<本文>
1.核燃料サイクル開発機構(旧、
動力炉・核燃料開発事業団(現日本原子力研究開発機構)または旧、動燃:1998年10月1日核燃料サイクル開発機構と改組)の東海事業所の再処理施設における放射性固体廃棄物は、同施設の
保安規定に定める基準に基づき貯蔵管理をすることにしている。
放射性液体廃棄物のうち高放射性濃縮廃液については、高放射性廃液貯槽に保管廃棄し、1995年12月から一部ガラス固化処理を行っている。また、低放射性濃縮廃液、
スラッジおよび廃溶媒については、各種貯槽に保管廃棄している。
放射性固体廃液のうち、高放射性固体廃棄物については、専用
キャスクを用いて高放射性固体廃棄物貯蔵庫に送り、所定の方法で水中または乾式貯蔵する。高放射性固体廃棄物の廃棄施設である高放射性固体廃棄物貯蔵庫および第二高放射性固体廃棄物貯蔵施設にはハル貯蔵庫、汚染機器類貯蔵庫、湿式貯蔵セル、乾式貯蔵セルなどが設けられている。低放射性固体廃棄物については、可燃性および不燃性とに仕分けし、不燃性の固体廃棄物は、第一低放射性固体廃棄物貯蔵場および第二低放射性固体廃棄物貯蔵場に貯蔵する。一方、可燃性の固体廃棄物は焼却施設の焼却炉(処理量400kg/日以上)および小型焼却炉(処理量20kg/日以上)で焼却している。
なお、低放射性廃液等のアスファルト固化試験を行うためアスファルト固化技術開発施設を試験運転していたが、1997年3月に火災爆発事故を発生したことから、本施設を用いた固化処理試験は行われていない。
また、
ガラス固化技術開発施設(
TVF)は、高放射性廃液のガラス固化試験を行うための施設で、1992年4月末に完成した。コールド試運転を約2年間実施した後、1995年1月から再処理工場の高放射性廃液を用いたホット試運転を開始した。1995年12月からはガラス固化処理技術を開発する開発運転に移行している。溶融ガラスの温度低下防止対策を行ったほか、1997年度以降はアスファルト固化処理施設の火災・爆発事故の影響を受けて処理運転を停止中であったが、2000年6月から運転を再開した。2000年9月末現在の累積の高放射性廃液処理量は約59m
3であり、72本のガラス固化体を製造している。
2.東海事業所の再処理施設における1977年度〜2002年度
放射性廃棄物管理状況は、「
核原料物質、核燃料物質及び
原子炉の規制」に関する法律に基づく放射線管理報告書等よりとりまとめた。1977年度〜2002年度の放射性固体廃棄物発生量および貯蔵量を
表1に、ちなみに1998年11月末の再処理施設における各施設の固体廃棄物貯蔵量を
表2に示す。
3.再処理施設の放射性廃棄物の管理状況を示した表中の語句・記号等の意味は、以下の通りである。
1)放射性固体廃棄物のうち高放射性固体廃棄物は、専用のキャスクで運搬後貯蔵された量を示した。
2)低放射性固体廃棄物、アスファルト固化体およびプラスチック固化体は200リットルドラム缶に封入後貯蔵された量を示した。なお、ドラム缶に封入できない大型機材等の発生量および累積量は200リットルドラム缶に換算した本数で示した。
4.東海事業所再処理施設において、同施設が
使用済燃料を用い、運転を開始した1977年から2003年までの使用済燃料再処理量を
図1にとりまとめた。
<図/表>
<関連タイトル>
東海再処理工場 (04-07-03-06)
東海再処理工場における火災爆発事故 (04-10-02-01)
ガラス固化技術開発施設(TVF) (06-01-05-09)
東海再処理施設における放射性気体廃棄物管理状況(1977年度〜2002年度) (12-04-01-01)
東海再処理施設における放射性液体廃棄物管理状況(1977年度〜2002年度) (12-04-01-02)
動力炉・核燃料開発事業団(PNC) (13-02-01-12)
<参考文献>
(1)動力炉・核燃料開発事業団:動燃30年史、再処理工場の運転実績
(2)原子力安全委員会(編):昭和56年版−平成11年版 原子力安全白書、大蔵省印刷局
(3)経済産業省原子力安全・保安院原子力安全技術基盤課(編):原子力施設運転管理年報 平成13年度−平成15年版、(社)火力原子力発電技術協会
(4)核燃料サイクル開発機構ホームページ