射性廃棄物管理
6.1 放射性廃棄物の基本方針と経緯
 韓国の放射性廃棄物は、低・中レベル廃棄物と高レベル廃棄物(主として使用済燃料)の2つのカテゴリーに分類される。放射性廃棄物管理の基本方針は次の通りである。
(1)放射性廃棄物管理施設の収容可能なサイトを公開し、民主的な手続きにより選定する。
(2)低・中レベル放射性廃棄物は、原子力発電所敷地内及び同位元素廃棄物貯蔵施設で管理した後、浅地層式又は洞窟式処分施設を建設して永久処分する。
(3)使用済燃料は、処理処分に対する国家政策方針を考慮して、原子力発電所敷地内貯蔵施設の拡充及び所外中間貯蔵施設の建設を通して段階的に貯蔵管理する。
 韓国政府は、放射性廃棄物を中期的に管理する専門機関として、2008年に制定された「放射性廃棄物管理法」に基づき、「韓国放射性廃棄物管理公団(KRMC:Korea Radioactive Waste Management Corporation)」を2009年1月に設立した。KRMCは、放射性廃棄物管理施設の立地・建設・運転、輸送、放射性廃棄物の研究開発等の役割を担う(図3)。ただし、原子力施設の許認可を含む原子力安全規制については、教育科学技術省(Ministry of Education, Science and Technology:MEST)が行っている。なお、1998年9月に策定された「国家放射性廃棄物管理計画」では、同一サイトに2008年までにLILW処分場を完成させ、2016年までに使用済燃料の集中中間貯蔵施設を建設するとしていたが、住民運動の激化でサイト誘致に失敗。2004年12月には処分場を切離して選定することになった。
6.2 低・中レベル放射性廃棄物の管理
 韓国の低・中レベル放射性廃棄物は、原子力発電所サイト等で一次貯蔵したのち、浅地中処分施設又は岩盤空洞型処分施設に処分する計画で、サイト誘致が進み、2005年11月、住民投票の結果、月城(ウォルソン)発電所に近い慶州(キョンジュ)に決定した。処分施設「月城原子力環境管理センター」は、処分方法として岩盤空洞型処分が採用され、敷地面積2,130,104m2、200リットルドラム缶80万本が収容可能である(図4参照)。建設期間を2006年〜2012年末とし、第一段階として10万本のドラム缶の処分を予定している。施設は地下80m〜130mに設置された鉛直方向のサイロと水平方向の横穴で構成され、廃棄物のアクセス及び移送のために、建設坑道及び運転坑道が建設されている。鉛直方向のサイロの寸法は、直径26.8m、高さ48mで、1サイロ16,700本のドラム缶を処分することができる。また、水平方向の横穴の寸法は、幅20m×高さ12m×長さ140mで、2万本のドラム缶を収容することができる。
6.3 使用済燃料の管理
 現在、使用済燃料は各発電所サイト内で貯蔵され、PWR用貯蔵プールの一部では、高密度ラックを設置することによって貯蔵容量の拡大が図られてきた(表3参照)。またCANDU炉の場合には、原子力発電所サイト内にコンクリート・サイロを建設し、より多くの使用済燃料の収容を目指している。国家放射性廃棄物管理計画では2016年までに2万トンの集中貯蔵施設の操業を計画しているが、立地が決まらず、使用済燃料の減容と乾式貯蔵を進めている。また、使用済燃料の減容を目的に、PWR使用済燃料をCANDU炉で利用するDUPICサイクルの研究や高速炉の実用化、乾式再処理研究が行われている。
(前回更新:2004年12月)
<図/表>
表1 韓国企業が係わる新規プロジェクトと参加形態
表2 韓国の転換施設および燃料成型加工施設の年間生産容量
表3 韓国における放射性廃棄物貯蔵量
図1 韓国における原子燃料製造状況の推移
図2 KEPCO原子燃料(KNFC)の成型加工プラントにおける燃料集合体の製造工程
図3 韓国放射性廃棄物管理公団(KRMC)の組織図
図4 韓国のLILW処分場サイト位置図および処分概念図

・図表を一括してダウンロードする場合は ここをクリックして下さい。


<関連タイトル>
外国における高レベル放射性廃棄物の処分(2)−ベルギー、スイス、カナダ編− (05-01-03-08)
韓国のエネルギー事情とエネルギー政策 (14-02-01-01)
韓国の電力事情 (14-02-01-02)
韓国の原子力開発体制と安全規制体制 (14-02-01-03)
韓国の原子力発電 (14-02-01-04)
韓国における原子力戦略 (14-02-01-09)

<参考文献>
(1)(社)日本原子力産業協会:原子力年鑑2012(2011年10月)、p.124-131
(2)(社)日本原子力産業協会:世界の原子力発電開発の動向2011年版(2011年5月)
(3)ウラン「資源 生産 需要2009」、OECD-IEA/IAEA編集、OECD発行(2010年)、韓国
(4)公益財団法人原子力環境整備促進・資金管理センター:諸外国での高レベル放射性廃棄物処分、海外情報ニュース、韓国
(5)韓国放射性廃棄物管理公団(KRMC):2011放射性廃棄物管理公団、
http://www.krmc.or.kr/krmc2011/user/cyberpr/books/Original07.pdf及び大切な未来のための安全約束(2009-01)、
http://www.krmc.or.kr/krmc2011/user/cyberpr/books/Original08.pdf
(6)韓国放射性廃棄物管理会社(KRMC):Challenges of New National Organization for Radioactive Waste Management in Korea(2010年6月)、

(7)(社)日本原子力産業協会:、躍進するアジアの原子力:韓国の原子力開発(2010年4月)、http://www.jaif.or.jp/ja/asia/korea/korea_data.pdf
(8)韓国電力公社(KEPCO):KEPCO in Brief (2011. 6. 30)、

及びInvestor Presentation (2012.01.04)、

(9)KEPCO原子燃料(KNFC)社:KEPCO NF English Brochure (2011-02-21)、

(10)KEPCO原子燃料(KNFC)社:Fuel for PWR及びCANDU Reactor、

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