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<概要>
 ここで言う「廃棄物管理施設」とは、ウラン加工施設や再処理施設内の廃棄業務を「独立した事業」として行うために設置するものである。この「廃棄物管理施設」で取り扱われる放射性廃棄物の種類や処理の方法が多様であっても、本来の加工施設や再処理施設の廃棄施設で行われてきた廃棄形態と本質的に異なるものではない。したがって、本管理施設の安全評価に当っては、従前において準拠されてきた「加工施設や再処理施設(それらの付属廃棄施設)に対する安全評価の基本的考え方」をそのまま踏襲することができると結論づけられている。
<更新年月>
1999年11月   (本データは原則として更新対象外とします。)

<本文>
 原子力安全委員会は、平成元年(1989年)3月15日付で核燃料安全基準専門部会より報告を受けた「各種指針の見直し」の内容を踏まえ、同年3月16日付で放射性廃棄物安全基準専門部会から提出のあった報告書「廃棄物管理施設の安全性の評価の考え方について」を検討した結果、妥当なものであると認め原子力安全委員会決定事項とした(1989年3月27日)。
(注:原子力安全委員会は原子力安全・保安院とともに2012年9月18日に廃止され、原子力安全規制に係る行政を一元的に担う新たな組織として原子力規制委員会が2012年9月19日に発足した。)
1.法律による廃棄事業と廃棄物管理施設の規制
  核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律は廃棄の事業や廃棄物管理施設について、次のような定義と規制を適用している。
第51条の2(事業の許可)次の各号に掲げる廃棄の事業を行おうとする者は内閣総理大臣の許可を受けなければならない。
1核燃料物質又はそれによって汚染された物の埋設処分(「廃棄物埋設」という)。
2廃棄物の埋設、その他の最終的な処分が着手されるまでの間において、放射線障害防止の目的で行う管理又は処理(「廃棄物管理」という)。
第51条の2
第2項
前項の許可を受けようとするものは、次の事項を記した申請書を内閣総理大臣に提出しなければならない。
1. 氏名、住所等
2. 廃棄物埋設地及びその付属施設(「廃棄物埋設施設」という)、を設置する事業所の名称及び所在地
3. 以下省略
第51条の7廃棄物管理の事業の許可を受けた者(「廃棄物管理事業者」という)は、廃棄物管理施設の着工以前に、当該施設の設計、工事方法については、廃棄物管理施設の着工以前に、当該施設の設計、工事方法について内閣総理大臣の認可を受けなければならない。施設変更の場合も同様とする。

  したがって、この「考え方」で安全性評価の対象となる施設は、「原子炉等規制法第51条の2 第2 項第2 号」で規定された「廃棄物管理施設」ということになる。
2.「安全性の評価の考え方」の要旨
  「廃棄物管理施設の安全性の評価の考え方」を調査審議するに当たっては、他の原子力施設の廃棄施設に係る審査の経験を踏まえるとともに、わが国におけるこれら施設の安全性評価の考え方を参考として、現在計画中の廃棄物管理事業を念頭に入れつつ検討を行っている。この「考え方」で示された結論(検討の結果)は以下のようである。
 (1) 廃棄物管理施設は、再処理施設等の廃棄業務を「独立した事業」として行うために設置するものであり、廃棄物管理施設において取り扱う放射性廃棄物の種類及び処理の方法が多種多様であるとしても、再処理施設等の廃棄施設において行われてきている廃棄の形態に包含されるものであると考えられる。したがって再処理施設等の廃棄の安全性を評価する際にとり入れられた基本的考え方に従って「廃棄物管理施設」の安全性の評価を行うことができる。
 (2) 廃棄物管理施設の安全性の評価に当たっては、原子力安全委員会が決定した既存の各種「安全審査指針」を以下のとおり適用できる。
  (a) ウラン加工施設から発生した放射性廃棄物のみを取り扱う廃棄物管理施設については、次の指針の「基本的な考え方」がそのまま適用できる。
   ・「核燃料施設安全審査基本指針
   ・「ウラン加工施設安全審査指針」
  (b) 再処理施設から発生した放射性廃棄物を取り扱う廃棄物管理施設については、次の指針の「基本的な考え方」がそのまま適用できる。
   ・「核燃料施設安全審査基本指針」
   ・「再処理施設安全審査指針
    なお、「高レベル放射性固体廃棄物を管理する施設」に係る耐震設計を評価する際には、閉じ込め機能に加えて、遮へい機能についても地震において適切に維持されるように、耐震設計上の重要度分類がなされていることを確認する必要がある。
  (c) 上記(a) 及び(b) 以外の廃棄物管理施設については、次の指針の「基本的な考え方」がそのまま適用できる。
   ・「核燃料施設安全審査基本指針」
   ・「発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針
   ・「放射性液体廃棄物処理施設の安全審査に当たり考慮すべき事項ないしは基本的な考え方について」
 (3) 今後、廃棄物管理施設の安全審査に当たりこの考え方を用いることとする。
<関連タイトル>
核燃料施設安全審査基本指針 (11-03-03-01)
ウラン加工施設安全審査指針 (11-03-03-02)
再処理施設安全審査指針 (11-03-03-03)
発電用軽水型原子炉施設に関する安全設計審査指針 (11-03-01-05)

<参考文献>
(1) 原子力安全委員会(編):平成元年版 原子力安全白書 大蔵省印刷局(1989)
(2) 原子力委員会(編):平成元年版 原子力白書 大蔵省印刷局(1989)
(3) 科学技術庁原子力安全局原子力安全調査室(監修):改訂8版 原子力安全委員会 安全審査指針集 大成出版(1994)
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