<概要>
社団法人エネルギー・情報工学研究会議が、全国20才以上の男女3200人及び原発立地・周辺地域の成年男女800人を対象として、1994年10月にアンケートによる原子力に関する世論調査を行った。本タイトルでの調査項目は、
核燃料リサイクルの賛否、賛否の理由である。原子力長期基本計画の基本方針である核燃料リサイクルに対して、5割前後の人が賛成し、2割強の人が反対している。わからないという人も3割弱いる。
<更新年月>
1998年05月 (本データは原則として更新対象外とします。)
<本文>
核燃料リサイクルについての意識調査
日本の
原子力委員会は、1994年6月に、「原子力開発利用長期基本計画」の改訂を行いました。ここでは原子力開発利用の基本方針として、(1)原子力利用平和国家としての原子力政策の展開、(2)整合性のある軽水炉原子力発電体系の確立、(3)将来を展望した核燃料リサイクルの着実な展開、(4)原子力科学技術の多様な展開と基礎的な研究の強化、が明らかにされています。
1)核燃料リサイクルの賛否
問19A 「核燃料リサイクル(使用済核燃料を処理して、回収したプルトニウム、
ウランなどを再び燃料として使用すること)は、資源や環境を大切にし、また
放射性廃棄物の処理処分を適切なものにするという観点からも有意義であり、将来を展望して着実に取り組んでいく」という基本方針に対して、どのように考えますか。(1つだけ○印)
| 全国 | サイト |
1 全面的に賛成 | 17% | 19% |
2 どちらかといえば賛成 | 33% | 28% |
3 どちらかといえば反対 | 14% | 17% |
4 全面的に反対 | 8% | 8% |
5 わからない | 26% | 27% |
無回答 | 2% | 1% |
「長計の基本方針」の1つである核燃料リサイクルに対して、全国では「全面的に賛成」という人、「どちらかといえば賛成」という人を合わせて50%の人が賛成している。サイトでは「全面的に賛成」、「どちらかといえば賛成」合わせて47%の人が賛成している。このように全国、サイトとも5割前後の人が賛成している。一方「どちらかといえば反対」という人、「全面的に反対」という人の意見を合わせた割合は、全国22%、サイト25%と2割強の人が反対している。しかし「わからない」という人が、全国では26%、サイトでは27%とそれぞれ3割弱もおり、この割合は核燃料リサイクルに反対してしてる人の割合を上回っている。
調査結果を、
図1 にも示す。核燃料リサイクルの賛否については、本年初めての質問のため、経年変化の分析はできない
2)賛否の理由
問19Bでは、上記問19Aで、“1”−“4”と回答した人(全国1,825人:サイト447人)を対象に、自由記載の形式でその理由を聞いた。その結果を
図2 に示す。
賛成の理由(全国では412人、サイトでは116人からの回答があった)は、全国、サイトとも「資源の利用に役立つ」が最も多く、次に「廃棄物の処置方法として適切(廃棄物のままで処分することや海洋投棄よりもよい)」となっている。そして3番目には「安全に管理できるなら賛成」という安全管理を前提とした条件付き賛成の意見もみられた。また「資源小国日本には有用」という日本の国情を踏まえた意見も4番目に多く寄せられた。「その他」の意見には、「国のやることだから」、「推進している人を信じる」、「基本方針に賛成」、「何となく」などがあった。
次に反対の理由(全国169人、サイト43人からの回答があった)は、全国、サイトとも「安全性に疑問」が最も多いが、全国では「何となく不安(わかりにくい)」が2番目で、3番目が「原子力に反対」という順になっている。サイトでは「プルトニウム・ウランの使用に疑問」が2番目で、3番目が「何となく不安(わかりにくい)」という順になっている。「原子力に反対」はサイトでは4番目となっている。「その他」の意見には、「日本だけ何故推進するのか」や「国がやることだから」などがあった。
<図/表>
<関連タイトル>
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「調査の概要」 (10-05-01-03)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「エネルギー・環境問題(1)」 (10-05-01-04)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「エネルギー・環境問題(2)」 (10-05-01-05)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「電力・原子力」 (10-05-01-06)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「原子力発電の安全性」 (10-05-01-07)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「エネルギー・原子力の情報」 (10-05-01-08)
エネルギー・原子力に関する世論調査(1994年)「国際比較」 (10-05-01-10)
<参考文献>
(1) 社団法人エネルギー・情報工学研究会議:エネルギー・原子力に関する世論調査と国際比較<報告書> 1995年1月